資料整理とKFC その2

レストランチェック

前回 KFC Salad(1970年代初期の手作りの時代)、Cole Slow コールスローとPotato Salad ポテトサラダのスペックをご紹介したら、KFCの11種類のスペックなども書いてほしいとリクエストがあり、ちょっとご紹介しましょう。これはKFCの資料ではなくマクドナルド時代にKFCのフライドチキンを研究していた時の資料で大体95%くらいは同じスペックと思います。
KFCのフライドチキンは1羽1~2kgくらいの丸鳥を9つにカットした物をバッター液につけ、ブレディング(薄力粉、塩、11種類のスパイス)を全体にまぶし、圧力釜で上げます。 
KFCが日本に来たときは、バッター液が切れたときは店舗で、牛乳と卵で作っていました。その比率は卵12個、パウダーミルク1,500㏄、ぬるま湯2,000㏄、水4,000㏄です。
秘密のスパイス配合比率はマル秘ですが、以下の12種類ではないかと推測しました。
ブラックペッパー
ホワイトペッパー
ガーリック
アニス
カルダモン
シナモン
ナツメグ
メース
オレガノ
セイジ
タイム
タラゴン

そしてフライドチキンの調理方法はこのラインより上のエリアが無料で表示されます。

1.チキンは中ヒナ、中抜きの丸1.2kgを8カット又は9カット。出来ればフレッシュ。
2.チキンの余分な脂肪分、内蔵、血、羽等を取り冷水で洗浄後、水切りを行う。
3.衣を付けやすくするためと、チキンの水分の逃げを防ぎ、揚げ色を良くするためにバッターリングする。余分のバッター溶液を切る。
4.各種スパイスと細かい塩を混ぜた、小麦粉をまぶす。
5.フライヤーで揚げる。
6.油切り、荒熱切りを行う。

各工程での注意点

1.チキンのカット
9カットは通常のブロイラー企業では行わない。丸で仕入れて自店で加工するか、カットのしかたを覚えてもらって、加工賃を支払い加工済みのブロイラーを購入する。
9カットの出来るブロイラー屋さんを探す。8カットならば通常のブロイラー屋さんで行っている。8カットされたブロイラーを購入するか、丸を購入し8カットする。
パーツを購入(ドラムとサイまたは、ドラムのみ)する。
パーツの購入は、販売が行いやすい利点がある。但し仕入価格は高く、輸入の冷凍ブロイラーである。
輸入のブロイラーを購入する場合、原産地にも充分注意すること。
概して東南アジア産のブロイラーは飼料の関係だろうか、冷凍期間が長くなると匂いがきつくなり、フライにしても匂いが消えづらい。
南米産のも物は概してパーツが大きく、不揃いな場合が多い。ちゃんとした仕入先で同一パーツの大きさが一定の物を仕入れる必要がある。

2.チキンの下処理
カットされた各パーツには、羽の根元が残っている場合が多い。これをそのままフライにすると,顧客には嫌がられる。
内蔵を完全にとる。特にサイの骨の内側に腎臓が残っていると、フライドチキンにしても苦みが出てくる。
皮と身の間に黄色い脂肪分があるが、なるべく取り去る。フライドチキンは通常100%植物油のショートニングを使用してフライするが、ショートニングの中に、チキンの脂肪分が溶けだし、ショートニングを傷めるとともに、スパイスの香りに脂肪の匂いが交じり顧客に嫌がられる。水洗いは、あまりやりすぎるとブロイラーがふやけて良くない。

3.バッターリング
バッター溶液は濃度の濃いものと、薄いものでフライドチキンの仕上がりの差が出てくる。一般にクリスピータイプのフライドチキンはでは、濃いバッター溶液を使用しているようだ。
バッター溶液をつける前に、調味液に浸潤させ、味を整える方法もある。
バッター溶液は、玉子、ミルク、小麦粉等を混ぜたものであり、細菌の栄養源である。ブロイラーにはサルモネラ菌が付着していると考えて間違いない。バッター溶液の管理は、充分に注意すること。

4.ブレディング
スパイスの混ざった小麦粉をまぶす過程で、小麦粉にダマが出来るが、ダマは毎回ふるいに掛け、取り去る。
スパイスの混ざった小麦粉は、使用している間に各成分の重量の違いで、重たいものが順次容器の底になっていく。全体が良く混ざるように容器は大き目のほうが作業しやすい。
また成分の微細な粉末ほどブロイラーに付着しやすいため、回数を重ねまぶすほどに味が変化していく。一定回数まぶした追加のスパイス入小麦粉を入れ、味の変化を押さえる工夫が必要である。

5.フライ
フライヤーは、通常フライドチキンは骨つきの9カット又は、8カットのブロイラーを使用するため骨の中迄加熱するのは難しく、ブロイラーに火通りを良くするように、圧力式のフライヤーを使用する場合が多い。
圧力式のフライヤーの原理は簡単で、ブロイラーからの蒸気を釜の内部に閉じこめそれを圧力に変える。一定の圧力に上昇した後は、余分な蒸気を逃がしながら、一定の圧力を保つようになっている。家庭用の圧力鍋と原理は同じである。
しかし以上の原理のため、圧力式のフライヤーには一回の調理で必ず一定量のブロイラーを調理する必要があり、顧客の要望に合わせて1個だけ調理するわけにはいかない。
そのため、フライドチキン店では保温庫に一定時間保温し、保温時間内に販売するようにしている。一回のフライサイクルで上げる量は、選定する機器により異なる機器メーカーの目安を参考に、自社の商品特性を考慮し、量の決定を行う。

6.ホールディング
保温の温度は、細菌の繁殖可能温度以上でなおかつ、顧客が食べたときに熱いと感じる温度帯である必要がある。
通常ブロイラーは70℃程度が適温と考えられている。但し、ブロイラーの中心温度を70℃に保つためには、保温庫の温度は80℃~85℃程度、中心温度の10℃~15℃アップ程度で考えなければならない。これは保温庫の扉の開け閉てによる庫内温度の低下などを考慮に入れるためである。保温の過程で、荒熱切りと油切りが進行する。尚、高温での保管であるため、商品の品質を考えると自ずと保管には時間の限界があることが理解できる。各チェーンでは自社商品の特性を考え、保温、保管時間を設定している。自社商品の特性を考慮し、保温庫を選定するわけであるが、保管時間に関しては、保温庫のメーカーに目安となる保温温度、時間があるのでそれを参考にするとよい。

フライドチキンショップのキッチンレイアウト

調理機器としては、圧力式のフライヤーを使用する方法が一般的であり、その前提でキッチンレイアウトを考えてみよう。

冷凍庫、冷蔵庫、シンク、フライヤー(フライドポテトその他用)等は配送等の関係で容量を確保する。一般的なファストフーズの考え方で、容量を決定する。ただし、チキンは案外場所を必要とするので、冷蔵庫或は冷凍庫は使用するブロイラーにより充分容量を確保する必要がある。

ハンバーガーなどの、ファストフーズ店舗にはない特殊な機器は、圧力式のフライヤーとブレディングマシンであろう。

その他にも圧力式フライヤーが前記の通り、一回のフライサイクルでのクック量が決まっていることと、一回のフライサイクルが約15分と長く、また荒熱落とし油切り等で、御客様に提供できるまで、調理終了から20分~30分必要になることで、ハンバーガーショップの場合より、来客予測に基づく調理の必要が出てきかつ、瞬間的な調理が不可能なことで大型の保温庫が必要になってくる。

圧力式のフライヤーの生産量は、1時間当り約12kg程度になる。これはチキンの各パーツを平均すると1ピース約100gになり、約120ピースの生産個数になる。

ハンドブレディングマシーンとは、ブレディング自体は手作業で行うが、小麦粉に出来るダマの除去が一仕事であり、それを行うために考えだされた自動のふるい機械である。自動のブレディングマシンがあるが小型機器の場合、小麦粉のつき方が一定でなく、産業用の大型機器を除いて、使用している店は少ないようである。

作業の流れをもう一度確認すると、

1.冷凍庫からチキンを出す
2.冷蔵庫で解凍する(間に合わない時は、シンクで冷水解凍)
3.チキンの掃除
4.水洗い、水切り
5.バッターリング
6.バッター切り
7.ブレディング
8.ブレディングを馴染ませる
9.フライ
10.保温・油切り

になる。

以上の工程で水を使用するのは、2-6の工程である。全体をドライキッチンにするためには、水を使用する作業を集約し、床に水が飛び散らないよう考える。

KFCのチキン調理の過去の執筆
https://www.sayko.co.jp/food104/post-2430/

厨房機器の開発史
https://www.sayko.co.jp/food104/post-3831/
https://www.sayko.co.jp/food104/post-3833/

王利彰(おう・としあき)

王利彰(おう・としあき)

昭和22年東京都生まれ。立教大学法学部卒業後、(株)レストラン西武(現・西洋フードシステム)を経て、日本マクドナルド入社。SV、米国駐在、機器開発、海外運営、事業開発の各統括責任者を経て独立。外食チェーン企業の指導のかたわら立教大学、女子栄養大学の非常勤講師も務めた。 有限会社 清晃(せいこう) 代表取締役

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