9月から11月にかけて日本ではお祭りの多い月ですね。
ちなみにイタリアではカトリック教由来で11月は死者の月。最近こそ気にする人が減っていると思いますが、伝統的には結婚式などは行われません。宴会場付きのレストランなどは毎年休業してしまうところも少なくありません。
山、川、海と自然に恵まれた九州で一番広い市、佐伯では農村地域の五穀豊穣を祝う収穫祭と海岸部のお魚祭りなど毎週末どこかで大祭が行われています。
先週末は、祖母・傾・大崩ユネスコエコパークの一部になっている佐伯市宇目地区のキャンプ場で「うめエコパーク神楽大会」を見学に行きました。洋の東西を問わず舞台芸術好きな私はとても楽しみにしておりました。オタク文化やポップカルチャーだけではない伝統的な日本文化をインバウンド客にアピールするにあたってこれほどオーセンティック(本物な)コンテンツはないと思っています。
神楽は日本全国の神社などで民間芸能として行われています。全国には4000をこえる保存団体があると言われ、38ヶ所が国指定の重要無形文化財として指定されています。
重要無形文化財に認定されている歌舞伎俳優などの個人は「人間国宝」と呼ばれていますが、お神楽は生業は他にある言わばアマチュアの市民が主役です。個人の才能や芸術性にではなく日本の舞台芸術の原点である神楽を保存する組織全体が国宝に指定されているという事になります。
昨年やっと全国の保存団体のネットワーク作りや担い手育成、ユネスコ文化無形遺産への登録を目指し世界的評価を獲得するなどの目的で全国神楽継承・振興協議会という組織が発足したようですが、今までなかったことが不思議です。
御神楽の演目は日本書紀や古事記などから題材を取っているものが多く神話の里、高千穂を含む祖母・傾・大崩エコパークはまさにその中心地。そこに集まった周辺の6団体の中には高校の神楽部や小学生、中学生が地域学習の一環として取り組んでいるグループもありました。
演舞のレベルは期待を大きく超えて高いもので、日本神話の荒ぶる神々を表現する演目では激しく飛び跳ね舞い踊る姿と太鼓や笛の抑揚と連続性のある音楽に胸に熱くこみ上げてくるものを感じました。
全国各地の神楽鑑賞ツアーをやってみたいと思わせるほど、ハマりそうです。
町おこしの中心となっている全国的に有名な花形団体ではなくても、山間集落に住む地元の中高生に神楽の伝統が伝わっている事は素晴らしい事だと思いましたが、これも熱心な指導者がいるからこそのことだと思います。一度失ってしまったら取り戻すことが困難な民間伝統芸能の火を消してはならないと強く思いました。