日本⇔プーリアの旅路

南イタリア美食便り

2022年6月20日、成田発チューリッヒ行きのスイス航空は満席でした。出発2時間前にチェックインカウンター周辺は長蛇の列。乗客には小さい子供を連れた日本人の家族連れ、旅慣れた風情の高齢者夫婦や少人数のグループ、楽器を抱えた外国人などが目につきました。

3月末にイタリアから帰国した際にも飛行機は満席で、コロナ禍が始まって最初の頃の暗く怖いほど閑散とした空港と比べるとヨーロッパではすでに以前と同様の人の往来が始まっていると感じましたが、今回は更にその感を強くしました。

チェックインではワクチン接種証明もPCR検査陰性証明も求められません。飛行機内では以前は少しでもマスクを外しているとCAさんに注意されましたが、今回は着用義務はないとのこと。とはいえ、乗客はほとんどが日本人でしたので、皆自主的にマスクを着けていたようです。

ちなみに現在イタリアでは公共のバスや電車に乗る際はマスク着用の義務がありますが、飛行機は機内換気が行き届いているので義務はないとのこと。チューリッヒ空港に着いてみると逆に空港内ではマスクをしている人はまばらでした。

ヨーロッパの真ん中に位置するチューリッヒはハブ空港でもあり世界中から乗り継ぎの人々で賑わっていました。私も待ってましたとばかりマスクを外しましたが、ヨーロッパ人や日本人以外のアジア人の方は喜んでマスクを取るのに、なかなか外したがらないのはアメリカ人と日本人が多いように見受けられました。

今回のフライトはロシア上空を避けるため東回りで北極付近を通り14時間半の長旅でした。チューリッヒからプーリアのブリンディジ行きの便へ同日乗り継ぎができないためチューヒッリで一泊しました。

プーリアまでたどり着くまでには必ずどこかで少なくとも一度は乗り継ぎしなければなりません。

乗り継ぎ時間や便を考えると、以前は結局アリタリアが一番良かったのですが破産してしまい、新たにフラッグキャリアーとなったイータエアウェイズ(ITA Airways)も羽田-ローマ便の就航がのびのびになっていて現時点ではいつ開始されるのかわかっていません。今後の航空業界の動きはとても気になるところです。

日本からイタリアへはトルコ航空を利用する人も多いようです。

ローマやミラノへは1度の乗り継ぎで着けるルートはいくつもありますが、プーリアまでとなると遠いですね。その点、スイス航空はチューリッヒからブリンディジ行きの便があるので乗り換え1度で済みます。さらにエコノミーでもスーツケース2個預けられるので何かと荷物の多い私のような在住者には助かります。

さらに今回のように日をまたいでの乗り継ぎでも荷物は目的地までスルーでチェックインでき、搭乗券も発行してくれたのはとても助かりました。翌日は手荷物だけでゲートまで直行でき、とてもスムーズでした。

現時点ではプーリアへお越しの際はスイス航空が私の一押しなのですが、エコノミークラスでは機内食は特筆することは何もありません。成田に羽田のような空弁のチョイスがあればむしろその方がありがたいと思います。

チューリッヒでの一泊は、ヒルトン・チューリッヒ・エアポートにしました。専用のシャトルバスが30分毎に運行しており、空港から5分という近さ。

今回は80歳を過ぎた私の両親が同行するため、長旅の後リラックスして欲しいと思い信用のヒルトンブランドを選んだのですが、結論としてはコスパを考えると私1人だったら次回は別のところを選ぶかな、というところです。

設備や建物などハードの面でもサービス面でもひと時代前の感じでした。カスタマーサービスのDX化も遅れている印象です。やっと客が戻ってきた分、最小限のスタッフで賄っているようでコロナ禍でのロスを取り戻そうと頑張っているとは感じましたが、値段に見合うヴァリュー感はありませんでした。

シャトルバスは空港からホテルまでは無料ですが、ホテルから空港までは1人5スイスフラン(約700円)とるとか、レストランでの食事は値段の高さは東京の5つ星ホテル並みなのに内容はファミレス並みとか。

ただ客室にバスタブがありお湯もたっぷり湯船に浸かれたことは日本人にとっては有り難いと思える点でした。

梅雨の東京からスイスを経由して真夏の暑さのプーリアへ無事戻ってきましたが、我が家のゲストハウスには今年はアメリカからも日本からも北ヨーロッパからもご来訪の予定があり今回のコロナ禍は本格的に終息を迎えたと感じられる夏になりそうです。

大橋 美奈子

大橋 美奈子

東京生まれ。演劇プロデューサーを志し、高校卒業後アメリカ留学。ニューヨーク大学芸術学部在学中は舞台、映画で俳優及びプロデューサーとして活躍。卒業後、メディア関係のリサーチ、コーディネイト会社を設立。現在はホスピタリティビジネスのコンサルタントである夫ジョヴァンニの故郷であるイタリア・プーリアから“外食とはエンターティメントである”という考えのもと“感動”を創る仕事を支えています。

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