南イタリア プーリア便り- 白イチジク

南イタリア美食便り
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復活祭が明けても、レッドゾーンのプーリアです。テレビのニュースでは州都バーリの広い国際展示会場の外にワクチン接種の順番を待つ人々の長い列の映像が映し出されていますが、私たちが住む田舎町では優先順位の低い一般人にいつ頃順番が回って来るのかは全く不明です。
とは言え、ワクチン接種済みを証明するワクチンパスポートなるものを作って海外からも観光客を受け入れ始めたらどうか、などという議論も出始めており観光業が大きな収入源であるイタリアにとって経済的な限界が近くに感じられます。昨年の夏、プーリアはイタリア北部、中部からのイタリア人観光客が押し寄せて例年並かそれ以上の賑わいがありました。今年はワクチン接種が進んでいる近隣ヨーロッパ諸国やアメリカからもバカンス客が訪れるようになるのかもしれません。

プーリア中央部の我が家周辺の特産物である白イチジクの小さな蕾を見つけました。これが食べごろになる6月頃にはコロナ関連の世界情勢が良い方向へ大きく変わっている事を願わずにはいられません。

プーリアでは食後に必ずと言って良いほどフルーツを食べる食習慣がありま
す。季節毎に採れるフレッシュな果物が本当に豊富なので贅沢品という感覚ではなくむしろ食事の一部と言えるほどです。今の時期は一番果物が少ない時期で、りんごと柑橘系です。りんごは寒いところのものというイメージがありますが、プーリアでも採れます。地元のりんご農園で作っている熟成りんごバルサミコ酢がとても美味しく、我が家のグリーンサラダにはいつもこれを使っています。

果物の加工品はどの季節でも新鮮なフルーツがたくさんあると逆に目が向きにくいものかもしれません。我が家では梨、プラム、さくらんぼ、などはジャムにしてお菓子作りに使ったりヨーグルトやフレッシュチーズと一緒に食べたりしますが、個人的には生が一番美味しいと思ってしまいます。

そんな中で白イチジクに関してはプーリアの伝統的なドライイチジクの美味しさは秀逸なのですが、昨年日本に帰った時に偶然見つけた「いちじく好きのためのレシピ」という料理本(福田里香 著 文化出版局)が、今私の“ベッドサイドブック”の一冊になっています。
いちじくを使った美味しそうなレシピ満載で、「今年はこれやってみよう」今からワクワクしています。我が家のイチジクは珍しい年に2回実(実は花)をつける種類で、手前味噌ですが、近所のどこの家のものより美味しいと密かに思っています。去年はがっかりするほど不作の年でしたので、今年は期待しています。著者の方のいちじく愛をひしひしと感じる本なので、我が家のドライイチジクも是非一度お賞味いただきたいものだと思っています。

大橋 美奈子

大橋 美奈子

東京生まれ。演劇プロデューサーを志し、高校卒業後アメリカ留学。ニューヨーク大学芸術学部在学中は舞台、映画で俳優及びプロデューサーとして活躍。卒業後、メディア関係のリサーチ、コーディネイト会社を設立。現在はホスピタリティビジネスのコンサルタントである夫ジョヴァンニの故郷であるイタリア・プーリアから“外食とはエンターティメントである”という考えのもと“感動”を創る仕事を支えています。

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