Burger King のマニュアル 第4回

レストランチェック

 第1回から3回でバーガーキングの米国人に評価される味の秘密を述べました。今回は全世界でマクドナルドの半分、日本ではマクドナルドの1%以下の規模にすぎない理由を見ていきましょう。

 簡単な理由は海外進出の遅れです。バーガーキングは米国では味を評価されマクドナルドとほぼ互角の勝負です。でも海外進出が遅れ、その味の良さが浸透せず、差別化につながらなかったのです。

 もう一つの理由が、網焼きの焼き方は肉が縮まり、ボリューム感がないということです。マクドナルドのようにグリドル(鉄板)で焼く場合は、鉄板に密着するように、冷凍肉を鉄板に置いた20秒後に、肉を押さえ鉄板に密着させます。そうすることで早く焼け、生焼けがなくなります。

また鉄板に密着した状態で焼くので、肉が縮みにくいのです。バーガーキングはその欠点を補うため、野菜を多くしています。

 バーガーキングを最初に買収した、製粉会社大手のピルズベリーは、フランチャイズ展開を理解せず、米国内店舗展開や海外進出が遅れました。

しかし、食品安全のシステムHACCPをNASAの宇宙船乗員用に開発した、安全な調理技術をハンバーガー製造で導入したり、商品開発で生かしました。マクドナルドのメイド・フォー・ユーはバーガーキングに30年以上遅れて真似した調理法です。

マクドナルドの真似をしたバーガーキングの調理法の説明

 マクドナルドのメイド・フォー・ユーは出来立ての商品をロスなく提供するシステムですが、もう一つ重要な役割を持っています。食中毒対策です。

1980年代に米国で最初に腸管出血性大腸菌O-157による食中毒を最初に起こしたのは、マクドナルドで売り上げに大打撃を受けました。牛肉のハンバーガーではOー157による食中毒のリスクがあるのです。調理に失敗すると、肉が十分に殺菌できる温度に達せず、菌が生存し、食中毒を引き起こすのです。

マクドナルドのグリドルで焼いてひっくり返すのはアルバイトが行います。アルバイトの熟練度や調理機器の状態により肉が未加熱状態になる危険性があります。

バーガーキングのブロイラーはチェーンに乗った肉を上下から自動で焼くので、アルバイトの熟練度に左右されません。また、肉を加熱し一定時間保温して提供すると、食中毒菌は死滅するのです。その仕組みをHACCPを開発したピルズベリーは知っており、肉などを保温保管し、注文後組み合わせるようにしたのです。

 マクドナルドのハンバーガーはメイド・フォー・ユーのシステム導入前には、商品を製造後包装して保温庫に保存して、注文後迅速に提供していたのです。その欠点は、顧客の注文にこたえられないことです。ピクルス、マスタード、ケチャップなどの調味料の増減にこたえられないということです。

バーガーキングの方式はチェーンで連続調理するブロイラーで肉とバンズを連続調理し、商品が乾かないように蒸気保管庫で保温保管し、顧客の注文後、焼いた肉とバンズを蒸気保管庫から取り出し、注文にこたえて、調味料や野菜を組み合わせ、包装後温度を補うため、電子レンジで加熱して提供しました。

マクドナルドはそれをまねしてステージングシステムを開発し、メイド・フォー・ユーに進化させたのです。

 この商品の製造指示は注文を受けたアルバイトが、無線で調理担当に伝えるので作業が簡単というメリットもあります。

 このようにバーガーキングの店舗のオペレーションは大変優れています。ただ、会社を転々と売却したので、直営店は少ないのです。フランチャイズチェーンの店舗中心です。大型の企業フランチャイジーが多く、ほかのブランドも展開しています。

マクドナルドでは最大7,000店舗の直営店を展開し、初期のフランチャイジーは個人の夫婦に限定し、大企業は断っていました。今では結構大量出店も許可していますが、相変わらず、マクドナルドに選任が条件です。

バーガーキングの大型のフランチャイジーはバーガーキング本社にとって指導が店舗運営だけと簡単です。ただし財務などはフランチャイジーに任せていたので倒産も多いという欠点もあります。

 店舗のオペレーションはマックよりシンプルで、生産性が高いのでマニュアルもシンプルです。日本展開の際の指導はスーパーバイザーレベルで、店舗の調理の指導だけで、社員教育などのマネージャーの指導はありませんでした。そのためマニュアルは以下のように店舗管理だけです。

1993年マニュアル目次

私たちの保証

OPSマニュアルまえがき

危険な要因

食品の安全についてのクリティカル・ファクター

サービスについてのクリティカル・ファクター

マーケティング

メニュー・ボード

トレードマーク

受取と保管

プリパレーション

プリパレーション

野菜類品質ガイド

プロダクトホールディング

ストックレベル

プロダクトの温度とホールディングタイム

ブレックファースト

バーガーサンドイッチ

一時パッケージ

バーガーサンドイッチ

スペシャルプロダクト

ハラピニオ・ペッパー

スペシャルプロダクト

フライプロダクト

サラダ

パッケージサラダ

ドリンクとデザート

シェイク

ソフトドリンク

コーヒー

コーヒー

その他のドリンク

デザート

ディナー

プレプリパレーション

プリパレーション

サービス

お客様サービス

イメージスタンダード

清掃とメンテナンス

清掃とメンテナンス

マネージメント

マネージメント一覧

オープニングとクロージング

安全とセキュリティ

キャッシュコントロール

オーダーリング

クォリティアシュアランス

クォリティアシュアランス

クルースケジュール

マネージメントデベロップメント

クルーマネージメント

エクスプレスウェイ

はじめに

受取と保管

プリパレーション

プロダクトホールディング

バーガーサンドイッチ

スペシャルプロダクト

お客様サービス

清掃とメンテナンス

続く

王利彰(おう・としあき)

王利彰(おう・としあき)

昭和22年東京都生まれ。立教大学法学部卒業後、(株)レストラン西武(現・西洋フードシステム)を経て、日本マクドナルド入社。SV、米国駐在、機器開発、海外運営、事業開発の各統括責任者を経て独立。外食チェーン企業の指導のかたわら立教大学、女子栄養大学の非常勤講師も務めた。 有限会社 清晃(せいこう) 代表取締役

関連記事

メールマガジン会員募集

食のオンラインサロン

ランキング

  1. 1

    マクドナルド 調理機器技術50年史<前編>

  2. 2

    「アメリカから続々日本進出する外食チェーンの実力度」(商業界 飲食店経営2006年9月号)

  3. 3

    「ダンキンドーナツ撤退が意味するもの–何が原因だったのか、そこから何を学ぶべきか」(オフィス2020 AIM)

アーカイブ

食のオンラインサロン

TOP