プーリア中央部のブリンディジ県、さながらオストゥーニは緑色のオリーヴの樹海に浮かぶ白い客船のような美しい街です。そこにプーリアのアグリツーリズムの先駆けの一軒であり私たちが20年来親しくしているアシャーノ家があります。オリーヴオイル生産とアグリツーリズモ経営は二代目に引き継がれて彼らの努力とプーリアの観光ブームの波に乗り事業拡大中。先日、Gastro’(ガストロ)という名の新規事業のお披露目パーティに行ってきました。
アグリツーリズムの宿泊施設に隣接した樹齢数百年のオリーヴの巨木に囲まれた14ヘクタールの土地で季節ごとに多品種の野菜や果物の生産を行い、その畑の真ん中にそれら青果、加工食品、ワイン、そして自家製お惣菜テイクアウトの直売所を作りました。
ポイントは、市街地や観光スポットから離れた畑の真ん中にお店があること。
手入れが行き届いた美しい畑、一本一本が芸術品のようなオリーヴの巨木、公園のように広々とした敷地内。広く使い良さそうなキッチンが併設されたショップには、文字通りKM0(キロメトロゼロ=周囲1km以内)の商品が並んでいます。ルーラルシック(ルーラル=田舎の、シック=垢抜けた)という言葉が思い浮かぶ、言わば、見せる農業。今後の農業と観光の方向性を感じさせる試みです。
農業とデザイン、イタリアが得意とする分野でもあります。
美しい街並みや海岸線など観光資源に恵まれたプーリア中央部ではなく、大規模農業が主な産業であるプーリア北部でも農業の未来を築く試みを展開する団体があります。それが、ジュセッペ・サビーノさんが中心となって活動するVa’Zapp(ヴァザップ)です。
彼らも「美しい農業」というのを一つのテーマとして掲げていますが、農業を軸に過疎化問題、教育問題、教育問題、等々様々な社会問題に対するアプローチを展開しています。その代表的な活動はContadinner(コンタディナー)で、一緒に食事をしながら同じ地域の生産者たちの対話や繋がりを促すネットワーキングイベントです。農業従事者だけではなく、地元のデザイナー、映像、デジタル製作者を含む食に関心を持つあらゆる人々を繋げるカタリストの役割を果たしています。
昨年4月には龍谷大学の大石尚子教授の計らいで京都府亀岡市でもこのイベントが開催されました。
(「食の未来を切り拓く持続可能な食と農 スローフードの国・イタリアの経験から学ぶ」
佐伯市も昨年3月から「オーガニックビレッジ宣言」を行い積極的に取り組み始めています。
農産物や生産品だけではなくオーガニック(有機的)な人と人との繋がり方についても考えて行きたいと思っています。