料理することの喜び

南イタリア美食便り

プーリアの我が家では毎日昼夜2食は料理するのが日常的で、滅多に独りで食事をすることはありません。特に週末は私たち家族のうち誰かが独りだと知ると友人や親戚が一緒に食べようと招いてくれます。それが、単身赴任の身になって孤食の機会がぐっと増えました。慣れていなくて、ちょっと寂しい思いをしています。

パスタ料理にしても一人分を上手に作るのは至難の技。多めに作って冷凍しておくというのも味が落ちるに違いないと思うと作り置きする気にもなりません。

料理を作る作業全体、メニューを考える、材料を選ぶ、調理をする、盛り付ける、というすべてがクリエイティブな行為だなとつくづく思います。私にとっては趣味というかストレス解消にもなっていたのかもと思っています。

それに加えて誰とどこで食べるのかという要素もとても大切。むしろそちらの方が大事と思えるほど食事というのは社会性が高い行為ということを実感します。「どんなものでも好きな人と食べると美味しく感じる」というのは真実だと思います。

そこで、「料理がしたいので食べる人集めてください。」と地元の知人にお願いして、地元の食材で私がイタリア料理を作るというお食事会をしました。

メニューは主に佐伯産の魚を使った料理。新鮮なブリ、イトヨリ、車エビを地元の海鮮市場で入手。佐伯ではブリは天然、養殖ともとてもポピュラーな魚でお刺身の分厚さと歯応えのあるプリプリ感は目をみはるものがあります。これをあえてカルパッチョのように薄く削ぎ切りにして名産品のカボス、ローズマリー、オリーヴオイルと佐伯の海水塩で軽くマリネにしました。

車エビは殻で出汁をとりズッキーネと身を一緒に炒め煮にしてパスタソースにしました。メインはイトヨリのオーブン焼き。特産マリンレモン、玉ねぎ、プチトマトと白ワイン、オリーヴオイルで蒸し焼きです。新鮮な魚があってこそのシンプルな調理方法です。

プーリアの我が家のオリーヴオイルをたっぷり使うことで味にコクが出るのが、隠し味でもあります。改めてオリーヴオイルのチカラを実感しました。

前菜からデザートまでプーリアでするように料理をしてみて、気づいたことがいくつかあります。出来るだけ地元で簡単に入手できる地元産の食材を使いたいと思ったのですが、パプリカやトマトなどの味が薄いこと。スーパーなどで買えるパスタの種類が少ないこと。良質なオリーヴオイルもスーパーでは売っていないこと。小麦粉の味も違うし、そもそも水が違うので塩分の分量も調整が必要なこと。

地元の酒屋さんでもプーリア産のお手軽値段のワインは購入できること。そして何より魚の値段が安いこと。

参加してくださった方々は「こんな食べ方があるとは!」と言って驚いてくださり、美味しいと喜んでくださいました。お料理教室やったら参加してくださるとも言ってくださいました。私も料理することの喜びと共に、お話にも花が咲き楽しいひと時を過ごすことができました。

大橋 美奈子

大橋 美奈子

東京生まれ。演劇プロデューサーを志し、高校卒業後アメリカ留学。ニューヨーク大学芸術学部在学中は舞台、映画で俳優及びプロデューサーとして活躍。卒業後、メディア関係のリサーチ、コーディネイト会社を設立。現在はホスピタリティビジネスのコンサルタントである夫ジョヴァンニの故郷であるイタリア・プーリアから“外食とはエンターティメントである”という考えのもと“感動”を創る仕事を支えています。

関連記事

メールマガジン会員募集

食のオンラインサロン

ランキング

  1. 1

    マクドナルド 調理機器技術50年史<前編>

  2. 2

    「アメリカから続々日本進出する外食チェーンの実力度」(商業界 飲食店経営2006年9月号)

  3. 3

    「ダンキンドーナツ撤退が意味するもの–何が原因だったのか、そこから何を学ぶべきか」(オフィス2020 AIM)

アーカイブ

食のオンラインサロン

TOP