weekly Food104 Magazine 2023年9月20日号

メルマガバックナンバー

このマガジンは王利彰の率いるフードサービスコンサルタント会社

有限会社清晃(せいこう)が提供しています。

https://www.food104.com/発行人の王利彰は、

その他に2011年4月より2015年3月まで関西国際大学教授に就任し、

新しく発足した人間科学部経営学科のフードビジネスを担当していました。

2004年4月から2009年まで立教大学大学院ビジネスデザイン研究科の教授を務め、

F&Bマーケティング、サービス・マーケティングなどを教えていました。

立教大学観光学部、杏林大学外国語学部応用コミュニケーション学科観光文化コース、

韓国のSejong大学大学院フランチャイズ学科、女子栄養大学・短期大学、会津大学・短期大学等でも非常勤講師の経験があります。

2012年9月に脳梗塞で倒れ、重い嚥下障害を患っており、その顛末と嚥下対策は「月刊厨房」で1年間記事を連載しました。

フードコンサルタント王利彰は長年「メーリングリストfspro」で業界関係者と双方向のコミュニケーションをしてきました。現在は、Facebookのオンラインサロンへ移行。

FSPROメーリングリスト(外食産業情報“無料”オンラインサロン)

(https://www.facebook.com/groups/280530300281763)

外食産業でご活躍の皆さまはもちろん、卒業された方々の経験や知識も共有していただける場になるよう、皆様からの投稿をお待ちしています。

● 世界・日本各地の食情報

● 読者からのご意見・要望・質問・情報 コーナー

● 食ビジネスニュースリリース

● 王利彰のレストランチェック

● 日本外食ニュースと米国外食ニュース

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● 世界・日本各地の食情報

1)食の宝庫九州から上田さんです

【GohGan】

先週に引き続き、ゼロテンビルの人気店「GohGan」です。

アジアベスト50レストランのNo1だった「ガガン」のオーナーシェフが頻繁に福岡を訪ねてきているというのは聞いていました。

「三原豆腐店」をバンコクにオープンさせたり、「ラ メゾン ドゥ ラ ナチュール ゴウ」の店舗の近くに民家を借りて、テストキッチンを作っているとか、今回の店の情報も聞いていたのですが、コロナ禍で足踏みすることになり、その間イベントなどにキッチンカーで登場したりと。十分すぎる話題を振りまいていましたが、2022年末にオープンしていました。

コラボしているのは福山剛シェフ。福山剛とガガン・アナンドで「GohGan」です。

那珂川に面したゼロテンビルの1階、ガラス越しに対岸の風景が眺められ、テラスにも席があります。店内が20数名、カウンター、外までいれると80名ほどは使えそうです。予約は毎日30名ほど、それ以上のキャパがあるので、当日電話確認で空いていれば入れます。

2階のエンタメレストラン、3階のGohのウェイティングバーとしても機能しそうです。

ワイン、ウィスキー、カクテルなど飲み物と軽くつまむアラカルトでもよし、コース料理でも良しという感じ。予算もGohの半分くらいです。

この日のコースは

ジャガイモのスープを入れたシュー(どうみてもスープカレーでした)

シマアジのセビーチェ、小エビのフリット

博多Gohりもん

桃のスープ

オマール海老のビスク

鴨のロースト

鴨のコロッケ、紫キャベツ

カニのカレー

デザートという構成で、ガガンらしさが感じられるスパイスの使い方でした。

ペアリングするお酒には苦労しているソムリエがいました。

「博多Gohりえもん」というのは、博多限定で一番人気のお土産もの「博多とおりもん」というお饅頭をリスペクトして、饅頭を半分にスライスし、フォアグラやタマリンドなどのソースを挟み込んだ楽しい一皿でした。

福岡は、アジアに面して街を開いていて、東京まで1時間45分、香港まで3時間45分。美味しい店があれば飛んで来れる店なのです。

「GohGan」

「010ビル」

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000053.000014467.html

【プロフィール】

上田和久

kazz@studiowork.jp

スタジオワーク合同会社 代表

1959年熊本県生まれ、京都、福岡で暮らし、都城の単身生活を終え福岡に戻っています。

国際HACCP同盟認定リードインストラクター、JHTC認定リードインストラクター

上田和久 facebookは

https://www.facebook.com/kazz.ueda

経歴と仕事分野     

 厨房設備施工会社、電機メーカーで冷蔵設備の設計施工営業を担当後、食品メーカーへ転職し、品質保証の仕事を経て、2016年コンサルタントとして独立。

 主に、HACCPの認証取得が目的ではない、あるいは安全安心な食品を提供することを目的にした企業に対して、HACCPに基づいた衛生管理の取り組みを支援している。

 具体的には、食品工場に対し、これまでの計画施工から現場運営まで経験を生かした新築・増改築についての助言を行う他、製造現場に対して、クレーム対応、異物混入の原因の究明と対策、再発防止の仕組み作りの提案を行っている。

 食品工場の抱える問題やこれからますます厳しくなる要求への対応、それらを一緒に解決していくことを使命とし、精力的に活動している。

2)南イタリアプーリア便り イトリアの谷の食卓から 第343回

プーリア州は人口400万人、面積19,540平方キロ、丁度九州を縦に割った福岡、熊本、鹿児島、各県の一部と大分、宮崎両県を含む東九州全域と合致する人口や面積があります。自然に恵まれ食材が豊富なことも共通しています。温暖な気候が育んだおおらかな人間性も似ていると感じています。

観光と農業が主な収入源である南イタリアの小さな村で15年間暮らし、日本での知名度が低かったプーリア観光を広めてきた経験から学んだ事を東九州で生かせるかが、私の今後の課題です。

プーリア州全体も地元イトリアの谷地域もこの20年間以上人口は横ばい状態を続けています。大型ホテルはありませんが、B&B、貸別荘など個人経営の宿泊施設の数は大幅に増えました。訪れる観光客の数も右肩上がりです。オーバーツーリズムにならないように今後も継続して行けるかがプーリア観光業の課題だと思います。

東九州の観光を考える時、すぐに思い浮かぶのは別府や湯布院などの温泉観光地かも知れませんが、豊かな自然と素晴らしい食材を楽しめる可能性を秘めた場所地域がたくさんあります。まだまだ私自身も勉強中ですが、歴史、文化の面でも掘り起こして磨きをかけ、PRをする価値のあるものが宝物のようにザクザクありそうです。

一方、道路や鉄道などの移動手段や宿泊施設など開拓、開発の余地もたくさんありますが、プーリア観光のこの20年間の進化を目の当たりにしてきたので、今後東九州の観光業がどうなってゆくのか、楽しみで仕方ありません。

地元チステルニーノに移住した時も「なんでわざわざ東京からこんな田舎に?」と地元の人々に言われましたが、デジャブのように佐伯でも同じことを言われます。でも今は「東京からではなく、プーリアにも拠点が有って多拠点で活動するのです。」というとさらに目を丸くされますが、興味を持っていただけるだけでも嬉しく思っています。

プーリアの食文化を紹介することも地元の方々の意識を広げるためにも積極的に行っていきたいと思います。

佐伯の食材を使ったプーリア家庭料理教室をオンラインとライブで始める予定です。また地元のイタリア料理店さんとも勉強会など開いてプーリア料理の普及も続けて行きます。

佐伯に滞在中の間は、地域おこし協力隊としてのあれこれもこちらで発信して行きたいと思いますので、どうぞお付き合いください。

大橋美奈子 Facebook

https://www.facebook.com/minako.ohashi

メール・アドレス

minako@da-puglia.com

大橋美奈子さん経歴

 演劇の勉強で欧米に留学し、欧米の料理に馴染みました。主人のジョバンニ・パンフィーノはスイスの有名ホテル学校を卒業後、レストランビジネスに入り、 高級ホテルやイタリア高級レストランのビーチェのヨーロッパの店舗で働いた後、 東京椿山荘に開業した超高級ホテルのフォーシーズンの高級イタリアンとして開業したビーチェの指導責任者としての勤務経験がある外食のプロです。

 そのジョバンニ・パンフィーノと、日本で知り合い結婚し長女を授かり育てていたのですが、数年前に子供の教育と生活環境を考え、主人の故郷であるイタリア・プーリアに本格的に移住したのです。母が料理学校を主催している関係で食に興味を持ち、自ら自家農園で野菜を育て、自家製のオリーブオイルで体に優しい料理を楽しんでいます。現在はプーリアで生活をしながら、イタリアの情報発信をし、コンサルティング、輸出入ビジネスを行っております。

 また、時々イタリアの食ツアーを開催しています。これから私が惚れ込んだイタリア・プーリア地方の自然を堪能する食情報をお届けします。

 ブーツの形をしたイタリア半島のちょうどとがったヒールの辺りがプーリア州です。私たちが日本とプーリアの架け橋になろうとダプーリアという会社を起したのは15年前です。その頃と比べ、日本でも随分認知度が高まったプーリアですが、この数年主に欧米人のヴァカンス先として大変注目を浴びています。

https://www.facebook.com/1438029856464276/photos/a.1438031556464106.1073741828.1438029856464276/1523683344565593/?type=1&theater

 プーリア州の中心部にあるイトリアの谷(谷というより盆地という方がふさわしい)にあるこの地に東京から移り住んで6年、兼業農家的生活も板に着いて来ました。プーリアといえばイタリアの食料庫といわれる程の一大農産地でオリーヴオイル、ワイン用のブドウをはじめ多くの野菜や果物がイタリア1番の生産量を誇ります。

 また、この地特有の地元でしか食べられない産物も沢山あります。プーリア料理の身上は新鮮な食材をシンプルに食す事。この地で生産されるチーズやワインもその料理と切っても切れない関係にあります。そんなプーリアの我が家の毎日の食卓に上る食べ物、飲み物たちをご紹介させていただきます。

 我が家では7対3の割合ぐらいで一般的に言うところのイタリア料理(プーリアの郷土料理)と日本食、その他(私が個人的に好きなアメリカン及びアジアンテイストな創作料理)を食べています。

有限会社ダプーリア

http://www.da-puglia.com/

大橋美奈子プロフィール

http://www.da-puglia.com/archives/000047.html

プーリア州の説明

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%83%83%E3%83%AA%E3%83%A3%E5%B7%9E

ダプーリア

大橋美奈子

3)FBプロデューサー日記 280回目

「おいしい牛肉は、元気な牛から 」ファームズ千代田@北海道美瑛

前回に引き続き、北海道びえい農泊 DX推進協議会についてお話します。

来年9月にオープンする宿泊施設は、ファームズ千代田のキャンプ場(奥側)にコテージ(各定員4名)が建ちます。北海道東川町にある人気の建築会社「北の住まい設計社」で、北海道の木材をふんだんに使い、森の中の美しい自然の中に、独立した2棟宿泊施設を作る予定です。

今回、一緒に事業を行うファームズ千代田は、オーストラリアMLA視察で見てきた牧場とほぼ同じような事業形態です。山3つ分の広大な牧場で放牧・牛舎で飼育、自社で繁殖、生産まで行っています。

さらに堆肥生産事業や、観光牧場、レストランも経営しています。何度も訪問して、詳しくお話を聞くうちに、日本ではとても珍しく、オーストラリアと同レベルの牧場事業経営ができていることに驚きました。ファームズ千代田は先進事例を学べる環境が整っています。

アバラゼデ社長は、帯広畜産大学で博士号を取られた方で、日本に来て約30年、4ヶ国語で対応できる秀才です。

敷地は260ヘクタール、東京ドーム約30個分。

北海道の農家1戸あたりの耕地面積は約33haなので、約7.8倍。美瑛町の中でも群を抜いて大きな牧場で創業78年。

日本では珍しい、自社種牛で繁殖から肥育までを行う一貫生産 和牛牧場です。

『和牛繁殖事業』では、種付けから分娩、育成を行っていて「びえい和牛」ブランドはファームズ千代田で育成した和牛のみです。その他、千代田和牛、びえい牛、びえい黒牛の合計4つのブランドで牛の肥育を行い、牛舎には3000頭の牛がいます。

夏の牧場では牛が草を食べたり、走ったりしている様子が見られます。

妊娠しているお母さん牛を放牧して、できるだけストレスのない環境で育てたり、餌は地元旭川の酒蔵「男山」の酒粕を混ぜ、臭みの少ない甘みのある牛肉を作っています。

また、ジャージー牧場は、アニマルウェルフェア畜産認証を取得。

動物の習性や生態、生理を理解し、最終的な死を迎えるまで、ストレスなく、自由で健康的な生活ができる状態にしています。

ジャージー牛の牛舎に行くと、人懐っこく私たちに近づいてきます。これはとても珍しいことで、牛たちが、愛されて育っていることがよく分かります。

可愛くて、元気な牛から作られる牛乳、ヨーグルト、バターはとても美味しくて、フレッシュな香りは、牧場でしか味わえない最高の贅沢です。

一般社団法人アニマルウェルフェア畜産協会

https://animalwelfare.jp/

株式会社ファームズ千代田

https://f-chiyoda.com/

代表取締役社長 アブガンドロージン・アバラゼデ

AVARZED,AGVAANDORJ(獣医学博士・ファームズ千代田3代目の社長)

出身地:モンゴル

畜産部

・和牛繁殖事業

・和牛肥育事業

・ジャージー牛搾乳事業

・ふれあい牧場

・搾乳牧場

・千代田千歳牧場

・預託牧場 

生産部

・ファームレストラン

・ミルク工場

・家畜人工授精所

・エコ・堆肥生産事業

・キャンプ場

【プロフィール】

石川史子 Ishikawa Fumiko (旧姓 戸田)

株式会社FOOD FIELD CREATIVE

facebook  https://www.facebook.com/ffcnippon/

HPとblog  http://ffcnippon.com/

 東京都生まれ。立教女学院中学・高校を経て立教大学理学部化学科を卒業後、東京ガスに入社。2010年、業務用厨房ショールーム「厨BO!SHIODOME」開業を担当、王先生と最適厨房研究会などでご一緒させていただきました。

お客様へのプレゼンや、HCJなどの展示会では、有名なシェフの方にご出演いただき、厨房設計を支援できる私はフランス料理界のシェフにかわいがられるようになりました。

 フードビジネスプロデューサーとして独立して8年、おかげさまで活動の幅を広げています。リケジョとしての能力を活かし、厨房機器メーカー、フランス料理界、東京都や北海道、福島県などの生産者支援や、オーガニック農業の推進、観光、料理、厨房業界のPRに幅広く取り組んでいます。

さらに、農林水産省 令和5年度農山漁村振興交付金(農山漁村発イ令和ノベーション対策)受託事業、北海道びえい農泊 DX推進協議会の事務局長になりました。丘のまちびえいから、美味しいものの情報をお届けします。

王先生のFSPROでニュースクリップを担当するインターン生、募集中です!

びえい農泊 DX推進協議会 事務局長

東京都農林水産振興財団 チャレンジ農業支援センター販路開拓ナビゲータ

福島県楢葉町6次産業化アドバイザー

MLA豪州食肉家畜生産者事業団 ラム肉PR大使「ラムバサダー」

全日本司厨士協会 埼玉県本部 広報企画部長

全日本司厨士協会 東京地方本部 協賛会員

フランス料理文化センター アミティエグルマンド 会員

ホテル&ホスピタリテイビジネス衛生管理実践研究会 監事

立教学院諸生徒礼拝堂ハンドベルクワイア OBOG会会長

立教大学観光クラブ理事、校友会企画委員

調理技術教育学会 会員

一般社団法人 日本商環境デザイン協会 正会員

深沢アート研究所 マネージャー

東京お米サロン

4)はじめまして 飯田真弓です

【使命とエンゲージメント醸成、実践1】

あの逃げ場の無い空の上、重い塊である飛行機での移動はかつてCAであった私にとっても、まだかすかな恐れがあります。重力に逆らって、あのような重いものが間違いを犯さずに日々私たちの頭上を飛んでいるのは奇跡に思えるのです。

そんな飛行機を飛ばす航空会社にとって、『安全』は最優先かつ必要最低限の厳命です。事故を決して起こさない努力は想像をはるかに超え、それは時代が変わっても不変です。

私たち食を預かる産業はどうでしょうか。人の命を預かることに関与していることは食産業はもちろん、どの産業や事業においても『当たり前のこと』と言っても過言ではないと思います。きっと皆様にご同意いただけると思います。

今回、航空会社職員がいかにこういった絶対的な使命感を身に着け、そしてプライドを持ってブランドとのエンゲージメントをし、お客様へのご奉仕と変えて行くのかをお伝えしたいと思います。

要するに『使命感と誇りをもって働く』ことがホスピタリティの原点であり、航空会社ではどのようにそれらを築いていくのかという過程についてお伝えしたいと思います。

現在深刻な人材不足である食産業において、人の確保と雇用維持は大きな課題です。ヒントになることがあるかなと思い、今回と次回のテーマとさせていただきました。少し固いお話ですがご興味を持っていただければ幸いです。

さて、CA、客室を担当する乗務員はサービス要員であるよりも先に『保安要員』です。基本的に航空機の左右にあるドア、非常口の数だけCAが配置されます。緊急事態発生時にCAはこのドアからの脱出をリードします。

機内での緊急事態とは多岐にわたります。もっとも恐ろしい火災、酸素濃度低下、急病人発生など、空の上の孤立した空間でいかに乗客の命を守るかは重い使命です。あのホスピタリティ溢れる笑顔の後ろにこのような使命を背負っているとはなかなか感じることはないでしょう。

しかし、CAは保安要員としての精神的、技術的な訓練を徹底的に受けています。

例えば皆さんが搭乗される際、CAは何を考えているでしょうか。『いらっしゃいませ』とにこやかにご挨拶すると同時に『人の見極め』をしています。危険人物はいないのか、何を所持しているのか、どのような職業なのか。医師や自衛隊員は緊急時の助けとなりますので、皆様の搭乗時に見つけておきます。持ち物や服装、爪の長さなど五感を使って職業やバックグラウンドを推測します。

ご要望される新聞や雑誌、そして会話の内容やマナーなどもそのヒントとなります。飛行機に搭乗する際、案外皆様のバックグラウンドが推察されているのかも、ということはどうぞ覚悟してください。

緊急事態発生時の対処の訓練も徹底しています。洋上着陸時のサバイバル、さまざまな火災に対する消火器の使用、急病や怪我発生時の救命措置。教育ではなくまさに訓練です。3カ月ほどの新人教育の中で『保安要員』としての精神とスキルを叩き込まれます。

さてこのCA達ですが、採用時にはどのような状態だったのでしょうか。

私の場合、前回ご紹介したように、『世界中の美味しいものを食べたい』というまるで保安要員とはかけ離れた、自己の勝手な思いを満たす理由でのスタートでした。

大学在学中にこの思いをどうしたら実現できるのかと悩む中、見つけたのが朝日新聞の求人広告でした。『これだ!』とすぐに応募、御巣鷹山の事故の直後であったにもかかわらず100倍もの倍率であったと聞いています。

その頃、航空会社のCA採用といえば、強い縁故か、容姿が抜きんでて端麗か、あるいは会社の持つバスケットチームに入るためとても背が高いとか、何かしらの優位性を持った麗女が多くを占めました。

実際、同期には第一野党党首のお嬢さんや財閥の直系の方がおられ、フライトの後に会社の配車ではなく、黒塗りの車が待機し帰宅していました。そのような中、何人かの同期は私含め、一般市民出身で、『この職業に就きたい』という願いを強く持ち、さまざまな専門学校に通い多大な努力をして、CAになることを人生の目的として入社をして来ました。

一方で私は相変わらず『世界中を食べ歩く』という自己中心的な思い、彼らとの信念の差を見せつけられたわけです。しかし教育訓練を受ける中、私含めこれらどんなバックグラウンドの同期も不思議と使命感とブランドとのエンゲージメントをしていくわけです。

そしてそのような中、特に優秀なCAとして頭角を現すのは、この一般市民出身のCAでした。その理由は彼らの、この職業に対する執着心であったと考えます。この執着を求心する力は一体何であったのか。まさに人材不足の昨今、『採用、応募のステージ』強化のヒントです。

職業にもブランドがあると考えます。

航空業界というブランド。ブランドは顧客と従業員、そして社会の認知から醸成されます。

一般市民出身の応募者を突き動かしたもの、それは航空事業への『憧れ』です。航空事業がブランド認知のひとつとして保有していた財産です。空への憧れ、海外への憧れ、航空機移動という当時の非日常への憧れ。最高峰のサービスを担うことができるという憧れ。

人は憧れを向かう先とすることができます。どんなつらい訓練や試練にも対峙することができます。ここにさらに会社のブランドが加われば強い憧れを醸成できます。

日本の代表的な憧れ、といえば例えばオリエンタルランド、星のや。いかに『憧れ』を自社に作れるかどうか、願わくは業界一丸となって『憧れ』を作れるかが人材確保、採用の鍵となります。

高級をコンセプトにする事業でなくとも『憧れ』は作れます。ぜひ経営、事業戦略においてこの『憧れ』を可視化すること、それをステークホルダーと共有、社会に発信することをおすすめいたします。

次回はこの『憧れ』採用以降、どのように使命感とブランドエンゲージメントを醸成していくのかについてお話させていただきます。

【付録:航空会社トリビア1】

Q:飛行機に搭乗する際、離陸と着陸、どちらが緊張する?

A:着陸の時が怖い!という方が多いと思います。私はCA時代も今も、離陸の時がもっとも緊張します。何故なら、離陸時は燃料満タンでエンジン全開の状態、何かあったら止められないからです。

比べて着陸時には燃料は少なく、穏やかに滑走路に向かっているわけです。ですからパワー全開の離陸時がいちばん緊張する瞬間なのです。もちろんどちらも緊張すべきですので離着陸時のアナウンスにはしっかりと従ってください。

飯田真弓

飯田真弓事務所 代表

miida@craft-wine.com

https://www.facebook.com/iida.mayumi

特記:

・品質管理、食の安全分野における専門性/GFSIの主要認証、BRCG(旧BRC)ASIAアドバイザリーボード(HACCP,ISOなど食の安全、管理領域含む)

・フードサイエンスおよび官能評価技術/英国グローバルリソースであるLEATHERHEAD FRにて取得

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● 読者からのご意見・要望・質問・情報 コーナー

 読者の皆様のご意見・要望・質問・情報・欄を作成しました。皆様のご意見・要望をぜひお送りください。匿名で掲載させていただきますので忌憚のないご意見をお聞かせください。また皆様が見聞き体験した外食・食材情報もお知らせください。

 このFOOD104を支えてくださっている組織にFSPROと言う食の世界の専門家の方が500名ほどいらっしゃいます。皆様のご質問・疑問に答えられるようになっておりますので、ご遠慮なくご質問などをお寄せください。ちょっと時間はかかりますが回答させていただきます。

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● 食ビジネスニュースリリース ————————————■□

9月14日-9月20日

■ラーメン店の倒産/3.5倍に急増、物価高・人件費増が響く

流通ニュース

■カスミ/新業態「BLANDE」でレストラン配送開始、約60分で到着

流通ニュース

■モスバーガー/「朝外食商戦」への挑戦加速、AR動画楽しめる番号札も

流通ニュース

■くら寿司/8月の既存店売上高10.1%増、客数5.4%増

流通ニュース

■社員・学生食堂の運営会社/3割超が赤字運営

流通ニュース

■「スシロー」「小僧寿し」が子会社再編 焼き鳥、すし、ラーメンなどを一体化

M&A Online

https://maonline.jp/articles/sushiro_kozou20230915

■テイクアウトが増え…米「マクドナルド」、セルフサービスを廃止へ

コスモポリタン

https://www.cosmopolitan.com/jp/trends/trend-news/a45091236/mcdonalds-phasing-out-self-serve-beverage-stations/

■ジャパネットたかた、食品専門ブランド「たべる。ジャパネット」スタート

グルメWatch

https://gourmet.watch.impress.co.jp/docs/news/1531315.html

■ピーク時に500店舗を超えた古豪チェーン店「八剣伝」。あいつ今どうしてる?地元で愛される理由とは?

フードリンクニュース

https://www.foodrink.co.jp/foodrinkreport/2023/09/1444431.html

■「ダイナックに続きチムニーも参戦してきた。次はテンアライドか?はたまた大庄か?」 3つの出汁にこだわるもんじゃ焼き『もんじ』がグランドオープン。

フードリンクニュース

https://www.foodrink.co.jp/foodrinkreport/2023/09/1565625.html

■DD、居酒屋×食堂のハイブリッド「焼鳥トリフク食堂」をお台場に。観光客の昼飲み誘う。

フードリンクニュース

https://www.foodrink.co.jp/news/2023/09/1563359.html

■ゼッテリア店舗登場でロッテリアはどうなる?メニューの違いもチェック!

A little box of trends

https://neko-work2.com/whatszetteria/

■人気レストランの味が『デニーズ』で楽しめる!シェフ監修の50周年記念メニューは食育にも最適

おとなの週末web

■「銀座 天一」漂白剤入り水で食中毒「苦しむ妻に店員は『ここで吐くと迷惑です』と…」被害者が告発

Smart FLASH

https://smart-flash.jp/sociopolitics/252813/1/1/

■角上魚類、目指すは「日本一の魚屋」 店は増やさず売り上げ増

日経ビジネス

https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19nv/120500136/082901103/

■桐生市に複合飲食施設 きょう開業 「築地銀だこ」の運営会社 地産地消で地域活性化狙う

東京新聞

https://www.tokyo-np.co.jp/article/277254

■デリバリー・テイクアウトサービスのバブル終焉が近づく中で大赤字の出前館に勝算はあるのか?

アットダイム

https://dime.jp/genre/1647516/

■ラーメン390円「日高屋」の創業者が“経営の神様・稲盛和夫”に大反対された意外なこと

ダイヤモンドオンライン

https://diamond.jp/articles/-/329233

■焼肉大手の「焼肉きんぐ」と「あみやき亭」がワンランクアップ

M&A Online

https://maonline.jp/articles/monogatari_amiyakitei20230918

■東京・日本橋/オフィス・商業施設・ホテルの大型複合施設、水辺を整備

流通ニュース

■モスバーガーの元祖!?ロサンゼルスで人気を誇る老舗「トミーズ・バーガー」

TRiP EDiTOR

■コロワイド/給食事業を拡大、ヤマト運輸と連携

流通ニュース

■ギョーザの無人販売/7月で全国1400店舗に、3年で10倍超

流通ニュース

■六本木の路地裏にひっそりと佇む大人のフレンチバー「Provision」から一ヶ月に何度でも食事が楽しめるサブスクリプション制度を始めました。

「新聞や雑誌の定期購読のようにお気に入りのレストランやバーに、いつでもふらりと立ち寄ってワインや食事を楽しんでほしい」というコンセプトで始めたそうです。

また、月に何度も楽しんでもらえるようにグランドメニュー以外にもマンスリーメニューもあるそうです。お会計が必要なくスマートに食事を楽しんでみてはいかがでしょうか。【M.M】

毎回4名で楽しめる、定額通い放題のサブスクフレンチ。会員制レストラン『Provision』9月のマンスリーメニューを提供開始。

INSTYLE GROUP

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000122.000043296.html

■韓国発 キュートな見た目のミートボールパイが日本初上陸します。

韓国ソウルの聖水で行列の絶えないカフェ「tourtiere(タルティエ)」で、訪れる人誰もがオーダーするミートボールパイ「タルティエ」を購入できるポップアップイベントが阪神梅田本店にて10月25日からの5日間開催されます。

韓国の伝統的な肉料理「トッカルビ」からインスピレーションを受けたタルティエは、欧米の大きなサイズのミートパイとは違い小さめサイズのコロンとした見た目が特徴。おしゃれなランチにも、ワインのお供にもベストな商品になっているそうです。

韓国のカフェ文化や料理などが日本でも大きなトレンドになっているように感じます。可愛らしい見た目のこのミートボールパイも注目ですね!【K】

サクッ&パシャッ!韓国発キュートなミートボールパイが日本に初上陸。

カフェ・カンパニー株式会社

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000091.000032163.html

■瀬戸内海の島を贅沢に旅するクルーズツアーが登場します。

瀬戸内海の島と沿岸地域を結ぶ島旅をプロデュースする株式会社SETOUCHI SEAWINDは、国内外の富裕層に向けたアート体験やプレミアムな食体験が楽しめる2泊3日のチャータークルーズを9月11日より開始しました。

定期船を乗り継ぐことなく楽しめるこのツアーは、地中美術館を貸切で楽しめる「瀬戸内国際芸術祭プレミアムツアー2023」、瀬戸内海の秋の味覚を満喫できる「瀬戸内ガストロノミー・クルーズ2023」など3つのプログラムが用意されているそうです。

「島」に訪れること自体も非日常な経験ですが、贅沢な体験もできることでさらに記憶に残る旅になりそうですね。【K】

瀬戸内海の特別なアート・食・島・海体験を満喫するエクスクルーシブなクルーズツアー、9月11日より催行開始!

株式会社SETOUCHI SEAWIND

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000122905.html

■「バナナマンのせっかくグルメ!!」が堪能できるイベントが開催されます。

株式会社ネオスペースと株式会TBSグロウディアが企画するイベント『バナナマンのせっかくグルメ!!博覧会』が、京都高島屋S.C.にて10月17日から30日の期間限定で開催されます。

毎週日曜19:00から放送されている「バナナマンのせっかくグルメ!!」で登場する「日村ロボ」の展示や、日本各地の選りすぐりの絶品グルメを楽しむことができるそうです。

テレビ番組のイベントだからこそ、幅広い世代が足を運びそうですね!個人的によく見ている番組なので、気になります。【K】

番組グルメを堪能できる「バナナマンのせっかくグルメ!!博覧会」初開催!10月17日(火)から京都高島屋S.C.でスタート!!

株式会社ネオスペース

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000009.000051145.html

■日本の伝統と進化させたお菓子が楽しめるイベントが開催されます。

阪急うめだ本店9階にて、創業当時から伝承されるお菓子、それを受け継いだ現代世代の職人の感性で進化したお菓子など、全国の菓子メーカー10社が集結したイベント「シン・NIPPONのお菓子」が9月20日から6日間開催されます。

大阪の「青木松風庵」は大阪みやげの定番の「みるく饅頭月化粧」と伊右衛門の抹茶を使った月化粧をシェイクにした「伊右衛門月化粧シェイク」を、静岡の「春華堂」は浜松銘菓の「うなぎパイ」とミルクジェラートにうなぎパイとブランデーを添えた「うなぎパイV.S.O.P大阪edition」を販売するそうです。

伝統を守る定番商品、時代に合わせて挑戦する中で生まれた進化した商品、どちらも楽しむことができるのも魅力的ですね。【K】

うなぎパイのジェラートや月化粧のドリンクも!日本の伝統と進化させた菓子を日本から世界へ「シン・NIPPONのお菓子」

新感覚を取り入れたお菓子を、お店を代表する定番の味とともにご紹介

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001595.000014431.html

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● 王利彰のレストランチェック———————————–■□

外食産業基礎コース 第2回目 人材教育その1

 人材育成はマクドナルドを例に取ると、階層的な教育で、マニュアル、トレーニングプログラム、チェックリスト、評価制度などが必要だ。

月刊食堂1991年5月号、日本マクドナルド研究 を見てみよう。

<店長までの教育システム>

 入社後、まずマネージャートレー(マネージャー見習い)として店舗に配属される。入社後店舗に配属されると同時に、MDP#1(マネージメント.デベロップメント.プログラム)に基づいて、トレーニングが開始される。

MDPそのものはマニュアルでなく、研修期間のカリキュラムを日別に書いてあり、毎日実習する項目と、勉強するマニュアル、VTR教材などを明確にしてある。店長やトレーナーはそれに基づいて毎日指導していく。

この終了予定期間は個人差があるが、3-6カ月で終了するようになっている。内容は開店業務、営業中の店舗運営、閉店業務、アルバイトの業務、QSCの管理を一人で具体的に出来るようになるまでである。

 MDP#1を終了すると、B・O・C(ベーシック・オペレーション・コース、基本トレーニングコース)という地区本部の主催するトレーニングコースを受講する。このコースを終了後、更にMDP#1の項目を全て満足すると、セカンド・アシスタント・マネージャー(第二店長代理)に昇進し一人前のマネージャーとして一人で店舗の運営をまかされるようになる。

昇進により、給料、ボーナスの額が上がる。各タイトルが上がるごとに給料、ボーナスの額が上がり、仕事に対する意欲を具体的に高める。昇進はあくまでも実力主義であり資格試験などというペーパーテストではなく店舗運営での実績に基づく。昇進は日本の一般的な会社のような年功序列ではなく、場合によっては年齢が上の社員を指導する。

 セカンド・アシスタント・マネージャーに昇進後さらにMDP#2を渡され、3-6カ月で終了する。内容は店舗の高いQSCを実現するために、人物金の具体的な管理方法を学ぶ。

これを終了後、I・O・C(インターミーディエイト・オペレーション・コース、中堅マネージャートレーニングコース)というコースを受講し、MDP#2の項目を満足すると、ファースト・アシスタント・マネージャー(第一店長代理)の試験への挑戦資格をもらえる。

試験と言っても書類の試験ではなく、実際に店舗を運営しているところをスーパーバイザー(SV、店長の上司で複数の店舗を担当している、QSCと店舗の売上、利益の管理と、人事評価を行う、店舗のQSCの監査も担当する)がチェックし、店長と同等の能力があるとみなされたら合格する。あくまでも実務面の能力をチェックする。

 ファースト・アシスタント・マネージャーに昇格するとMDP#3-1を受け取り、店長になるための、具体的なQSCの実現方法、人物金の管理手法についての具体的な勉強をする。

このコースを終了後、A・E・C(アドバンス・エクイップメント・コース、上級機器メインテナンスコース)を受講する。米国では全ての店舗の機器、建物は自分たちでメインテナンスする。

建物や機器が壊れてから直すのではなく、定期的な清掃、調整、部品交換をして壊れるのを未然に防ぐ、プリベンティブメインテナンスの考え方である。授業を通じて、機械の作動原理、冷却原理、等の基本を教え、さらに店舗の各機械の構造を理解させる。そして、簡単な修理を実習させ、店舗で実際に行えるようにする。

 これを終了すると、MDP#3-2を渡され次の勉強をする。内容は更に店長の業務を出来るようにする。この過程で、シニアー・ファースト・アシスタント・マネージャー(上級第一店長代理)の資格を満たせば昇進する。

この後、A・O・C(アドバンス・オペレーション・コース、上級マネージャートレーニングコース)を受講する。この授業から本社のハンバーガー大学が担当し、全国のマネージャーは本社のハンバーガー大学で受講する。このコースでは店長になるための全ての知識と手法を学ぶ。更に、広告宣伝、人事管理、目標管理、人事管理、機器メインテナンス、利益管理、等を具体的に学ぶ。

 これを終了後新店舗の開店に伴い、ストアーマネージャー(店長)に昇進する。店長昇進で勉強は終了ではない。これから更にMDP#4をもらい、新人店長の勉強を開始する。内容は具体的な業務と店舗のマネージメントだ。

 MDP#4の途中でS・M・C#1(ストアー・マネージメント・コース、新人店長トレーニングコース)を受講する。ここでは店舗のQSCの維持と売上と利益の管理と更に店舗におけるリーダーシップの取り方を学び、多くの人の前で話すプレゼンテーションスキル等を修得する。

 SMC#1を終了すると更にMDP#4を継続して学びそれを終了すると、シニアストアーマネージャー(上級店長)に昇進する。数年の上級店長経験を経た後にSMC#2を受講し、次に職位であるスーパーバイザーを目指す。

 と複雑だ。これを読んで、当社の規模は小さくて、マニュアルの整備も無いので人材教育は難しいなと悲観することはない。

 私がマクドナルドに入社したのは、日本進出後の2年後で、店舗数は30店鋪位と少なくマニュアルの整備はされていなかった。

マニュアルが整備されたのは、私が店長からsvに昇進してから初めて渡米し、米国ハンバー大学の研修をうけ、いかに日本のマニュアルの整備がなされていないかと実感し、米国のマニュアルを持ち帰り、翻訳させ、1言一句確認しながらという作業を3年ほどした、1978年頃で店舗数は130店舗くらいだった。私が店長やsvの頃はマニュアルなしで教育せざるを得なかった。

 店長のころにアルバイト教育の必要性に迫られた。1973年の第一次オイルショックにより、原材料コスト、や全ての資材、人件費が高騰し、店舗の採算性が悪化した。

従来店舗にいた社員を減らす必要が出てきた。それまでマネージャーと言う管理職は社員に限定していたが、その仕事をアルバイトにさせるスイングマネージャー制度だ。アルバイトにマネージャーとしてまかせるには、金銭や食材の管理と言う仕事をさせなければ行けない。

 仕事という技術より、モラル教育が必要になった。そこで早朝から来られるアルバイト2名と夜最後まで働く3名を選んで教育することにした。私が働いていた新宿二幸店舗(現在のスタジオアルタ)での仕事中につきっきりで実務を教え、週に一回店舗を離れて近所の喫茶店で勉強会を開いた。このミーティングは私のシフトが終わってから行った。

朝のアルバイトの一人は仕事が要領良く早かった。仕事もすぐ覚えた。夜の3人は要領良く無いが夜遅くまで働くに必要な忍耐力を備えていた。一人は身長180cmくらいあり、体格も顔も厳つかった。当時の新宿駅前はフウテンが多く、睡眠薬の売売で店舗のゴミ箱を使うので客が嫌がった。

そこで彼らが店の前に来ると、その体の大きいアルバイトに命じて、店舗カウンター前の床拭きをモップでさせた。そしてわざとフウテンに体当たりさせ追い払わせた。閉店後深夜駅に帰る時も物騒だから彼にボディガードのように同行してもらった。残りの2人は新島出身で真面目な働きぶりであった。

朝の1人は東北出身で真面目であったが、仕事が遅く仕事を覚えるのに時間がかかった。しかし逆に仕事を正確にこなし、わかりやすいマニュアルを作り、新人アルバイトに丁寧にわかりやすく教えることが出来た。朝のもう一人のアルバイトは要領良くすぐに仕事を覚えるが、新人に丁寧に教えられず、新人の教育には向いていなかった。

マニュアルがないころ教育に使った本

 米国の外食産業のシステムの詳細を最初に紹介したのは日本リテイリングセンターの故渥美俊一氏の著書の、「食堂の経営技術革命」1970年 柴田書店 発行 だ。

 1970年1月に日本フードサービス協会(現在の社団法人日本フード・サービス・チェーン協会,JFの前身)が設立され以下の本を出した。

監修者 力石寛夫

訳者  芝山忠彦

    武田二美

「レストラン・マネージメント」

1975年 発行

発行所 (株)プラザ出版

 同時期には外国のチェーン経営に必要なトレーニングシステムの本が数多く日本に紹介され、小売り、外食企業に採用されていった。人事管理の技術を詳細に述べたのは「人事管理と教育訓練・スーパーマーケットの人材育成」だ。この本では初めて科学的な人事管理論を以下の内容で述べている。

目 次

1. 従業員の離職

2. 従業員の必要数の予測

3. 従業員の雇用

4. 従業員の選考

5. 新入社員教育

6. 従業員教育

7. 教育の原理

8. 教育プログラムの作成

9. マネジャー教育

10. 計画、組織及び問題解決

11. 動機づけと作業意欲

12. コミュニケーション

13. 業績評価

14. 目標設定の事例

15. 目標設定プログラム

16. 昇進の基準

17. 賃金・給料の管理

18. 雇用と法律

19. 組合との関係

20. 人事部門の内容

21. 顧客とパブリック・リレーション

小売業、外食チェーンはこれらの文献に基づき、具体的な人事管理制度を固めていった。

著 者  エドワード.M.ハーウェル

 訳 者  現代経営研究会

「人事管理と教育訓練 スーパーマーケットの人材育成」

 初 版  1971年3月1日

 発行者  倉本初夫

 発行所  株式会社商業界

 上記の本は絶版であるが、以下の3つのサイトで最新の本を探せます。

故・渥美俊一氏の日本リテイリングセンター 発酵のチェーン理論教材

http://www.pegasusclub.co.jp/tanko.html

日本フードサービス協会 発行物

https://www.jfnet.or.jp/online_c.htm

日本フランチャイズチェーン協会

https://www.jfa-fc.or.jp/particle/1587.html

 スイングマネージャーの育成は、最初はマネージャーの現場管理を補助するためのものだった。次にマネージャーの負担になっていたのが細かい書類管理だ。そこで優秀な女子アルバイトに書類管理のスイングマネージャー教育をし成功した。

 ここで思いがけない問題が発生した。それは、女子スイングマネージャーのボーイフレンドだ。当時のマクドナルドには色々な人間がおり、アルバイトをする理由が単なる金だけではなく友人を作りたい、ボーイフレンド、ガールフレンドがほしいという不純な動機の者もいた。

 おもしろいことに優秀なアルバイトが優秀なアルバイトをパートナーに選ぶのではなく、意外とどうしようもない奴を選ぶ例が多い。彼女もその口だった。彼女の選んだボーイフレンドは1年以上も働いているが、モラルも低く夜になるとアルバイトを引き連れて飲みに行くという頭痛の種だった。

 勿論、以前いたどうしようもないアルバイトよりもコントロールはしやすいのだが、彼とつきあいだしてから彼女の仕事の質が落ち、モラルも低下しだしたのには困った。

 ボーイフレンドを辞めさせるのは簡単だが、そんなことをすれば折角育てた女子スイングマネージャーも辞めてしまう。つきあっている男子より女子の方が身分が上になると、男子がメンツをつぶすので嫌がるという日本独特の問題が発生してきたわけだ。

彼もスイングマネージャーにすれば良くなるかと思い、本人に希望を聞いた。彼の趣味は若い学生らしく車であった。それもかなり好きで、車のメインテナンスを自分でやり、ファンベルト、スパークプラグ、オイル、フィルターの交換なんかお手の物だという。車の話をし出すと目の色が変わりすごくポジティブな態度になる。学校も大学の工学部に通学し将来はエンジニアになりたいという。やっと彼にピッタリの大事な仕事が見つかった

 当時はオイルショックの後であり、全ての経費が上昇し、損益計算書が大変苦しくなっていた。特に、電気水道光熱費の急上昇が大きな問題となりつつあり、それらを消費する空調機器や調理機器の正しい調整、メインテナンスが脚光を浴びつつあった。

 社員が専門的な建物や設備備品、厨房機器のメインテナンスをやるのは専門家ではないから時間がかかるし無駄なように思われるし、メインテナンスを行うためには機械の作動原理などの基本的なことを知っていなければいけないなどすごくトレーニングに時間がかかるように思うが、マクドナルドで要求しているのは基本的にメンテナンス(維持)であり、リペアー(修理)ではない。

 女子スイングマネージャーのどうしようもないボーイフレンドに白羽の矢を立て、メインテナンスをやらせることにした。最初は責任感がないいい加減な奴なので心配していたのだが、思いがけもない効果が出たようだ。

彼にとっては店長が一人でしこしこ楽しそうにやっている大事な調理機器のメイテナンスを任されたわけだし、店長の筆者と一緒に仕事をするチャンスが増えて、スイングマネージャーの彼女より店長に大事にされているように思い、プライドを持ち俄然とやる気を出しだした。

そうなると筆者よりも車好きで専門の学校に行っているからその仕事ぶりは素晴らしい物があり、店舗の機械は何時もばりばりの新品の様に光り輝きだした。

まだAOC(上級トレーニングコース)を出ていないアシスタントマネージャーも彼の仕事ぶりをみて「お、すごいなー、今度どうやってメインテナンスをやるのか教えてくれよ!等と声をかけ、すっかり自信がついた彼は、今までいくら言っても働かなかった、早朝や深夜のメインテナンスの仕事も自分から進んでやるようになった。当然、夜、アルバイトを誘って飲み歩く回数も減りモラルも大幅に向上した。

 どんな人間でもよく見れば優れた点があるからその良い点を見いだし、チャンスを与えることにより、欠点や弱点も良くなると言うことを学ぶことができたわけだ。この手法は日本だけではなく筆者が後に米国に駐在したときに、やはり問題のあるアルバイトにも応用して大成功を治め事が出来た。人材育成は洋の東西を問わず同じであるという事だろう。

以下は王の経験談詳細です。

店長時代の勉強方法

ダンキンドーナツ時代(5-6店舗チェーン時代)のマニュアル作り

マニュアルの難しさ

店長時代の経験談

どんくさいアルバイトに作らせたわかりやすいマニュアル

その当時の経験談

問題点の発見方法

スイングマネージャーの育成

女子アルバイトの活用方法とボーイフレンド対策

続く

              △▼△▼△▼△▼△▼△

● 日本外食ニュースと米国外食ニュース

最新の情報は私のfacebookに掲載していますのでご覧ください。

https://www.facebook.com/toshiaki.oh

<日本外食ニュース>

柏原光太郎(カッシー)さん発行の飲食業界ニュースまとめのリンクです。

 柏原さんは、文芸春秋の編集者として活躍され、2023年3月末で定年退職。1967年から続くグルメガイド『東京いい店うまい店』(私が愛用していた信頼のおけるグルメ本です)の編集長を務め、自身もグルメとして知られる有名な方です。

「文春マルシェ」は柏原さんと食通販サイト「セコムの食」伝説のバイヤー猪口由美さんがタッグを組んでいます。「セコムの食」は残念ながら閉業。そこで「文春マルシェ」では、これまでが猪口さんが築き上げたおいしいものの人脈に、柏原さんの有名シェフの人脈がプラスされていて、魅力たっぷりに紹介されています。

おいしいは、ニュースだ

「文春マルシェ」

https://shop.bunshun.jp/store/top.aspx

2018年1月に「日本ガストロノミー協会」を設立し会長に就任しています。

食べログフォロワー数5万人。

https://tabelog.com/rvwr/kotarokashiwabara/

飲食業界ニュースまとめ #1267 2023/9/14

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飲食業界ニュースまとめ #1268 2023/9/15

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飲食業界ニュースまとめ #1270 2023/9/17

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飲食業界ニュースまとめ #1271 2023/9/18

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編集:石川史子、金子佐和美

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立教大学大学院ビジネスデザイン研究科

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