プーリアから日本への旅

南イタリア美食便り

雨と曇り空の続く冬のプーリアです。夏と冬のコントラストが激しいのも地中海性気候の特徴です。新年のパーティシーズンが終わると長期休暇を取るレストランも少なくありません。長いところだと2ヶ月以上店を閉めるところもあります。

プーリアでは高級リゾートホテル内のレストランでミシュランの一つ星が付いている店が何軒かありますが、そのような店はホテルごと休業期間となっています。プーリアだけでなくアマルフィ海岸地方など夏のリゾート地でも同様です。働く時は働いて休む時は休むといったメリハリがある生活ですね。

この期間子供は学校がありますが、休ませて一緒に2週間ぐらい旅行に行くなんていう家族も少なくありません。

お菓子やジェラートの美味しい地元の人気バールの経営者家族も40代後半のご夫婦と12才の息子さんの3人で2週間日本へ行くので、相談にのって欲しいと言われました。

アニメやコンピュータゲームが好きな息子は東京で秋葉原やデジタルミュージアムに行きたい。ママは札幌の雪まつりも見たいし京都の旅館に泊まってみたい。パパは海が恋しいのでフィリピンのビーチでのんびりしたい。

移動はLCCの飛行機と新幹線。特に新幹線に乗るのが楽しみと言っていました。フィリピン行きは大阪発着で2泊3日。東京と京都ではイタリア語のフリーガイドも見つけ・・・と、それぞれの希望を全て叶えるべくママが予定を立て、ネットで予約も済ませたとのこと。

誰も妥協することなくそれぞれの希望が組み込まれていて流石!イタリア人!!と思いましたが、結構なハードスケジュールにびっくりです。

プーリアからローマまで電車で行ってローマからアブダビ経由で成田まで。道中長くてもそこも新しい経験で楽しみだし、1名500ユーロ(約70000円)の往復航空券は逃すことのできない安さだったと言っていました。現在のユーロ高を考えると日本での滞在費、特に飲食代は驚くほど安く感じられると思います。

私への主な相談は入国の際の検査等に関してでした。パパはお店の営業のためワクチンを3回打っていますが、ママと息子はワクチンを打っていないのでPCR検査での陰性証明が必須となります。

コロナ禍のこの3年間何度も日本へ渡航したワタクシ、地元でのPCR検査はどこが一番安くて便利か、日本入国をスムーズにするにはどうしたら良いか、経験上熟知しております。 Visit Japan Webというウェブサイトから検査結果、パスポート番号などを事前登録することが奨励されているのですが、これが相当わかりにくいのです。

そもそも出国72時間前の陰性証明を取るというのが田舎町では1、2軒しかない医療検査ラボに予約して足を運ぶというところから始まります。検査結果がもし陽性と出たら予定はおジャン。

さらに今回はフィリピンから日本へ入国する時にもまた検査しなきゃならないのか、と聞かれても、「多分そういうことになると思うけど、いつ規則が変わるかもわからないし私にはその辺はなんとも言えないわ」と答えるしかありませんでした。

先ほど入ったママからのメッセージでは、「出発は来週だけど昨日息子が熱を出した。インフルエンザが流行ってるし、コロナではないことを祈っているけど月曜日にPCRを受けるまで不安だわ」とのこと。

私も含めてヨーロッパ在住に人々にとってはコロナ禍は収束した感が強いので、現在の日本の入国規制には控えめに言っても戸惑いがあります。

日本人としてはそんな不安で面倒な思いをしてまで日本へ行きたいという人々がいてくれることがありがたいしなんだか申し訳ないような気持ちにもなります。

大橋 美奈子

大橋 美奈子

東京生まれ。演劇プロデューサーを志し、高校卒業後アメリカ留学。ニューヨーク大学芸術学部在学中は舞台、映画で俳優及びプロデューサーとして活躍。卒業後、メディア関係のリサーチ、コーディネイト会社を設立。現在はホスピタリティビジネスのコンサルタントである夫ジョヴァンニの故郷であるイタリア・プーリアから“外食とはエンターティメントである”という考えのもと“感動”を創る仕事を支えています。

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