冬になると美味しくなるものの一つが牡蠣。クリスマスパーティの食卓にも生牡蠣は定番です。世界各地の多くの種類の牡蠣を楽しめるオイスターバーは日本でも人気のようですね。
プーリア州イオニア海側のターラント湾では、古代ギリシャの植民地だった3000年前から牡蠣の養殖が行われていたと言われています。ターラント湾には海底から真水が湧き出ている地域があり海水と真水が混ざり合うことでその地で養殖された牡蠣の味が良くなると言われています。
今回の九州旅行では大分県佐伯市の大入島で牡蠣の養殖場を訪ねました。
宮本新一さん率いる合同会社新栄丸では日本初のニュージーランドで開発されたフリップファームシステムという最新式の養殖方法を導入しています。
佐伯の美しい海のプランクトンを食べて育った牡蠣は雑味のないジューシーで繊細な旨みがたっぷりです。身が厚くしっかりとしているのも特徴です。
宮本さんが結婚を機に島に戻りそれまで誰もやったことのない牡蠣の養殖に本格的に取り組み始めたのは2016年で、言わばUターン組。日本各地の牡蠣生産地で修行をさせてもらい佐伯の海に適したこの新しい養殖方法に辿り着くまでには苦労もあったようですが、次世代に繋ぐ意思を持って奮闘しています。
ここ数年で国内の高級デパートのお歳暮カタログに取り上げられたり、輸出需要も増え生産量が追いつかないほどの人気で嬉しい悲鳴を上げています。
佐伯市シングルシード養殖協議会を作り、自らの事業拡大のみならず新規参入者を歓迎し島全体の牡蠣養殖事業を盛り上げていくという姿勢に感銘を受けました。その取り組みは「全国青年女性漁業者交流大会」では農林水産大臣賞を受賞しています。
その誠実なお人柄も感じ取れるすっきり分かりやすく作られたホームページには生菌数定期検査の結果や商品についての情報と共に通販機能も備わっているので、牡蠣好きの方は是非一度ご覧ください。
大分県佐伯市 大入島オイスター新栄丸 ホームページ https://www.shinei-maru.com
余談になりますが、ターラントでは牡蠣以外にも生食できるムール貝の養殖も行われています。むしろ一般的にはムール貝の方がお手軽で、プーリア料理にも欠かせない食材です。
美味しいムール貝も是非養殖して欲しいと宮本さんにお願いしたところ、牡蠣よりもムール貝の方がデリケートで養殖は難しいと、ちょっと意外なお話でした。