サンレモ音楽祭

南イタリア美食便り

2月になり今年もイタリアでは冬の風物詩とも言えるサンレモ音楽祭が始まりました。今年で74回目とのこと。4日間に渡って毎晩4-5時間に渡って(夜9時から午前2時ごろまで!)繰り広げられる音楽の祭典です。正式名はイタリア音楽祭。第二次世界大戦後のイタリアポピュラー音楽の歴史=サンレモ音楽祭と言っても過言ではありません。

新人からベテランまで30組のアーティストが優勝を目指し毎日趣向を凝らしたステージを繰り広げます。イタリア北部リグーリア州の海辺の町、サンレモで毎年行われるので、サンレモと言えば音楽祭というほどの知名度です。

ここ数年メインスポンサーは日本の自動車メーカー、スズキです。テレビ離れが進むイタリアでも、この番組は国民的行事でもあるので露出度は充分なのでしょう。サンレモはイタリアンリビエラの代表的な観光地でもあり花の街としても知られています。PR効果という面では市や州など行政の全面的なサポートもあっての音楽祭であることには違いありません。

国民的行事の音楽祭と言えば、日本のNHK紅白歌合戦を思い浮かべますが、出演者、演出から、ステージや舞台衣装、何から何まで文化の違いを感じる事ばかりです。

今年は日本でも人気の3人組ボーカルグループ「イル・ヴォーロ」も出演しています。

私が注目しているのは、数年ぶりに参加しているプーリア出身のロックグループ、「ネグロアマーロ」です。20年程前にブレイクしたファン層の広いグループですが、再ブレークの兆しを感じます。ワイン好きな方はご存知かと思いますが、ネグロアマーロとは、プーリア南部サレント地方の土着のブドウ品種でもあります。

今週から来週にかけてはカルニヴァーレ(カーニバル=謝肉祭)の時期でもあり、仮装行列は有名なヴェネチアなどだけではなく、ほとんどどこの街でも行われます。1年で1番寒いこの時期に楽しさや華やかさを与えるイベントです。学校も1週間ほど休みになります。その前には学期末の中間成績の発表があり、英語の補習授業をしている私の元へ、ヘルプ依頼の電話連絡が来るのもこの時期です。

文化の違いと言えばイタリアの学校システムは日本とは随分違います。まず入学式や卒業式はありません。卒業アルバムなどももちろんありません。部活動もないし、無遅刻無欠席を良しとする文化もありません。もちろん出席日数が足りなければ進級できないという制度はありますが、進路指導も進学相談も全くありません。塾や予備校も地元では聞いたこともありません。

大学入試の制度も違います。イタリア全国の大学の数は国立67校、私立大学19校、通信大学11校。日本の全国の大学の数は2023年度で793校。人口が日本の半分ではありますが、数からしてこの違いには驚きです。欧米の大学は入学は簡単でも卒業が難しいということはよく知られているかと思いますが、全体の33%の学生が中退を考えていると言うデータもあります。

これらの数字が何を示すか、解釈は色々とあるかと思いますが、最終的には個人の責任と自由、権利と義務といったベーシックな概念の相違にまで関わる問題かと思われます。

大橋 美奈子

大橋 美奈子

東京生まれ。演劇プロデューサーを志し、高校卒業後アメリカ留学。ニューヨーク大学芸術学部在学中は舞台、映画で俳優及びプロデューサーとして活躍。卒業後、メディア関係のリサーチ、コーディネイト会社を設立。現在はホスピタリティビジネスのコンサルタントである夫ジョヴァンニの故郷であるイタリア・プーリアから“外食とはエンターティメントである”という考えのもと“感動”を創る仕事を支えています。

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