パスタメーカーとして有名なイタリア最大手の食品会社が展開している時短調理キットの宣伝がSNS上に頻繁に上がってくるので気になってサイトを覗いてみました。
日本では在宅勤務になって小麦粉がよく売れたり、家で料理をする時間が増えたような印象があったのですが、イタリアでは逆なのかしらと思いました。こちらでは在宅勤務を”スマートワーキング”と呼んでいますが、残業はなく定時にオフィスを出るのが当たり前のこちらの勤務習慣では家で仕事をしている方が時間のやりくりが難しいという事もあるのかもしれません。外出制限や入店制限などもある中、わざわざ買い物に行き時間をかけて食事を作るのが負担になっていると考えている人に向けての商品なのでしょう。「初回特別価格、3キット10ユーロ(約1300円)」という謳い文句で、ポイントは手軽に美味しい料理ができるということのようです。
1キット2食分でインターネットで3キット以上からオーダーでき、48/72時間以内に宅配というシステムです。現在メニューはパスタ7種類、リゾット4種類、クスクス2種類、豆類のスープ3種類、ケーキ3種類、フォカッチャ、ピッツァそれぞれ1種類といったところ。パスタはミートソースのペンネ、野菜と五穀のペンネ、プッタネスカ(オリーヴ、ケッパー、トマト味)のフジッリ、ペストソースのフジッリ、トルテリーニインブロード(生ハム入りラビオリのコンソメスープ)など。リゾットはミラネーゼ(サフラン風味)、ラデッキオロッソ(赤チコリ)、チーズ、キノコ。ひよこ豆のスープ、インゲン豆のスープ、五穀と豆類のスープ、野菜のクスクスとレンズ豆のカレー味クスクスなどヘルシーです。作り方は1つの鍋に水と材料を入れ煮るのみ。パスタは通常のものより少ない分量の水で沸騰させてからではなく水から茹でるのが特徴です。茹で汁をきらずにソースを加えた後数分あえるように煮込めば出来上がりと作り方の説明には書いてあります。
ケーキ(チョコレート味、ヨーグルト味、バニラ味の3種類)フォカッチャ、ピッツァは生地のミックス粉が入っていて(必要に応じて卵や油などを足す)混ぜて焼くだけ、というもの。
一人前の分量はパスタで85g、リゾット米は75gになっています。イタリアではこれが平均値ということでしょう。
このラインナップがイタリア全土で認知度や人気の高いメニューであると考えて良いのかと思いきや、やっぱり北部の料理が多いですね。こういった商品の購買層を考えた結果ということでしょう。材料は肉より野菜、豆類などが多くヘルシー志向も感じられます。
通常の値段は1キット一律4ユーロです。送料は最小ロット3キットでそれ以上1オーダーにつき一律3ユーロ。送料を入れても1食2ユーロ強というのは、カップ麺が1つ1~2ユーロ近くする事を考えるとお手頃だと思います。
日本のレトルト食品のヴァラエティの豊富さは驚くばかりですが、イタリアには瓶入りのトマトベースのパスタソースが数種類ある程度です。
日本にあるような“茹でたてパスタにあえるだけ”といったレトルト食品はみ
たことがありません。私自身はニーズを感じたことがありませんが、イタリアでも出来合いの時短食品がヒットするようになる日が近いのかもしれません。
イタリアのマンマ(おふくろ)の味といえば、故郷の郷土料理という時代に果たして終わりは来るのでしょうか。