ロンドンから夫の昔の同僚が家族を連れてプーリアの我が家のゲストハウスに遊びに来てくれました。彼女と夫ジョヴァンニが出会ったのは2人ともソウルの新羅ホテルで働いていた時なのでかれこれ約30年近く前になります。その後2004年にこちらで上田さんも書かれていたシドニー研修旅行に参加した際、見学に行ったハンターバレーのワイナリーで、予期せぬ再会を果たしました。当時彼女はシンガポール在住で、シドニーへは観光旅行中でしたので、本当に偶然です。それ依頼Facebookなどで繋がりながらも、さらに20年が経ち、万を期してのプーリア訪問となりました。
彼女はソウル出身の韓国人で、夫は白人系のイギリス人。バックパッカーだった彼がソウルを訪れ彼女と出会い6年後に結婚、その後シンガポール、ドゥバイ、イギリスと移り住む間2人のご子息を授かり今に至るとのこと。年齢や結婚した時期も近く同じ年代のヨーロッパ系とアジア系のミックスの子供を持つ事ことなど共通点がたくさんあり、お互い生まれ育った国を離れての生活が長いので、話が尽きません。
彼女がロンドンからお土産に持ってきてくださったのが、自家製のキムチ。漏れがない様に厳重にラップされ無事到着しました。日本留学中にキムチの味を知り大好物になった娘は、大感激です。今は、さらにもう一度ジッパー付きプラスティックバックに入れて冷蔵庫に保管していますが、ロンドンで作られたキムチのお味はいかがなものか、お味見するのが楽しみです。
キムチは、ナショナルプライドとも言える韓国が世界に誇る発酵食品です。発酵食品といえばブルーチーズ然り、好き嫌いや食わず嫌いが激しいですが、「KOMBUCHA=紅茶キノコ」の様に健康食嗜好の人々の間では驚くほどのブームになった食品もあります。
日本の国菌である糀もその効用が高く評価されています。佐伯には「塩糀ブーム」の火付け役となった麹屋本店の浅利妙峰さんがいらっしゃいます。伝統的な食文化は観光の重要な目玉となります。海外でのアピールを考える上で、「ハマる」使い方のアイディアはポイントなります。
地元の特産品である糀のアレンジレシピを考案するという佐伯豊南高校のプロジェクトで、糀のイタリア風アレンジの意見を聞かせて欲しいという依頼を受けました。
キムチは、どんな料理に入れてもその味が圧倒的な存在感を示すので、それ自体が完成度の高い食品と言えるでしょう。一方糀は旨みやまろやかさが増すと言う意味で存在感はありますが、隠し味と言うか、縁の下の力持ち的な食品かと思います。
プーリア料理では、食材の新鮮さや味の濃さをシンプル調理することが多いので、そのものの味を大事にする感が強いと感じています。その場合、調理のプロセスの中に麹を加えることによって、味に深みが加わったとしても、それはそれで美味しく仕上がったとしても、プーリア料理とは言えないのではと言う思いがあります。
ヨーロッパとアジア、それぞれの発酵文化であるチーズやワインと麹や酒。食品そのもののオーセンティックさとは何か。また、料理する上でアレンジの可能性は無限大でもあります。
「食べることは生きること」。食文化の未来。イギリスと韓国、イタリアと日本のミックスされたDNAを持つ若者たちに囲まれてそんなことを思い描いています。