過去、米国系のファストフードのマニュアルのお話をしてきました。皆さんは日本的なおもてなしのサービスと米国式のマニュアルは全く異なると思うでしょう。でも、おもてなしの裏には緻密なサービスが必要なのです。
日本の代表的なおもてなしと言えば、高級旅館のおもてなしです。高級旅館にファストフード的なマニュアルは縁が無いと思われるでしょう。
確かに客室数20室くらいの小型旅館であれば、優秀な女将の個人プレイで運営できるでしょうね。でも大型の高級旅館ではそうもいきません。大型の高級旅館と言えば、能登半島七尾温泉の加賀屋が有名です。
加賀屋は「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」で35年連続日本一を続けています。一回途切れましたが、令和3年1月第46回「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」において、総合第1位になっています。
天皇陛下をはじめとする皇族方も過去10回も訪問する伝説の旅館です。それでながら、年間30万人が訪れる大型旅館でもあります。波の静かな七尾湾に面して、
「能登客殿」(85室353名収容)
「能登本陣」(121室660名収容)
「能登渚亭」(180室1,000名収容)
「雪月花」(280室1,450名収容)
の4つの客室タワー」で600室以上、3,000人以上を収容する大型旅館です。
夕方4時ころにタクシーや自家用車で玄関の立派な門をくぐると、大女将、中女将、若女将が率いる数十名の仲居さんが出迎える光景は迫力があります。
しかも、加賀屋一軒でなく、他に以下の6軒の大型旅館を運営しています。
「茶寮の宿 あえの風」(130室710名収容)
料理旅館金沢茶屋
虹と海営業開始
台湾北投温泉に日勝生加賀屋完成
加賀屋別邸 松乃碧
料理旅館金沢茶屋別館
その他、京都、大阪、東京、金沢などに加賀屋レストランやカフェ等も運営している巨大サービス企業です。
その中でも、特に七尾の加賀屋のような大型旅館を運営し、サービスでも高い評価を得るには、きちんとしたマニュアルや仕組みが必要です。実際に平成10年2月にはISO9001(国際標準化機構)国内の旅館・ホテルで初めて認証を受けています。
旅館に泊まる楽しみは、おもてなしだけでなく、美味しい料理がありますね。旅館の料理提供には2つの種類があります。宿泊する部屋に料理を運ぶ部屋だしと、食事処という客席で料理を提供するやり方です。最近増えているのが食事処システムです。お客様が食事をする間に清掃や布団を片付けられるし、熱い出来立ての料理を提供できるからです。
でも加賀屋は最大3,000人の宿泊客に対しても、部屋出しにこだわります。部屋出しは、仲居さんが離れた厨房から重い料理を運ぶので重労働すぎます。それを支えるのが、管内隅々に巡らせた自動搬送システムです。
また、地方の旅館が仲居さんを確保するのは至難の業です。その対策で目を付けたのが、小さい子供を抱えたシングルマザーです。旅館のそばに保育所付きの寮を作ることです。これで優秀な仲居さんを確保し定着性も高まったのです。
詳細は以下の加賀屋大女将 小田真弓氏のインタビュー記事をご覧ください。
女性が輝く2つの仕掛け搬送ロボと保育園
加賀屋歴史
加賀屋 HP
加賀屋グループ
「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」
でも加賀屋のような巨大サービス企業の後継者選びは大変です。
以下の加賀屋お家騒動の記事をご覧ください。
次回は加賀屋を支えるマニュアルの具体的なご説明しましょう。
続く