秋風が吹くプーリアからまだ真夏感いっぱいの東京に戻ってきました。
現在唯一の東京-ローマ直行便、イータエアウェイズ(ITA Airways)は満席でした。乗客に日本人はわずかで大多数はヨーロッパ系の20−30代の男女。日本のアニメのTシャツを着ていたり、全体的に”オタク”系の印象の人が多かったです。ほとんど観光客でしょう。インバウンドを増えていることを実感しました。
航空券代の高騰と円安が日本人にとっては海外旅行に行きたくても二の足を踏む大きな要因となっています。また感染者が増えていると言われるコロナの影響もあるでしょう。
イタリアでも3年連続で1800年代以来の暑い夏を記録したとのニュースを見ましたが、「夏は休むもの」という観念がDNAに組み込まれているヨーロッパ人にとって長く続く暑さは夏休みを分散させる効果もあるようです。
9月になると宿泊代などは8月のピーク時の料金より下げるホテルやアグリツーリズモもあり、プーリアはまだまだ観光客で溢れています。地元で観光業に従事する人々はいつ休みを取るのかと言えば、10月とか11月、子供の学校を休ませて一家で1週間ぐらい旅行に行くというケースも珍しくありません。
「夏休み」というとビーチでのんびり過ごすというのがイタリア人にとっては定番です。昼間街中にいるのは国外からの観光客です。都会でも観光業以外の在住者は避暑に行ってしまいます。
秋になると、さすがに南イタリアでも海水浴はできませんが、キノコ狩りやワインテイスティング、トレッキング、サイクリングまた遺跡見学などアクティビティは色々とあります。いずれにしても多くの予定に縛られることなく自由に過ごす、というところがポイントです。
そして都市在住者は毎年でも同じところへバカンスへ行くという傾向が顕著です。
プーリアのヴァッレ・ディートリア地区では地元以外の人が所有する別荘がたくさんあります。それも富裕層のみならず、ごく一般的な市民でも別荘を持っている人は珍しくありません。
「バカンス」= 「休み」は仕事をするために取るものではなく、「休む」ために仕事をする、というのがヨーロッパ的な感覚です。心と身体を整えることが「休み」だとすると、方法は人それぞれ色々あるでしょうが、ストレスをあまり感じることなく好きなことを好きなようにするのが一番良いように思われます。
そのためにやりたくないことも少しはやるという、それが「仕事」なのでしょう。
これから大分県佐伯市で欧米豪圏からの誘客を推進する仕事を始めるにあたってヨーロッパ型の一地域に長期滞在(連泊)する休暇の過ごし方を参考に日本で心豊かになるバカンスのあり方を考えて行きたいと思います。