バジリコとオレガノ

南イタリア美食便り

プーリアでも今週は35℃超えの日が続くという予想です。

この時期は特に、バジリコとオレガノなしには過ごせません。プーリア郷土料理のチャレッド(別名アクア・サーレ)やオレキエッテ アッラ クルダイオーラという夏の定番料理で大活躍します。

バジリコはバジルのこと。日本では一番馴染みに深いハーブかも知れません。トマトとモッツァレッラチーズと一緒にイタリア国旗の三色を思わせるカプレーゼは大人気ですよね。

手軽に手に入る三つの材料と塩、オリーヴオイルで完成。と思いきやここにドライオレガノを少し加えることをどうぞお忘れなく。風味がグッと増します。

ピッツァにもフレッシュなバジリコはよく使われますが、実は影の立役者としてのオレガノの存在が重要です。バジリコはまたジェノベーゼと呼ばれる生の葉をたくさん使ったソースが有名です。

瓶詰めやレトルトの商品が多いかと思いますが、フレッシュな自家製は格別です。結構大量に葉が必要なので、スーパーなどで小分けされたものを買うと結構なお値段になってしまうかも知れません。ベランダでプランターなどでも育つので是非是非お家で育てていただきたいものです。

バジリコはなんと言っても夏、フレッシュなものを使います。ドライのものもありますが、別物と言っても過言ではありません。一方、オレガノはフレッシュなものよりドライの方が香りも高く使い勝手も良いです。プーリア料理をはじめ南イタリア料理の中で一番重要なハーブは?と問われたら私は迷いなくオレガノと答えます。トマトとの相性が素晴らしく良く爽やかな香りが食欲をそそります。

チャレッド(アクア・サーレ)という一品はフリッゼという2度焼きする日持ちのする硬いパンもしくは硬くなってしまったカサレッチと呼ばれる目の細かい普通のパン(ふわふわな日本のパンは適しません。)とトマト、白瓜(または胡瓜)、オニオンスライスに塩、冷水、オリーヴオイルを加えて和えた、言わばイタリア版冷やし茶漬けのようなものです。ここにはドライのオレガノがたくさん入ります。

オレキエッテ・アッラ・クルダイオーラは上記の野菜にカチョリコッタという優しい味のセミハードチーズをすりおろして加えたもの。オレキエッテパスタを水で晒すと粉の味が消えてしまうので、熱いまま生野菜と和えます。

バジリコは一年草なので毎年5月ごろに苗を買ってきて植えますが、オレガノは多年草で何もせずとも毎年たくさん生えてきてくれます。バジリコもオレガノもシソ科の植物。バジリコの花穂はシソのそれにそっくりです。消化促進、殺菌効果もあるとのこと。夏バテ気味の身体を優しくサポートしてくれそうです。

大橋 美奈子

大橋 美奈子

東京生まれ。演劇プロデューサーを志し、高校卒業後アメリカ留学。ニューヨーク大学芸術学部在学中は舞台、映画で俳優及びプロデューサーとして活躍。卒業後、メディア関係のリサーチ、コーディネイト会社を設立。現在はホスピタリティビジネスのコンサルタントである夫ジョヴァンニの故郷であるイタリア・プーリアから“外食とはエンターティメントである”という考えのもと“感動”を創る仕事を支えています。

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