4/15から17までのイタリア中部、ウンブリア州への小旅行は急に決まったことでしたので、宿泊先も当日ネットで調べて予約するという慌ただしさでした。検索キーワードは「アルベルゴ・ディフューゾ」。分散型宿泊施設と言う意味です。過疎化で空き家が増えた地域の既存の建物を改装して
宿泊施設にすると言うコンセプト。受付やレストランは一つで宿泊する部屋が地域に分散されてあると言うスタイルです。日本でも地域再生の視点から注目を浴びてきています。
今回私たちが泊まったのは現在の人口は400人ほど、15世紀に建てられた貴族の館を中心に栄えた標高650mの山上の町、ラブロのアルベルゴディフーゾ・クリスポルティです。街の中心部に8ヶ所に分散された客室の最後の1部屋に泊まることができました。
ポータルサイトではなく、ホテルのHPからネット予約するとすぐに確認のメールが来ました。街の食事処3軒紹介も書かれていて中々親切と思いましたが、多分これ以外食べる所ありませんよ、と言うことなのだろうと理解しました。
到着時刻を聞かれたので返信すると、「当ホテルのチェックイン時間は17:00-19:00です。」とのこと。
その時間内に着くのは無理なので、折り返し電話で交渉することに。雨の中、街灯もない急カーブ連続の細い山道をGoogleマップ頼りに登って行くと駐車場があり、そこから電話で到着を告げるとしばらくして案内してくれる人が現れました。
城塞に入るアーチ型の門をくぐると迷路のような石畳のさらに細い道を上ったり下がったり歩くこと5分。古い大きな木の扉を開けて中に入ると白いテーブルクロスがひかれたテーブルがいくつも並ぶモダンな朝食用の部屋があり、その奥のオープンキッチンの横を通ってさらに細い階段を登って行った奥にドアが3つありました。
そのうちの一つが私たちの部屋でした。石造りの中世の城の内部を改築して無理やり部屋を作った感じは否めないのですが、秘密の隠れ部屋のような独特の雰囲気はワクワク感がいっぱいでした。リネン類やアメニティなどはセンスの良さを感じられ、装飾品などもモダンな雰囲気。
部屋の鍵と表の門の鍵を渡すと案内してくれた人は随分素っ気なくそそくさと帰って行きました。
ホテルのサイトにはこの街とこのホテルの歴史が詳しく書かれています。この街に魅せられたベルギー人の建築家のパッションありきで1970年代から再生が始まったとのことですが、確かにそのまま廃墟化して朽ち落ちてしまうには勿体無い歴史ある街と建造物だったに違いありません。
石造りの建物だからこそ改築の余地があったとも言えるのかも知れません。ただこの街再生の原動力は一個人のパッションに帰するところが大きいのではと感じました。
都市型ホテルに期待するホスピタリティ=心配りの定石をあまり気にしなくてもそれ以上に心を動かす何かがあれば苦情もあまり出てこないのかなと感じました。
とは言え、チェックアウトの時にベッドのマットレスが柔らかすぎて眠りにくかったことと、お湯が出なかったことをチェックアウトの時に言ったら、宿泊料を少し安くしてくれました。
Albergo Diffuso CRISPOLTI Labro