佐伯では大分県で水揚げされる魚の40%が上がります。そのうちの70%が上がる鶴見漁港の市場に午前6時半、競りの時間に合わせて見学に行きました。
大分の魚と言えば、その名も知れた関アジ、関サバですね。豊後水道で一本釣りのマアジ、マサバのことです。天然の魚ですから、この周囲を泳ぎ回っているので、どこの港に上がっても不思議はないかと思われますが、そう簡単なものではありません。ブランドとして確立するにはそれなりの独自性と維持する努力が必要です。
厳密に言うと1)「速吸の瀬戸」と呼ばれる地域で一本釣りされ大分市の佐賀関に上がったものであり、2)船のいけすに放して生きたまま漁港へ運ばれ、3)「面買い」された後港のいけすに移され、4)出荷前に「活けじめ」「神経抜き」されたものだけが関サバ、関アジと呼ぶことができるというのです。
こういった地域ブランドの確立はイタリアのDOC,DOP(原産地名保護制度)が有名が先駆者ですが、野菜、果実、オリーブなどの生産品からチーズ、サラミ、ワインなどの加工品など幅広い食品が含まれますが、生魚の指定は海水魚ではありません。コイやマスなどの淡水魚では2、3種あるだけです。この辺は食文化の違いを感じるところですね。
佐賀関の漁師さんへのリスペクトを払いながらも、マアジやマサバは佐伯にも美味しいものが沢山上がります。
佐伯の特徴としては日本でも特別と言われる年間350種以上の魚介類が上がること。漁獲量の多さもピカイチです。
それ以外でも漁法、処理の仕方、加工方法などなど佐伯だけではなく日本には他の国とは比べられない程の技術や文化があることをひしひしと感じでいます。
「佐伯の殿様、浦でもつ」と言われた毛利高政公は、400年以上前に海の恵みを保つためにはむやみに山の木を切ってはいけないという御触れを出したと言われています。これが、佐伯のSDGs的な考え方の元になっていて、観光協会では「浦100」という100年後の佐伯に自然の豊かさを残そうというコンセプトの観光商品を作っています。
循環型のサスティナブルな自然環境を学ぶ体験プログラムで山と川と海のバランスのとれた循環を体験してもらうというものです。
美味しい魚食べに来るだけではなく、山でキャンプをしたり川遊びをして最低2、3泊と連泊する中で、佐伯の豊かさを感じていただければ嬉しいと思います。