冬の間湿気が強く雨の続くプーリアへ戻ってきました。1ヶ月以上締め切ったままの家の中は湿度85度。除湿機をかけシーツ類を乾燥機で乾かさないと寝られない状態でした。湿気を吸い込む石の家は、冬の間暖炉の火を絶やさずにいないと深々と寒いです。乾燥した夏とジメジメした冬は地中海性気候の特徴でもあります。
一方、灰色の空とのコントラストも鮮やかに放置されていた畑には雑草、もとい野草も青々と繁り美味しそうです。プーリアの野草とは、たんぽぽに似たシヴォーニ、自生のチコリ、こちらではビエトラと呼ばれるふだん草、サルビア、オルティーカ=西洋イラクサ、ヒナゲシなどのこと。
しっかり塩茹でしてアクや苦味をとり、オックステールや骨付き肉を鍋に入れ水から煮込んだブロード(スープ)と一緒に食べます。滋味深い一皿にほっと我が家に戻ってきた実感がします。
今週の土曜日はセコンドシーズンに入った「美奈子のおしゃべりキッチン」の第4回目。ZOOMを使ったリモートお料理教室です。今回のメニューはプーリアの代表的な郷土料理、チーマ ディ ラーペのソースのオレキエッテパスタです。
「チーマ ディ ラーペ」とは直訳すると「蕪の上の部位」。蕪の根の部分ではなく、花のつぼみと葉、茎の部分のことです。蕪の一種であることには違いありませんが、根の部分は食べません。菜花、かき菜、野沢菜などに近い種類の青菜です。
日本では埼玉ヨーロッパ研究会の森田さんが一番多く生産しているとのこと。参加者の方にはこれをECサイトBASEから入手していただきます。
チーマディラーペをオリーヴオイルでクタクタになるまで煮てソースを作りオレキエッテパスタと絡める一皿です。
オレキエッテとは「小さい耳」という意味のショートパスタ。デュラム小麦という硬質小麦を粗挽きしたセモリナ粉をぬるま湯で溶いて生地を練り、ナイフと手でまさに小さな耳、もしくは丸い帽子のような形に捻り出します。デュラム小麦の生パスタならではのモチモチ感は手作りの甲斐がある美味しさです。デュラム小麦のセモリナ粉も輸入食材店やインターネットなどで簡単に入手できます。
数えきれない程ヴァラエティ豊かなイタリアのパスタの中でも掛け値無しに最も美味しいパスタだと思っています。手作りの生パスタは時間と慣れが必要ですが、パン作りより失敗もなく無心にパスタを捏ねたり捻り出したりする時間はイヤなことも忘れられるセラピー効果があると思っています。
何人かで集まっておしゃべりしながらパスタをひねるのはリラックスタイムでもあるし、その後美味しいパスタも食べられる一石二鳥の時間です。それをモニター越しでも共有できるのですから、世の中変わったものです。