例年より2−3週間早く、日当たりの良い場所ではアーモンドの花が咲き始めました。桃やプラムなどに先駆けて桜を思わせる大ぶりの花を咲かせるアーモンド。プーリアに春の訪れを告げる花です。コロナ禍が始まって3度目の春、終息を祈る気持ちが募って早めに花を咲かせているようにも感じます。
ワイン用ブドウの減反政策のため1950年代からアーモンドへの植え替えが勧められたことで、当地の特産品にもなっているアーモンド。我が家にも3本ほど大きな木があります。アメリカ産のものと比べ形は小さく丸みを帯びています。味は違いをはっきり感じるほど甘味とコクが強いのが特徴です。アーモンドパウダー100%のクッキー、砂糖がけしたコンフェティ、アーモンドミルクなど、郷土菓子を含め様々な使い方で馴染みの深い食材です。ビタミンEを多く含みアンチエイジング効果が高いとも言われています。
春の気配は感じつつもまだまだ寒さは続いていますので、特に夕食の食卓にのる料理はお腹から温まるスープ類が多くなります。レンズ豆、ひよこ豆などのスープ、カリフラワー、かぼちゃなどのポタージュ。オックステールのコンソメやポトフ。極め付けはピニャータと呼ばれるテラコッタの壺の中に朝、水と野菜、豆、肉などを入れて暖炉の隅に置いておくという料理。遠赤外線でじっくりゆっくり調理され、夜には魔法のように美味しいスープが出来上がっています。
日本だと鍋ものというところでしょうが、イタリアでは食卓の上にカセットコンロを置いて調理しながら食べるという食習慣がありません。一つの鍋をみんなでつつくというのに慣れていないし、室内に食べ物の匂いが広がるのも嫌がる人が多いです。個人的には家庭でもレストランでも鍋ものや焼肉などテーブル調理の形態がイタリアで流行るようになるとは思えません。自己主張の強い人が多いので鍋奉行同士の争いになるか、口角泡を飛ばすのに忙しくて調理する人がいないかどちらかになりがちな気がします。