父の日のゼッポレ

南イタリア美食便り

先週はフェスタデッレ ドンネ(国際女性デー)でしたが、イタリアでは今週の日曜日3月19日は父の日です。キリストの養父ジュセッペ(ヨセフ)の祭日が父の日として認識されています。

日本ではアメリカ発祥の6月第3日曜日が広く認知されていますね。逆にその日はイタリアでは全く素通りです。5月の母の日の方が知られています。イタリアの祝日と日本の雛祭り、子供の日などのお節句も祝おうとするとお飾りや料理など結構忙しいことになります。

あらたまったことはできなくても、生きていることに感謝して毎日を祝う気持ちだけでも持っていたいと思います。

お菓子にも郷土色が濃いイタリアですが、父の日には各地で特別なお菓子があります。ローマ以南では呼び方や材料などは微妙に違っても同じようなお菓子、平たく言うと油で揚げたシューをカスタードクリームまたはリコッタチーズとアマレーナ(サワーチェリー)で飾ったお菓子で祝います。

プーリアではゼッポレと呼ばれています。シュー生地はしっとりしていてドーナツのフレンチクルーラーのような感じ。揚げ油はオリーヴオイルを使う地域もあればストルット(ラード)を使うところもあります。

また、健康志向を反映してか、油では揚げたものではなくオーブンで焼いたものも最近は好まれるようになっていてお店では両方売られています。

お菓子職人と言うとペストリーシェフと英語では言いますが、イタリア語ではパスティッチェーレ(pasticcere)、カスタードクリームのことはクレマ・パスティッチエラです。ちなみに生クリームのことはパンナ、日本でもお馴染みのデザート、パンナ コッタのパンナです。コッタと言うのは「加熱された」という意味になります。

夫のジョヴァンニは大のカスタードクリーム好きで、我が家では飼っているニワトリの卵のほとんどがカスタードクリームになると言っても過言ではありません。便利なことに日持ちのする出来合いのシューが売っているのでは常備しています。

ただ父の日には、特別に自家製の大きめのシューを焼くことにしています。濃厚なカスタードクリームに酸味の効いたアマレーナ(サワーチェリー)が良いアクセントになります。

大橋 美奈子

大橋 美奈子

東京生まれ。演劇プロデューサーを志し、高校卒業後アメリカ留学。ニューヨーク大学芸術学部在学中は舞台、映画で俳優及びプロデューサーとして活躍。卒業後、メディア関係のリサーチ、コーディネイト会社を設立。現在はホスピタリティビジネスのコンサルタントである夫ジョヴァンニの故郷であるイタリア・プーリアから“外食とはエンターティメントである”という考えのもと“感動”を創る仕事を支えています。

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