太宰府天満宮新春

食の宝庫九州から

コロナウィルスのまん延で各地の伝統的なイベントが中止になっています。久留米市大善寺に伝わる「鬼夜」という火祭りも2年連続で縮小、大松明を担いで練り歩き、最後には松明の上に上がるという勇壮な神事も中止になりました。この時期、どんど、左義長、もぐら打ちと様々な正月明けの神事がありますが、全てに共通するのが、火と音。世にまん延する、災厄をオニとして、火や音で追い出すという習わしが土地によって変わったのだと思います。災厄を追い出す神事が、ウィルスに負けてしまっては何とも頼りないことです。

一方、福岡の新春の神事で、一番有名かもしれないのが太宰府天満宮の「鷽替え神事」。その夜に行われるのが「鬼すべ」です。どちらも規模は縮小していますが、今年も1月7日に開催されました。久留米の「鬼夜」が無かったので出かけてきました。通常の半分から3分の1ほどの人出でしたので、密になる時間も短く、良い場所で観覧でき、良い写真を撮ることができました。

「鬼すべ」は、災厄の象徴である「鬼」とそれを護る「鬼係」「鬼警固」、鬼を追い出す「燻手」とに氏子衆が分かれ、鬼すべ堂の内外で大きな火を挟んで攻防を繰り広げます。

今年も、お約束通り、鬼を退治することが出来、一同の無病息災を祈って幕を閉じました。

この神事は寛和2年(986)菅原道真公の曾孫にあたる大宰大弐 菅原輔正によって始められたと伝えられています。

これからも継続されて欲しいものです。

太宰府天満宮鬼すべ神事
https://www.dazaifutenmangu.or.jp/sanpai/saiten/special/onisube

西鉄太宰府駅からの長い参道には、各種も土産物店が軒を連ねます。スターバックスの店舗は、隈研吾氏の設計で有名ですね。今回の祭りの日は、各店舗はシャッターを降し、いささか寂しい感じがしました。夜の祭りなので、店じまいしているのか、参道の店主一同が氏子で祭りに参加しているからなのか、コロナで自粛しているでしょうか。

さて、太宰府天満宮に来ますと、名物は「梅が枝餅」「うその餅」「梅の実ひじき」です。大半の店が閉まっていましたので、とりあえず梅が枝餅と鷽替え神事にちなんだ鷽の彫り物が入った餅を買って帰路につきました。

そしてこのタイミングで、「梅の実ひじき」を製造する、十二堂えとやが事業譲渡するというニュースが流れました。「梅の実ひじき」については、2018年にこちらで紹介しました。ひじきと梅の実が絶妙に配合されたふりかけです。酸味と甘味が絶妙で御飯が何杯でもいけると書きました。

ところが2019年に国産としていた、梅の実が外国産だったということが判明。原料卸業者の偽装ではあったのですが、責を問われるのは必定で、製造中止していました。

それも支援する産地・企業が現れ事業は継続し、人気は復活していました。

今回の事業譲渡は、経営者の高齢化、跡継ぎの不在ということがきっかけのようです、優良なコンテンツを持っていることで、引受手が現れたので従業員の雇用が維持でき、なんといっても福岡の名物が残ったことが何よりであったと思います。

太宰府十二堂えとや公式
http://www.1210-etoya.com/#top

ヨシムラ・フードHD 十二堂えとや子会社化 中小食品企業の成長支援
https://shokuhin.net/50998/2022/01/10/kakou/%E3%81%B5%E3%82%8A%E3%81%8B%E3%81%91/

「梅の実ひじき」販売再開 納入業者の産地偽装で休止 確保にめど
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/562407/

上田 和久

上田 和久

スタジオワーク合同会社 代表。熊本県生まれ。厨房設備施工会社、電機メーカーで冷蔵設備の設計施工営業を担当後、食品メーカーへ転職し、品質保証の仕事を経て、2016年1月コンサルタントとして独立。安全安心な食品を提供することに日々、注力する企業に対して、HACCPに基づいた衛生管理の取り組みを支援している。 JHTCリードインストラクター

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