プーリアへの帰省

南イタリア美食便り

3ヶ月ぶりに初夏のプーリアに戻って来ました。プーリア中央部ブリンディジ県のファサーノ周辺が6/13から始まるG7首相会議のメイン会場になるため、一行が通る主要道路はほとんど修復が終わったのでしょう、開催中は道路封鎖など不便も予測されますが、空港から我が家までの道のりはスムーズでした。

羽田から唯一の直行便であるイータエアウェイズに乗ってローマまで、そこから乗り継いで最終目的地のブリンディジまで最短で17時間かかります。ローマ便は日本人とヨーロッパ系と思われる外国人でほぼ満席。観光客と思われる小さな子供を含むイタリア人の若い家族連れや若いカップルが目につきました。日本人団体旅行客のグループもいくつか見受けられ、止まらない円安にも関わらず日本人も海外へ出だしたのだなと感じました。

イタリアのフラッグキャリアーであるイータエアウェイズですが、経営困難は続いているようで機内食の品質低下は目を覆いたくなるほどです。それがわかっていたので、昼過ぎ発の便に乗る前にゲート近くにあった魚がし寿司で腹ごしらえをしました。国際線のゲートの近くにフードコートがあるのはとても便利ですね。価格の割安感もあってか、魚がし寿司の他、ラーメンやうどんの店も日本を離れる前に舌鼓を打つ外国人客で盛況でした。

今回のプーリアへの帰省は85歳の私の両親と一緒です。2人とも元気ですが、乗り継ぎ時間が短いし、広い空港内での移動距離も長く不安があったので移動サポートを依頼しました。結果的には、チェックインから搭乗口まで車椅子が2台用意され、荷物検査や出入国審査もスムーズに行うことができ大変助かりましたが、いくつか問題点もありました。

ひとつは、サポートを依頼するためのカスタマーサービスセンターへの電話がなかなか繋がらないこと。航空会社ごとにシステムは違うのでこれはイータエアウェイズの問題です。スイスエアーではチャットボットなどもう少しスムーズな対応が可能です。ウェブサイト上では各種のサポートサービスを約束してあっても実際の利用には根気と忍耐力が必要というのではちょっと片手落ち感が否めません。ただサイトを見るとユニバーサルアクセスという面では移動サポートの他に、自閉症の乗客のために飛行機内シュミレータ体験や飛行機を使った旅行の習熟プログラムを取り入れているところが精神医療の先進国であるイタリアらしい点だと思いました。高齢化が進む社会においてもこういった取り組みはポイントになる要素だと思います。羽田とローマの二つの空港の移動サポート体制を見るとローマの方が数段充実しているように思いました。特別介護専用スタッフがいてスタッフも同乗できる電動車椅子が配備され、経路の幅を考慮して搭乗口まで何回か車椅子を替えて飛行機に乗るまで送り届けてくれました。

ただ乗る人間は丁重に扱っていただき無事ブリンディジまで着いたのですが、預けたスーツケースは間に合わなくて翌日の到着というオチがつきました。まさに塞翁が馬だな、と思いました。

大橋 美奈子

大橋 美奈子

東京生まれ。演劇プロデューサーを志し、高校卒業後アメリカ留学。ニューヨーク大学芸術学部在学中は舞台、映画で俳優及びプロデューサーとして活躍。卒業後、メディア関係のリサーチ、コーディネイト会社を設立。現在はホスピタリティビジネスのコンサルタントである夫ジョヴァンニの故郷であるイタリア・プーリアから“外食とはエンターティメントである”という考えのもと“感動”を創る仕事を支えています。

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