このところ気温が低い日が続き、朝などは緑の田園に降りた霜が太陽の光でキラキラ輝く様子がきれいです。
寒い日はしっかりお腹が温まるソースたっぷりのパスタが良いでしょう。イタリアの家庭料理の定番、パスタ エ ファジョーリを作りました。ファジョーリとは豆という意味。豆と言っても種類が色々ありますが、一般的には日本で金時豆、うずら豆と呼ばれる豆の事です。イタリアでは白い種類のものがよく使われます。ちなみにドジョウインゲン(サヤインゲン)はファジョリーニと言います。ファジョリーニが旬の夏にはスパゲッティと一緒にトマトソースで食べるのが定番です。
パスタ エ ファジョーリは、ソフリットと呼ばれるニンジン、玉ねぎ、セロリのみじん切りをよく炒めたものをベースに茹でた豆の形が崩れるまで煮て、パスタと合えて食べます。パスタは短いマカロニとか肘の形をしたゴミティとか小さめのショートタイプを使います。インゲン豆ソースのパスタと言ってもあまりピンとこないかもしれませんが、「パスタ入り豆のスープ」と言えばイメージしていただけるかと思います。豆はフードプロセッサーにかけてポタージュ状にする人もいれば、形が残るぐらいが好みの人もいます。ちょうどつぶあん派とこしあん派がいるようなものですね。イタリア各地で食べられている料理ですが、それぞれの家庭の味がありトマトピューレを入れたりベーコンやなどを入れる家もあるようです。リコッタチーズを発酵させたリコッタフォルテという沖縄の豆腐窯を思わせるプーリア独特の調味料がありますが、これを入れても美味しいです。生のエクストラヴァージンオリーヴオイルを最後に回しかけすることによって風味が格別になります。
パスタ エ ファジョーリは、イタリアの郷土料理の基本となっている「貧者の台所(Cucina Povera)」を代表する手軽な材料で栄養価も高く一品でバランスのとれた健康的な料理です。
イタリアの家庭ではファジョーリ以外ではチェーチ(ひよこ豆)、レンティケ(レンズ豆)、ピゼッリ(エンドウ豆)などもよく食されます。同じように煮てスープとしてまたはパスタと一緒に食べるのが一般的です。豆の種類は色々ありますが、家庭での調理法はシンプルです。
大豆はイソフラボンの効能で牛乳の代わりに豆乳を飲むことを勧める医師も多く豆乳ドリンクは普及していますが、豆自体はそれほど使われてはいません。豆腐はスーパーや自然食品店には並んでいますが、一般的な食卓に日常的に並ぶまでには至っていませんし、日本の豆腐を知る者としては触手が伸びません。
元々イタリア料理には砂糖を全くと言って良いほど使わないので、日本のように豆を甘く煮る習慣はありません。
イメージ的に、イタリアでは豆類は肉類よりも安価でヘルシーなタンパク源というイメージが強いのでお菓子にするという感覚もなく餡子の入ったお饅頭や羊羹などは新鮮な驚きを持って受け止められます。イタリアでも寿司やラーメンに続いて美しい和菓子などが喜ばれる日もそう遠くはないかも知れませんね。