私は仕事柄チェーンレストランを定期的に訪問観察します。その店の雰囲気や料理が好きな訳でなく単に好奇心からです。でも個人的には基本的に老舗の個人店が好きです。と言ってわざわざ遠い店でなく家の近所でふらっと行けるお店が好きです。
1)玄蕎麦野中
私の住んでいる練馬はあまりおいしい店がないのですが、その旨い店不毛の土地に燦然と輝いていた店があります。それが田中屋という古い蕎麦屋です。天婦羅ごはんや天丼もあり、腹いっぱい食べる若いころの私の好きな店でした。
でも、天婦羅を食べた後の油で汚れた箸で蕎麦を食べると味が悪くなると怒る変わったおやじでした。そしてしばらくすると、うちは蕎麦屋だと、天婦羅ご飯や天丼をやめてしまったのです。蕎麦では腹持ちが悪く、しばらく行きませんでした。それが店を建て直し、美味しい活け車海老を出すちょっと高級な蕎麦屋、名月庵田中屋にしたのです。
立地が、環状七号線沿いで、ゴルフ場の点在する関越道インターに続く新目白通りに近く、ゴルフ帰りの社用族に贔屓され大繁盛でした。その田中屋の建て直し時に有名天ぷら屋に修行に行って、活け車海老天婦羅を開発したのが野中さんです。
そして野中さん暖簾分けをしてもらい、近くの自宅を改造して、最初は田中屋の屋号でお店を開店しました。住宅街の中で狭い店でしたが大繁盛しました。本家の田中屋と違い、気さくなビスと、酒飲み用のつまみを充実させ、天丼を出したのです。天丼の大好きな私は一気にファンになりました。
本家の田中屋は大繁盛していたのですが、田中さんの奥様が体調を崩され、店舗と商標を売却し引退してしまいました。引退後は西武沿線沿いのひばりが丘に自宅を構えました。しばらくして奥様の体調がよくなったとかで自宅を改装して小さな蕎麦屋を営んでいましたが、2018年に閉店したそうです。野中さんは店名を変え、玄蕎麦野中として現在に至ります。
田中屋を買収した人は西武百貨店や銀座や赤坂にお店を出し、銀座田中屋としてはやらせました。そして、2017年に関西のうどんチェーンの杵屋にお店と商標を売却したのです。
天麩羅蕎麦。地元の名店、玄蕎麦野中。コロナ禍で持ち帰り多かったけれど、天麩羅は店舗に限りますね。いつもはボリュームたっぷりの魚介天ぷらを食べるのですが、小ぶりな海老天ぷらを初めて注文しました。
小ぶりと言いながら、十分に大きい普通サイズのエビが4本もついて十分な量でした。海老の踊りかき揚げもボリュームあり美味しかったですね。
情報HP
王の紹介HP
画像 facebook
銀座田中屋売却
名月庵田中屋HP
http://www.soba-tanakaya.com/honten/tenpojyoho/index.html
その後の本家田中屋創業者情報
2)天婦羅つな八
老舗でありながらチェーン展開している天婦羅のつな八は、私の好きな老舗でありながらチェーン展開しているので便利です。いつもは待たずに座れる池袋のパルコ店で食べるのですが久しぶりに新宿つな八総本店にいきました。
つな八を知ったのは大学を出てレストラン西武に入社した時です。社内報で紹介され訪問したのです。まだチェーン展開はしておらず、新宿の店のみでした。
そして当時の天婦羅定食680円で提供したのです。活け車海老と生きたアナゴを、顧客の目の前でさばき提供するという素材感が価値感たっぷりでした。
その後私がマクドナルドに転職し、SVとして新宿エリアを担当すると、980円とちょっと上がりましたが大繁盛です。ちょうどそのころから多店舗経営に乗り出し一時は60店舗くらいになったのですが、仙台が倒れ一事は元気ありませんでしたが、現在の社長になり元気になっています。
支店は多いのだけれど、ぼろぼろの本店がベストです。カウンターを1階に2つ、2階に3つくらい設置し、カウンター客12、3人に天麩羅鍋1台と、天麩羅鍋が多く、カウンターに座ると、熱々の揚げたての天ぷらを1品づつ食べられるのです。
テーブル席もあるのですが、運ばれるほんの少しの時間で揚げたて間がなくなるのです。おすすめの席は1階入り口の入ってすぐのカウンターです。ここは昔からベテランが揚げています。
江戸前の天ぷらは、穴子などのちょっと泥臭い魚をあげるので胡麻油でカリッと揚げるのです。創業時は魚屋だったそうで、てんぷら屋としては魚の鮮度が抜群に良いのです。天婦羅を待つ間にその日のおすすめの魚の刺身で一杯やるのがおすすめです。
天婦羅チェーン店で有名な てんや 創業者の岩下さんが、先代2代目店主志村圭輔氏と慶応の同窓生ということで働かせてもらい、ノウハウを構築し創業したのは新宿で有名です。
チェーン店でありながら、原点の味を守っている稀有なてんぷら屋です。
公式HP
情報HP
現社長の情報
http://in-shoku.info/foodfighters/vol424.html
画像 facebook
3)元気で目を見張るサービスの中国の火鍋チェーン海底撈火鍋ハイディラオ
コロナ禍で数年ご無沙汰の海底撈火鍋ハイディラオ。6時に予約できなく4時半から1時間半だけという大繁盛。これでもコロナ禍前の7割くらいです。ここの大きな特徴は日本飲食店のおもてなしを抜くサービスです。
忙しい店ですから20名ほどが座れるウエイティングコーナーがあります。奥には子供が遊べるキッズコーナーがあり、子供の安否をスマホで見れるようにしています。待つ人が退屈しないように、フルーツを入れた水とスナックやフルーツを提供しています。女性には希望すると無料でネイルサービスを提供します。
吹き抜けの2層の大きな店内は豪華で最近の日本の貧弱な店では太刀打ちできません。
メニューは火鍋で、牛、豚、ラムを選べます。おすすめはラムですね。そのほか、海老や海老のすり身や魚肉団子もあります。
私の好きなのは、鴨の血を固めた、豆腐のような食材です。ビタミンミネラルが豊富な食べる栄養食品です。野菜も豊富です。火鍋はつけて食べる汁が大事ですが、大きなコンディメントコーナーがあり、出しに入れる大蒜や香草が食べ放題です。
メニューは日本語化しているのですが、中国人でないとわからない言葉が出てきます。私のスタッフの中国人たちの大好きな店ですので、いつも通訳付きで楽しんでいます。手延べ麺は従業員が踊りながら作るエンターテイメントです。また、京劇風の仮面をかぶった従業員が踊って歩くのも人気です。
中国の貧しい店を考えないでください。現在の中国の大型繁盛外食店はとてつもなく、大木記号化で素晴らしいサービスを提供します。それに引き換え、省人のロボット配膳に邁進するサービスレスの日本の飲食店は反省が必要ですね。
飲食店は、美味しい料理だけでなく素晴らしい店舗内装と、従業員のサービスが必要なのです。
公式HP
画像 facebook
以上