マクドナルドのマニュアル 01

レストランチェック

 過去5回ほど小さくまとまった、使いやすいダンキンドーナツのマニュアルをご紹介いたしました。

 これからマクドナルドの膨大なマニュアルをご紹介しましょう。といっても30年以上前のマニュアルで、時代遅れと思われるかもしれません。私がマクドナルドを退職後もマクドナルドを観察してきましたが、マクドナルドは日米とも、マニュアルや、店舗オペレーションを簡略し、店舗の負担軽減を図ってきました。

店舗の負担軽減できたのですが、肝心の危機対策がすっぽり抜けています。

 マクドナルドの古いマニュアルを紹介しようと思ったのは、2014年末の異物混入事件とその後の処理の不手際に危機感を覚えたからです。

 日本マクドナルド3代目社長の原田泳幸社長が退任し、サラ・カサノバ氏に引き継いだ後の、2014年7月にチキンマックナゲットの中国製造業者の不衛生な管理で評判が落ちた後、2014年月末から、2015年正月にかけての異物混入で、大打撃を受け巨大な赤字計上、店舗数1000店舗あまりの閉店と改装という荒療治後、劇的な回復を示しています。

ただマクドナルド関係者はたいへん口が堅く、真相がよくわかりませんが、私はマクドナルドに20年弱在籍し、その後ファストフード企業のコンサルタントとして独立し外部からの観察を続けていました。私の経験から問題の真相をご説明しましょう。

日本マクドナルド不振の経緯

<1>異物混入関連

 2014年夏に中国でチキンナゲット製造企業が消費期限問題発生でマックとKFCは大打撃を受けました。マックは日本でも使っていて、ファミリーマートもとばっちりを受けました。

 このメーカーは上海の食肉加工会社「上海福喜食品」で、使用期限を半月過ぎた鶏肉やカビが生えた牛肉を使っていたことが発覚し政府の摘発を受けそれがテレビで大々的に流れました。

 日本マクドナルドは販売するナゲットの約2割を上海福喜から調達し、取扱店舗は全店の約4割に当たる約1340店で、約500店では全面的にナゲットの販売を停止しました。

ファミリーマートも約1万店で販売していた「ガーリックナゲット」と、21日に東京都内など10店で試験販売を始めた「ポップコーンチキン」の取り扱いを中止です。

上海の放送局が20日夜に使用期限を過ぎた鶏肉や牛肉を使っていたことを暴露。中国ではマクドナルドやケンタッキーフライドチキン(KFC)の現地運営会社が上海福喜から仕入れていたそうです。

 上海福喜は米国食肉大手のOSIの子会社です。OSIはマックの最大手の食肉サプライヤーで、日本にも四国に工場を合弁で持っています。

報道

http://www.asahi.com/articles/ASG7Q571RG7QULFA01K.html

http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2014/07/post-3338.php

http://www.nikkei.com/article/DGXNASDC2200H_S4A720C1MM8000/

http://www.mynewsjapan.com/reports/1760

http://www.huffingtonpost.jp/2014/07/22/husi-food-scandal_n_5611481.html?utm_hp_ref=japan

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0FR0D520140722

http://jp.wsj.com/news/articles/SB10001424052702303828304580044251362242816

OSI情報

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0FR0D520140722

Home

日本のOSI

http://www.obfoods.co.jp/

http://sonicch.com/archives/39267128.html

http://blog.esuteru.com/archives/7781331.html

http://www.akb48matomemory.com/archives/1006392577.html

http://annex2ahouse.blogspot.jp/2014/07/blog-post_23.html

http://www.kimasoku.com/archives/7781021.html

http://blog.livedoor.jp/futuer_thinking/archives/mac-niku.html

http://ai.2ch.sc/test/read.cgi/newsplus/1406022630/

追い打ちをかけたかのように2015年1月6日にチキンナゲットに異物問題発生しました。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150106-00000500-san-soci

https://imode.net/imail/oexaf/ahtm/index_f.html

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150105-05092439-webtoo-l02

http://news.yahoo.co.jp/pickup/6144912

http://papipu2ch.blomaga.jp/articles/63172.html

 青森県の1店でチキンマックナゲットにビニール片のような異物の混入が確認されたことと、12月31日、東京都江東区の「東陽町駅前店」でビニール片のような異物が混入していたと店員に申し出ていた件です。

 マクドナルドでは製造現場では、色のついたビニールを使用していると発表し、同一ロットのナゲットを販売中止しました。でも、東京の場合は白か透明なので、同一工場で同一日に製造されたナゲットの使用中止の措置などは取らないとしていました。

 問題は店舗がその現物を保管もしなかったし本社に報告もしていなかったことです。店舗でのオペレーションは大分荒れているようです。

 マクドナルドは、リストラをやり過ぎ、過去の経験を知っている優秀な人材がいないようです。原田泳幸氏は英語を話せる専門家を多く採用しましたが、それらの人材はマクドナルドのことを全く理解していないようでした。

役員も店舗経験の無い人が多く、実情をわかりやすく説明できないようです。また外部委託が多いので(今回の品質管理も外部委託にしてしまったようです)社内に危機管理対策を知っているものがいないので、今回のような正月の時期には説明できないようだった。

売上動向

2016年12月期上半期決算発表

https://www.youtube.com/watch?v=O3_rXN3enOU

異物混入

https://www.youtube.com/watch?v=hmCN–NzRKU

CEOサラ・カサノバ氏出張時の取締役による記者発表(マスコミは批判的)

http://www.tokyo-sports.co.jp/nonsec/social/354152/

http://www.j-cast.com/tv/2015/01/08224805.html

青木岳彦取締役と菱沼秀仁取締役のキャリア

http://www.mcdonalds.co.jp/company/outline/gaiyo.html

日本マクドナルドホールディングス役員

http://www.ullet.com/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%83%9E%E3%82%AF%E3%83%89%E3%83%8A%E3%83%AB%E3%83%89%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%82%B9/%E5%BD%B9%E5%93%A1

日本マクドナルド役員

http://www.mcd-holdings.co.jp/news/2014/release-140219b.html

日本マクドナルド 日本人役員

https://swot.jp/company/officer-detail/5035/

 私はマクドナルド時代、店舗からのたたき上げで、店舗管理が中心であったのですが、平行して品質管理に深く関与していた経験があります。

 その経験を元に岩波書店から「失敗に学ぶクレーム対処術」という本を執筆しているのでご参考いただきたいと思います。

岩波アクティブ新書   http://www.iwanami.co.jp/

電子出版             http://www.papy.co.jp/act/books/1-24680/

 品質管理では異物混入対策は当たり前で、一番の懸念は食中毒でした。

その中でも牛肉に固有の食中毒菌 腸管出血性O-157でした。私が米国に駐在していた時に事故が世界で初めて発生し、CDCが記者発表し翌日から売上が激減し、戻るまで大変大変でした。

http://sayko.co.jp/article/cyubou/95-01.html

http://sayko.co.jp/article/cyubou/95-02.html

 そこで米国マクドナルド社は大手食品工場の品質管理の専門家を招聘し、役員にし、品質管理を徹底するようになったのです。

HACCPと言う厳格な衛生管理の工場や店舗への導入から、原材料単品ごとの品質基準を明確に定め、ブラック・ブックという膨大な規格を詳細に定め、異物混入対策として、工場で使う加工機器の構造と部品の成分と金属材料明細、使用する包装用紙、金属探知機の性能を明確にしました。

更にクオリティ・アシュアランスと言う品質管理専門家を育て工場のチェックを厳格に、無予告に行うようになったのです。

 また、工場の製造・品質管理レベルとモラルを上げる、プロダクトカッティングと言う、他工場の同じ製品を工場の責任者と一緒に比較する仕組みを行い、プライドから品質を向上させるようにしたのです。

マクドナルド従業員の工場見学や、工場従業員の店舗実習を行い、交流を深めプライドを持って品質管理をさせるようにしたのです。

 マクドナルドの最終的な目的は工場で加熱調理師し、店舗では再加熱することで安全性を保つことでした。

メイド・フォー・ユー(以前はステ-ジング)という、加熱調理後60℃以上で保温するシステムは、実はサービス速度の向上だけではなく残存菌を死滅させることでもあったのです。

当時、将来は工場で全ての食材を加熱調理し、殺菌し、店舗で再加熱するという構想を持ち、当初は店舗で手作りであったホットケーキを工場で焼き上げ冷凍配送したり、チキンナゲット等のチキン商品は工場で火を通し、店舗で再度揚げ直す。

フレンチ・フライやポークパティ(テリヤキバーガーや朝食用のポーク・ソーセージ)も工場で加熱調理するという事はすでに実施しています。

王の原稿

「マクドナルド 調理機器技術50年史」 <前編>

http://sayko.co.jp/food104/mac1.html

「マクドナルド 調理機器技術50年史」 <後編>

http://sayko.co.jp/food104/mac2.html

 私の外食コンサルタントの経験からも、マクドナルドの異物混入対策や衛生管理対策は,他の外食産業よりも進んでいると断言できます。唯一後退しているかもしれないのは、厳しいリストラによる従業員と業者のモラル低下と、社員の知識不足かもしれません。

マクドナルドは絶不調であえいでいますね。

http://news.yahoo.co.jp/pickup/6146915?fr=fb_pc_tpc

http://allabout.co.jp/newsdig/c/77970?FM=fb_20150122_12&cm_mmc=FB-_-20150122-_-12-_-null

そうすると3代目社長の原田泳幸氏の功罪が話題に上り始めました。

ビジネスジャーナルで

http://biz-journal.jp/2015/01/post_8702.html

マックでは怪文書、ベネッセでは再就職斡旋パンフ…原田氏の破壊的切り捨て経営と糾弾され出しました。

また

原島清司マクドナルドオーナー34店全て手放す

http://kenjunomure.seesaa.net/article/408476275.html

では原田氏時代の問題点を指摘しています。

 ナゲットの問題を受けて会見を開いたサラ・カサノバCEO(2014年)の態度も非難を呼んだのです。自信たっぷりの英語で、マクドナルドも被害者であると、詫びることはなかったのです。

これでマスコミは批判的になったのでしょう。事故を受けてマクドナルドは、外部監査の事前予告を無予告に変更。さらに本社の品質保証担当者が年に1度、無予告で監査を行うことにしたといわれています。

商品の安全性が最重要視される外食企業の反応としては遅すぎたのです。

 マクドナルドは慌ててチキンマックナゲット全量をタイからの調達に切り替えるなど早めに手を打ったものの効果は乏しかったのです。

私のころは輸入だけでなく国内企業の伊藤ハムに製造を依頼して、問題があれば即座に切り替えられたのですが、伊藤ハムとの関係が薄れ、対応ができなかったのです。

その結果2014年10月には、2014年12月期の経常損益が赤字に転落すると発表せざるを得なかったのです。2001年の上場以来初の経常赤字です。

マクドナルドの試算によれば、チキンショックで同社が失った売上高は、2014-15年の2年間で1000億円に達するそうです。

 マクドナルドでは基本的に、店舗ごとに収益管理を行います。売上高から、食材費、人件費、家賃や水道光熱費、広告費、修繕費などを差し引いた利益が収益の中心となります。

このうち、変動費である食材費、固定費に近い家賃、水道光熱費、広告費などは店舗での削減余地が少ない。

売上高が減少した際に、店長の裁量で削減する余地が大きいのが人件費や修繕費なのです。

 もちろん藤田時代も条件は同じだったのです。だが、原田改革の(1)店舗業務標準化により、本社のマネジメントが強くなり、そこに売上高の伸び悩みが重なったことで、各店舗の店長に強烈なコスト削減のプレッシャーがかかることになったのです。

 これに加えて(3)の人員削減もマクドナルドの傷を深める要因となっています。

「人員を減らし、コストを下げると本社からの評定がよくなる仕組みになっている。これじゃあ客への対応が十分にできない。異物混入騒ぎがあそこまで大きくなっても不思議じゃない」(現役店長談)

 2010年頃から続くサービス力の低下は数字にも現れているのです。

「サービス産業生産性協議会」が行っているJCSI(日本版顧客満足度指数)によれば、マクドナルドの顧客満足度は2010年の調査で外食企業21社中、14位だったが、2013年、14年と連続で最下位となっているのです。

 異物混入問題の拡大を受けて2015年1月7日、社長不在のまま、青木岳彦、菱沼秀仁の上席執行役員が説明・謝罪会見を開いたものの、「どのくらい混入件数があるのかは開示できない」「経路は調査中」などしどろもどろの説明だったのです。

社長のカサノバは、米国本社への出張としていたのですが、米国企業はクリスマスから新年は一般的に、クリスマス休暇であったに違いありません。

米国はサンクスギビング、クリスマスの後から新年の間は閑散としており、多くの役員はクリスマス休暇を取るので、出張して会議などあり得ません。

欧米のキリスト教徒と異なり、仏教徒の日本人は、サンクスギビングやクリスマスを静かに祝うことなく、里帰りなど旅行し、買い物し、宴会を開きます。

年末年始・正月は年間で最も忙しく、多くの仏閣の近くの店舗は24時間営業で大忙しです。事件やトラブルも多いのですが、官公庁や業者も休みで、異物混入等の事件の際に対応が遅れがちです。

社員は経営幹部や社長を含め危機管理体制をひき、24時間体制で勤務します。取引先にも危機管理体制をひかせ、担当者が旅行する場合でも緊急連絡が取れるようにします。

 菱沼秀仁氏は店舗からで、原田泳幸氏にかわいがられ、取締役に抜擢されたようです。

しかし、工場や店舗の品質管理の知識がなさ過ぎたようです。

筆者の頃は、店舗の社員も定期的に工場を訪問し、製造ラインの管理をチェックしていたのです。日本の正月やゴールデンウイークの頃は爆発的に売れるので資材が不足する場合も多いのです。

しかし天候が悪いと資材の賞味期限が過ぎ廃棄処分が必要になります。そのため、工場責任者は待機させ、出かける場合は連絡先を報告させ、緊急時に対応させたのです。

私は繁忙期には資材が不足すると、深夜でも担当者をたたき起こし、製造させていました。もちろん普段からコミュニケーションをとっているので快く対応してくれました。

しかし菱沼秀仁氏はそのような経験と知識がないような対応でした。

マスコミの追及は大変ですが、筆者が店舗を統括していた時代には、やくざ、共産党、日教組、県警や・警察、米国海軍提督などとの難しい団体につるし上げられたし、高等裁判所での訴訟事件の証人出廷、の経験もあり、どんな状況に追い込まれても平然と対応できる実践訓練を受けていました。

そんな経験も品質管理の知識がないのでは、記者会見に臨むのは無理だったのでしょう。青木岳彦氏は外部からの入社組で、マクドナルドの知識はほとんどなかったのでしょう。

また記者会見などの厳しい環境にも慣れておらず、この厳しい質問攻めの記者会見の後は出社できず、退職に追い込まれるという惨状だったようです。

 そういう意味では、マクドナルド2014年年末の異物混入後の2015年正月の社長不在の記者会見での取締役2名のおどおどした自信のない対応は残念でした。

 1月に異物混入がインターネット上で騒がれるまでは既存店売上高は20%減程度だったのですが、この会見後、一気に60%減にまで落ち込んでしまいました。

 ある外食専門誌は原田泳幸氏の退任について次のように書き記しています。

『残念でならないのは、24時間営業の拡大により(マクドナルド=)寝るための場所という利用動機を生み出し、定着させてしまったことだ。これは外食経営者として許せるものではない」

「寝ている人ばかりの客席で食事をして楽しめるわけがない。深夜のマクドナルドはレストランのあるべき姿とかけ離れている」

 原田改革の果てに残ったもの――それは荒廃した現場とズタズタになった経営だった。

こうしてみると、原田は従来のマクドナルドに存在していた2つの大事な哲学を壊してしまったと言えるのだ。

ひとつは「マクドナルドはピープルビジネス」という哲学だ。同社のホームページには「人を大事にし、人の力で事業を成功させる」との経営理念が掲げられている。

だが、先にもふれたとおり、原田体制下で人材は流出した。現役、OB問わず多くの関係者が「マクドナルドの経営危機の根幹は人材不足にある」と見ている。

 2014年秋には、一度マクドナルドを去った社員たちにヘッドハンターから連絡があった。

「もう一度復帰して、マクドナルドの復活に手を貸してくれないか」と電話があった。

転籍した人を呼び戻そうとするほど、人材に困っていたことは間違いない」(OB)

だが、人材の大部分は帰って来ない。かつての人材輩出企業の輝きは薄れ、現場の社員も怒りの声を上げているのだ。

 もうひとつは、「3本足の椅子」という哲学だ。

これは、サプライヤー・FC・マクドナルド本社という三者の強固な関係性を指した言葉である。

前述したように、マクドナルドの創業者であるレイ・クロックは自伝で、いかに彼がサプライヤーを大事にしてきたかを強調している。この精神は米国だけではなく、日本のマクドナルドにも引き継がれた。

だが、原田改革の結果、マクドナルドはまず現場の従業員、次にサプライヤーとの信頼関係を失い、そしてFCも離反しつつある。「3本足の椅子」は音を立てて崩れ始めている。

 原田の米国式改革――中央集権による標準化、人員削減やグローバルな取引による効率化――は現在も逆回転(バックスピン)を続けている。もちろん改革のすべてが間違いだったわけではない。

 だが、事実を冷静に見つめるならば、性急な改革の果てに30年以上にわたって積み上げてきた哲学もビジネスモデルも原田の在任中に崩れてしまった。

原田が目指した米国式改革は短期的には大きな成果を収めたかもしれない。だが、長期的に見て、マクドナルドの利益につながったのだろうか?

 私は日本マクドナルド創業2年目に入社し、19年勤務し、その間、店舗運営や機器開発・商品開発の要職を務め米国に2年間駐在し、米国マクドナルドの経営陣と交流をし、マクドナルドの内側を熟知している。

30年前に退職して、外食専門のコンサルタントとして、日米のマクドナルドを他外食産業と比較しながら外部から観察していた。

さらに10数年前から大学講師や教授としてマクドナルドを学術的に研究していました(筆者の学生2名が、マクドナルドをテーマに博士論文を執筆し博士号を得た)。

 筆者がマクドナルドの異常な不振の前兆を感じたのが、立教大学大学院ビジネスデザイン研究科で教授として教鞭をとっていた2008年頃です。

博士課程の大学院と、キャリアアップのためのMBA(Master of Business Administration) /DBA(Doctor of Business Administration)の大学院の学生は異なります。

通常の大学院の修士課程、博士課程は大学各学部の上位に存在し、学部出身の学生が学び、将来は研究者や教授をめざします。

MBA/DBAの大学院は大学各学部からは独立しています。

立教大学大学院ビジネスデザイン研究科の学生は2年以上の社会人経験者でなくてはならない社会人大学院です。

学生がMBA/DBAで学ぶ目的は、会社でのステップアップ、転職、起業などです。多くの学生が企業における現状に満足できず学ぼうとしているのです。

筆者は29人の卒論を指導し、そのうちの8人ほどが転職しています(3名が大学教授になった)。

しかし、2008年に入学した2名を見て驚かされたのです。1名がマクドナルドを退職してマクドナルドOBが設立した人材コンサルタント会社に転職したばかり。

もう一名は何と現職の社員です。それも私が在職したことのある店舗運営の中枢を担う運営統括部(オペレーションデベロップメント)だったのです。これは異常な状態だと認識させられたのです。

 もう一つの異変は、マクドナルドのアルバイトの意識の変化です。

筆者は大学院の他に立教大学観光学部でも教鞭をとっていました(学生数は年平均150人と多かった)。授業は外食産業論という外食分野の授業です。

外食企業は学生が顧客としても使って親しんでいる。そこで、ファミリーレストランやファスト・フードなどをもとに企業の仕組みをわかりやすく説明しました。

大学生の95%ほどはアルバイトをしており各企業の真の姿を内部から観察しているのです。

生徒に教えるだけでは面白くないので、大学生から情報を得ることにしました。授業ではマクドナルドの経営手法の顧客に対して提供するQSC(品質・サービス・清潔さ)と経営に必要な人・物・金の管理をわかりやすく教えていたのです。

単位取得の条件は出席率と、試験の代わりのレポートにしました。

 授業の理解度を測るレポートのテーマは、各学生のアルバイト先の評価としたのです。

アルバイト先を授業で教えた、QSC(品質・サービス・清潔さ)と人・物・金の管理で評価させました。学生のアルバイト先は多岐に及んでいた。

一番多いのが外食企業で、その他、小売業、塾、パチンコ、テーマパークなど幅広いのでした。

 立教大学の学生はたいへん優秀で、そのレポートは緻密で正確なのに驚かされました。

レポートからは、従業員の扱いが悪いか大切に教育トレーニングをしているかなどの企業の経営方針がよくわかったのです。

優れた企業でアルバイトしていると、レポートの内容がきちんとしているだけでなく、きちんとした教育内容によりアルバイトが成長し、その企業への愛着と感謝が見えるようになります。

アルバイト先の企業で優れているは、東京ディズニーランド(オリエンタルランド)がダントツでした。それに次いだのが外食分野でマクドナルド、デニーズ、ロイヤルの順でした。

ちなみにファミリーレストラン最大手のすかいらーくのアルバイトの評価は低かったのです。

その2番目に評価の高いマクドナルドの評価が2008年に著しく低下したのでした。

立教大学に近い大きな繁華街にある大型店舗のマクドナルドの評価が著しく低下したのでした。その内容は店長の資質の低下と店舗状況(人間関係)の悪化でした。

 また同じ時期にある店舗の社員が上司に私のHPが参考になるよと言われていたのを聞きました。私はマクドナルドの経験を述べているのに、参考になるとは何だろうと心配になったのです。

 それらの変化で異常を感じた私は、在籍中の社員や退職者からそれとなく事情を収集開始しました。

 私の経験と収集した資料や情報、日米の文献、日米マクドナルドのHPをもとにマクドナルドで何があったのかをできるだけ明確にしていきました。

勿論筆者がマクドナルドを離れて久しいので、その間に何があったのか、退職したベテランOBに重い口を開いてもらったのです。

王執筆の クレーム処理・危機管理対策

王執筆の防火管理

 今回はその2代目CEOのフレッド・ターナーが作成した、米国初期マニュアルと次回に1990年の日本のマニュアルの目次をご紹介しましょう。

1958年の米国フレッドターナー作成初代マニュアル復刻版 (わずか89ページで写真はありません)

方針と実施方法

クリーンアップマン

クリーンアップマンのワークスケジュール

害虫駆除

タオルの洗濯

洗面所の清掃方法

ステンレス部分の清掃

一般的なメインテナンスと清掃作業

清掃とメインテナンス用備品

ディリークリーニング

マネージメント

ターンオーバー

全マクドナルド従業員についてのメモ

食品原材料のスペシフィケーション(明細)

温度設定

食品原材料の準備

店舗のオープニング手順

店舗のクロージング手順

サービスのオペレーション

完全でない限り売ってはならない

損益計算書

キャッシュレジスター

オペレーションフォーム

マクドナルド従業員の掟

アドバンスプリパレーション

正しくなければ提供してはならない

続く

王利彰(おう・としあき)

王利彰(おう・としあき)

昭和22年東京都生まれ。立教大学法学部卒業後、(株)レストラン西武(現・西洋フードシステム)を経て、日本マクドナルド入社。SV、米国駐在、機器開発、海外運営、事業開発の各統括責任者を経て独立。外食チェーン企業の指導のかたわら立教大学、女子栄養大学の非常勤講師も務めた。 有限会社 清晃(せいこう) 代表取締役

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