イタリア料理を楽しむ会 山の幸編

南イタリア美食便り

佐伯の食材を使ったイタリア料理を楽しむ会、第2回めを開催しました。

気のおけない友人達のために私がメニューを考え一緒に作って、楽しくいただくという趣向です。第1回めは海の幸でしたので、今回は山の幸編にしました。

前菜は先日も別の機会に作って好評だったカボチャとベーコンとチーズのクロストーネ(ブルスケッタ)、カリフラワーのパン粉焼き、そしてバジリコ風味キノコのソテー、の三点盛り。そしてパスタとメイン、デザートの4部構成のメニューです。

秋のこの時期、佐伯にもジビエがあります。地元の猟師さんから買い付け、自ら解体して都市部のレストランへ猪肉と鹿肉を卸売している方から、ロースとモモ肉を仕入れラグーを作ろうと思いつきました。

実は我が家のあるプーリア中央部の平野部には野生の鹿や猪はいません。猪はプーリアでももう少し北部へ行くといますので、サラミなどの加工品は見かけることがありますが、鹿肉を食べる習慣はプーリアでは聞いたことがありません。鹿肉は食べませんが、ロバ肉や馬肉は割と一般的です。馬肉と同じような使い方をしてみようと思ったのです。

ミンチ肉のラグー、俗に言うミートソースではなく一口大の肉をトマトソースで煮てソースだけパスタと一緒に先に食べ、肉はメインとしてあとから付け合わせと一緒に食べるという家庭料理ならではの食べ方をするとパスタ料理とメイン料理が一度にできます。この方式で猪肉と鹿肉を合わせて前日から煮込むことにしました。

イタリアではこのようによく何種類もの肉を一緒に煮る料理があります。コクを出すためと独特の臭いを抑えるために隠し味にダークチョコレートと生姜を入れました。ですが、お肉は新鮮で上手く処理されており、猪の脂身も臭みなど全くありませんでした。前日からゆっくり煮込むことにより火の入れ方次第で固くなってしまう鹿肉も柔らかくホロホロになりました。猪の脂身とトマトの酸味と相まってとても美味しいソースになりました。

このソースに合わせるパスタは大きめのペンネが良いのですが、佐伯のスーパー売っていません。代わりに国産メーカーのフェットチーネがあったので使ってみることにしましたが、これがよく合いました。願わくば、本物のチーズがあれば一層味が引き立ったことでしょうが、今回は筒に入ったパルメザンチーズをかけました。

それでも充分満足のいく味になりました。参加者の方々にも「今まで食べたことのない美味しさだ」と喜んでいただきました。ネットで購入したプーリアのプリミティーボワインとの相性もバッチリでした。

付け合わせにはローズマリー風味のローストポテト、そしてサラダは春菊とハヤトウリをカボスとオリーヴオイルでさっぱりと。デザートはカリンジャムを使ったクランブルとバニラアイス。

ハヤトウリは洋梨型の硬いウリ科の野菜で生で食べるとシャキシャキとした食感が楽しめます。日本では中央アメリカ原産のものが鹿児島に入ってきたものが初めということでその名がつきました。プーリアではトゲのある種類のものが我が家にもあるのでよく使います。

佐伯の方々は「昔おばあさんが漬物にしていたのを覚えているけど、自分では買ったことも料理したこともない」とのこと。大分ではカリンも同様に身近にあるのは知ってはいるけれど食べたことはない食材になっています。それは残念な気もしますが、むしろ私にとっては皆さんにちょっと驚いていただく良い材料とも言えます。

地元の人々があまり気に留めていない佐伯の良い食材の新しい食し方をご紹介していくチャンスです。

大橋 美奈子

大橋 美奈子

東京生まれ。演劇プロデューサーを志し、高校卒業後アメリカ留学。ニューヨーク大学芸術学部在学中は舞台、映画で俳優及びプロデューサーとして活躍。卒業後、メディア関係のリサーチ、コーディネイト会社を設立。現在はホスピタリティビジネスのコンサルタントである夫ジョヴァンニの故郷であるイタリア・プーリアから“外食とはエンターティメントである”という考えのもと“感動”を創る仕事を支えています。

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