日本でそろそろ入梅、梅仕事の時期でもありますね。私はプーリアへ戻って最初の手仕事はアマレーナチェリー(サワーチェリー)のシロップ漬けでした。我が家ではアンズはたくさんとれますが、梅はありません。日本食の認知度が上がってきていてもまだ梅干や紫蘇などはまだ馴染みが薄いかと思われます。健康に良い梅をはじめ麹、海藻類など海外での和食文化の今後の可能性を感じます。
明日から始まるG7サミットの会場となるボルゴ・エグナツィア・リゾートホテルはプーリア州の中央部、ファサーノ市にあります。我が家から14kmほどの距離です。過去イタリアがG7の議長国となった際にサミットが行われたのはヴェネチア(2回)、ナポリ、ジェノヴァ、ラクイラ、タオルミーナ、の各都市です。2009年のラクイラは同じ年にあったイタリア中部地震の被災地でその復興支援の意味合いで選ばれました。2017年に行われたタオルミーナは風光明媚な観光地として世界中に名の知れた街ですが、街の規模としては人口1万人ほどの小さな街。今回行われるファサーノも樹齢数百年のオリーヴの巨木に囲まれた自然豊かなリゾートと農業の街です。
この周辺に今回のボルゴ・エグナツィアをはじめ5つ星ホテルが8件もあります。もちろんそれ以外にもファミリー向けのホテル、貸別荘、B&Bなどがこの10年ほどで驚くほど増えました。世界中から”何もない”のんびりとした田舎町へセレブと呼ばれる人々をはじめ、都会の喧騒を逃れるために多くの人々が集まってきます。海とオリーヴに囲まれたこの地域一体は夏の観光シーズンのピークには例年交通量がグッと増えます。地元民は観光業関連の仕事についている人々が多いので稼ぎ時でもあります。
とはいえ、日本だけではなくイタリアでも有名観光地で問題になっているようなオーバーツーリズムの予兆は危機感を持つほどではないと言えます。自然の中でのんびりすること、ゆっくりした時の流れを楽しむこと、がバカンスの目的であるとしたらプーリアのこの周辺一体は最適な場所だと言えます。G7サミットに関してはこのところ都市部で多く見受けるデモなども起こりにくいし、防犯上好条件の地域でもあるに違いありません。今回のG7のロゴもオリーヴの木と東と西の海を結ぶ地中海がモチーフになっており、プーリアらしいデザインです。一般的なイタリアのイメージは、ミラノを代表するデザイン性だったりローマやフィレンツェの歴史や文化、パルマなどの肉加工品やチーズなどのブランド食品が根強いかと思いますが、中東やアフリカにも距離的に近い南イタリア、そしてプーリアにスポットライトが当たることは地元贔屓としては嬉しいことでもあります。