南日本へようこそ

南イタリア美食便り

早いもので1月も終わりですね。波乱の幕開けだった2024年、個人的にはまだまだ色々な変化や予定外の事が起きそうな予感がします。それらを乗り越えながら学びと受け止めて元気に前進していきたいです。

先週の土曜日、地元チステルニーノで”BENVENUTI AL SUD DEL GIAPPONE”というイベントを開催しました。直訳すると「南日本へようこそ」という意味なのですが、イタリアでヒットした映画に”Bevenui al Sud”(邦題:南イタリアへようこそ)という北と南の文化や習慣の違いをテーマにしたコメディーものがあるので、それをもじったタイトルをつけました。ちなみにその映画の続編で「北イタリアへようこそ」という作品もあります。イタリアの南北問題は人々の意識の中で根深いものがありますが、それを皮肉とコメディーにするのがなんともイタリア的です。

「南日本へようこそ」というのは、私が地域おこし協力隊として仕事をする大分県佐伯市を中心とする九州への旅をPRするためのイベントとして企画しました。

私が初めてプーリアを訪れたのは28年前。夫となる人の故郷を訪ね親戚や友人達と会うのが目的で、イタリアについて極一般的な知識やイメージしか無かった私は、それまでプーリアという地名さえ聞いたこともなく、全く予備知識がありませんでした。

現在一般的なイタリア人にとって九州、ましてや佐伯はまさに同じ程度の知名度だと言えると想定してイベントの内容を考えました。食へのこだわりが強く、日本食人気も引き続き高いイタリアですから、トークだけではインパクトに欠けると思い、佐伯の地酒の試飲付きにしました。スライドを見せながら日本とイタリアの基礎情報、伝統文化、生活習慣に関する一般的な話、そして九州の特色と何故私たちが九州、佐伯を紹介するのかという話をしました。

Sake’ (イタリア語表記ではeにアクセントをつける事が多い)の効果もあったのか告知期間が短かったにも関わらず60名程の方々にお集まりいただきました。知人友人達も多く参加してくれましたし、それ以外の純粋にポスターやSNSでの告知を見て集まってくれた方々も思ったより多かったのには手応えを感じました。事後アンケートでも大変良い反応を得ることができました。

「欧米豪からの誘客」というのが私の地域おこし協力隊のミッションですが、欧州の中でもそれぞれの国によって国民性や興味の対象、旅行に関しての考え方が違います。ましてアメリカ、オーストラリアは言わずもがな。九州、佐伯へ来て楽しんでまた来たいと思っていただけるような、口コミで友達に勧めてくれるような旅とは?大きな課題です。

とりあえず、私は地元チステルニーノ周辺の方々からアプローチをして行きます。従来からの観光地ではないからこその魅力は、関係者一人ひとりのパッションなしには伝えられないと思います。イタリア人のグループが佐伯に来たとなれば、今後の観光事業に向けて刺激になることと信じています。それが南イタリア、プーリアと南日本、九州との特別なつながりになって欲しいと願っています。

プーリアの知名度がここまで上がってくるのには30年近くかかりましたが、これからは情報の広がりが速くなるので、九州、佐伯にとってはもっと速く事が進んで行くように思います。

大橋 美奈子

大橋 美奈子

東京生まれ。演劇プロデューサーを志し、高校卒業後アメリカ留学。ニューヨーク大学芸術学部在学中は舞台、映画で俳優及びプロデューサーとして活躍。卒業後、メディア関係のリサーチ、コーディネイト会社を設立。現在はホスピタリティビジネスのコンサルタントである夫ジョヴァンニの故郷であるイタリア・プーリアから“外食とはエンターティメントである”という考えのもと“感動”を創る仕事を支えています。

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