プーリアのザクロ

南イタリア美食便り

実りの秋、我が家の庭ではザクロも収穫期を迎えています。女性ホルモン、エストロゲンが含まれるとして日本でザクロジュースのブームがあったのは20年近く前でしょうか。当時からイラン産などの輸入品多かった記憶があります。

原産には諸説あるようですが、ヨーロッパにはエジプトやトルコ経由で入ってきたようです。

プーリアの我が家周辺の家の庭でよく見る植物ですが、ザクロ農園もあります。イタリアの最南東のプーリアはギリシャ、トルコを初めアフリカや中東との繋がりを強く感じる場所でもあります。正に地中海文化の交差点ですね。実を生食するか、ジュースにするのが主な食し方です。

この時期にはオレンジジュースを絞る機械を使って絞る生ザクロジュースがバールなど供されます。値段は3ユーロほど。濃い赤紫色で酸味と甘みのバランスの良いなんとも体に良さそうな味です。生食するには種を噛み砕くのに慣れるまで少し抵抗があるかも知れません。

ザクロはカクテルでよく使うグラナディーンシロップの原料ですが、我が家では98%の蒸留アルコールに漬けてリキュールも作ります。食後酒としてデザートの代わりに甘いザクロリキュールをキュッと飲むのもお勧めです。

食後酒は強めのアルコールで胃を刺激して消化を助け、甘さで満足感を与える役割のあるイタリアの食文化には欠かせないものです。

ワイン用のブドウの絞りカスを蒸留したグラッパが有名ですが、これは主に北部で作られます。プーリアには今でもグラッパ蒸留所は知る限りありません。プーリアのブドウのグラッパも生産されていますが、絞りカスを北部の蒸留所に送って委託生産しています。

南部の食後酒と言えばナポリ周辺の名産でもあるリモンチェッロを代表とする果実系のリキュールです。我が家では、リモンチェッロ、ザクロ以外にもマンダリンオレンジ、サクランボ、変わったところではビワの種やオリーヴの葉などのリキュールも作っています。 これらは小さなグラスで少量をグッと飲み干す感じでいただきます。多くが自家製で、来客があるとお茶(コーヒー)代わりに勧められることもあります。

一般的ではありませんが、個人的にはソーダで割って食前酒としても良いと思っています。

大橋 美奈子

大橋 美奈子

東京生まれ。演劇プロデューサーを志し、高校卒業後アメリカ留学。ニューヨーク大学芸術学部在学中は舞台、映画で俳優及びプロデューサーとして活躍。卒業後、メディア関係のリサーチ、コーディネイト会社を設立。現在はホスピタリティビジネスのコンサルタントである夫ジョヴァンニの故郷であるイタリア・プーリアから“外食とはエンターティメントである”という考えのもと“感動”を創る仕事を支えています。

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