優しい味のプーリア産ラッテ ディ マンドルラ シロップ

南イタリア美食便り

プーリア中央部のイトリアの谷(Valle d’Itria)地域は谷というより緩やかな傾斜の続く田園地帯です。

周囲をオストゥーニ、チステルニーノ、ロコロトンド、マルティナ・フランカ、チェリエ・メサッピカというそれぞれ小高い丘の上に築かれた町に囲まれていた地域の名称でこの地域にはトゥルッリと呼ばれる円錐形の屋根を持つ石の住居が点在しています。我が家はその真ん中ほどに位置しています。

この地域では1950年代にワイン用のブドウの収穫量を抑えるためブドウの代わりにアーモンドを植えることが奨励されました。それをきっかけにどこの家でもアーモンドの木が植えられるようになり、特有の種類が育っています。

世界的に広く出回るカリフォルニア産のアーモンドと比べて形は丸く小さめです。味は脂肪分が多くしっとりとして甘味とコクが強く一口食べれば違いが分かります。砂糖がけしたものやアーモンドパウダーのみで作られたクッキーが郷土菓子として親しまれています。

2月に春を告げる花として桜に似た花をつけるアーモンド。真っ白なまだ若い生のアーモンドが食べられるのは外側の果肉がまだ黄緑色の夏のこの時期です。

果肉と種を石で砕いて中にあるジンの部分を食べます。砕いているうちから杏仁豆腐に近い甘い香りがしてきます。食感はコリコリ。採る時期がもう少し早いと乳濁色のゼリー状をしています。

保存食用には実が乾燥してパカっと割れた時期に採りますが、アーモンドミルク(ラッテ ディ マンドルラ)を作るためには今が収穫時です。

生のまま粉砕して水を加え一度茹でたものを絞ります。

豆乳と同じような作り方です。このままでも飲みますが、水分が多い状態では保存が効かないので砂糖を加えてコンデンスミルクの様にし、水で薄めて飲むのが、プーリアの代表的な夏のソフトドリンク。

氷にラッテ ディ マンドルラのシロップを入れエスプレッソコーヒーを注いだものをプーリア南部のレッチェという町ではカフェ・レッチェーゼ(アイスコーヒー・レッチェ風)と呼んでいます。かき氷のシロップとしても美味しいと思います。

ビターアーモンドから作られたアーモンドシロップとは一味違った優しい味のプーリア産のラッテ ディ マンドルラ シロップ、日本にも輸入されている様なので是非お試しあれ。

大橋 美奈子

大橋 美奈子

東京生まれ。演劇プロデューサーを志し、高校卒業後アメリカ留学。ニューヨーク大学芸術学部在学中は舞台、映画で俳優及びプロデューサーとして活躍。卒業後、メディア関係のリサーチ、コーディネイト会社を設立。現在はホスピタリティビジネスのコンサルタントである夫ジョヴァンニの故郷であるイタリア・プーリアから“外食とはエンターティメントである”という考えのもと“感動”を創る仕事を支えています。

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