プーリアではオリーヴの収穫の時期を迎えていますが、私は佐伯市で地域おこし協力隊に着任し、秋のイベントが目白押しの慌ただしい1週間が過ぎました。
日本さかな検定(通称ととけん)をご存知ですか?魚食普及活動として開催され今年で14回目を向かえる検定試験。累計3万人の受験者のうち79%が水産、飲食業以外の一般の方々です。最年少5才、最年長85才。幅広い年齢層が平均的に分散しています。
今年の開催は11月5日。コロナ禍以降オンライン受験が採用されるようになりましたが、ここ数年佐伯でライブ受験が行われています。市の観光課、観光協会の営業努力もさることながら、日本全国のさかな好きが、オンラインでも受験できるにもかかわらず、わざわざ佐伯の魚を食べに足を運ぶ、そしてその期待に応えられるだけの実力があればこそ。知る人ぞ知る佐伯の魚の品質に対するプライドを感じます。
漁獲量の減少や魚介類の消費減少などをはじめ漁業をめぐる現状には複雑な問題も山積みですが、海外での寿司、和食人気は上昇しています。観光の見地からはインバウンドのフィッシングツーリズムにも期待がかかるところです。
資格好きでペーパーテストに慣れた日本ならではの現象かとも思われますが、世界中にオタクとも言えるマニアックな人々はいるので世界共通の検定試験になる可能性も秘めているのではと思ったりします。
佐伯市観光協会と由布市湯布院温泉観光協会は提携協定を結んでいて、そのご縁で今年49回を向かえる「由布院牛食い絶叫大会」にも佐伯が展開している「東九州伊勢エビ海道」キャンペーンの宣伝も兼ねて参加してきました。
600名を超す参加者が盆地になった牧草地の真ん中に集まり炭火焼BBQで湯布院牛を堪能し、その後周囲の山々に向かって各々のメッセージを絶叫するというもの。メッセージの内容はユーモアありペーソスあり。騒音観測機で出た高数値だけではなくメッセージのユニークさも審査対象とのこと。
元々は1970年代、畜産農家の経営難のため放牧地が売られそうになった際に立ち上がった盆地の町づくりグループが、全国に呼び掛けて牛のオーナーを募集する「牛一頭牧場運動」をスタート。そのオーナーを招いてのBBQパーティが発祥とのこと。美味しいものを皆んなで食べて、大声出してストレス発散というシンプルで最高なイベントでした。
主催運営には湯布院温泉旅館組合や地元の高校の観光科の生徒のボランティアの熱いおもてなしの心が感じられ、50年をむかえる歴史にもこのイベントの根底にある郷土愛を強く感じました。
たまたまドイツから家族で訪れていた男性が最遠方からの参加者賞を貰いましたが、北海道からテレビの取材が兼ねて参加した人を含め日本各地からの参加者がありました。現状ではインバウンド客を意識していないかも知れませんが、わかりやすく楽しいイベントなので今後変わってゆく可能性は大アリだと思います。