つい最近テレビ番組のジョブチューンで取り上げられ、10品の商品のうち9品が高い評価を受けた。
と好調なようだが、直近の状況を見ると、売り上げ前年比が伸びているにもかかわらず、原材料、エネルギー、人件費の高騰に値上げが追い付かず、赤字となっている。競合のマクドナルドは3回の強引な値上げで減益ながら、黒字を保っている。
モスバーガー
マクドナルド
この大きな原因が、モスバーガーの共栄会だと思われる。共栄会は新しい加盟希望者への教育や全体の運営に大きな貢献をする。しかし共栄会のメンバーの老齢化に伴い、活気が薄れるだけでなく、値上げや新店舗開店の大きな妨げとなっているようだ。
共栄会の役割は、
によると
『「モスバーガー共栄会」は、モスバーガーチェーンの本部と店舗、そして店舗同士が相互にコミュニケーションをとりながら、信頼関係を育んで協力し合うために1980年に発足した独自の組織です。地域別に全国20の支部に分かれ、情報の交換や相互啓発、モラールアップ(士気を高めること)を目的に活動し、本部がサポートしています。
共栄会活動
「モスバーガー共栄会」は、「HDC教育委員会」・「キャンペーン推進委員会」の二つの委員会を設置しています。
HDC教育委員会
全国の成功事例およびアイディアなどの共有
ミステリーショッピングを活用した、改善活動の推進
年2回の全国HDC強化期間の設定および啓蒙活動の実施 など
キャンペーン推進委員会
全国共通キャンペーンの成功に向けた取り組み
「地元愛」をテーマにしたローカルマーケティングに向けた取り組み など
HDC活動
モスの店舗では経営理念をはじめとする「モスの心」を具現化するために「HDC」を合言葉に毎日の営業を行っています。また、日々のHDC活動を改めて見直すために、HDC強化期間を年2回設け、店舗のレベルアップを目指した活動を行っています。
モスでは加盟店を含む全店舗に向けて、採用支援や教育に関する情報発信などを行っています。「リクモス」は、2015年に開設した加盟店及びモスグループ店舗のキャスト(アルバイト・パート)採用を支援するWEBサイトです。
求職者は店舗の立地や働く時間帯をスマートフォンなどで検索でき、WEBフォームから24時間365日応募することができます。また、専用コールセンターでの電話応募や、LINE ID※1を活用した応募なども可能です。
「a-mossles(エー・モッスルズ)!」は、チェーンメンバーのエンゲージメント向上を目的に2019年12月にスタートした、インナー向けのスマートフォン専用アプリ※2です。教育動画などのコンテンツ配信、理念体系の啓発や情報発信を通じて、リクモスで採用したスタッフの教育や、チェーン内コミュニケーションの強化をサポートしています。
最近では、利用状況をもとに、ニーズの高いコンテンツの最短導線への設置や、利用目的に沿ったコンテンツの整理、新コンテンツの追加などリニューアルを行っており、ユーザビリティの向上を図っています。』
とあり、
HDC教育委員会で
『全国の成功事例およびアイディアなどの共有
ミステリーショッピングを活用した、改善活動の推進
年2回の全国HDC強化期間の設定および啓蒙活動の実施』
などを行っている。その中で大事なのは『ミステリーショッピングを活用した、改善活動の推進』だ。
加盟店舗のQSCを評価することである。本来は本社が行い、良い加盟店には新店舗開店を許可し、悪い加盟店は契約更新を断り、チェーン店全体を良い方向にもっていくことだ。この最も重要な仕事と権利を共栄会に与えると、フランチャイジーのコントロールができなくなる。
モスバーガーは創業50年を超え、フランチャイジーや、フランチャイジー企業が老齢化し元気がなくなっている。創業者櫻田慧氏が陣頭指揮を執っていたころは本社主導で新しいことをやっていたが、現在では方向性を失っている。
競合のマクドナルドは、創業者の故藤田田氏の退任死去後、2代目社長の八木康介氏が最大株主の米国の指示により故藤田田氏の影響下にあった幹部社員120名ほどを早期退職させ、3代目社長の原田泳幸氏がメニューの多角化ができない小型店舗の閉鎖と、直営店舗のフランチャイズ化という荒業を行った。
そして4代目社長のサラ・カサノバ氏時代の食品衛生問題や異物混入で危機に陥り、1000店舗ほどを閉鎖せざるを得なくなった。しかしこの危機をバネにほぼ全店の改装を実施し、さらに店舗の移転などで大型化を図った。
これにより、チェーン全体のイメージが大きく向上し、コロナ禍でも業績を伸ばし、コスト高の現在でも、減収ながら、利益を確保している。この大きな原動力は、マクドナルドが店舗不動産を借り、フランチャイジーにまた貸しすることで、フランチャイジーに対して大きな影響力を持っていることだ。
モスバーガーは、看板も白モスと緑モスと統一せず、改装も遅くイメージ刷新ができない。緑モスの登場で大きな改装のチャンスをつかんだが、老齢化する共栄会のために大きなチャンスを逃した。しかし、現社長の中村 栄輔氏により、多くの新商品の発売と新コンセプト モス&カフェにより、大きなチャンスをとらえた。すでに100店舗近い。
しかし動きの遅い共栄会のために価格改定が進まず、本社は赤字転落してしまった。
今後の課題は共栄会に対する本社の指導力のアップと、新しいジーの採用だろう。
モスバーガーもそれを認識し、
『オーナー育成制度
2022年に創業50周年を迎えたモスバーガーチェーンでは、かねてよりスムーズな事業承継による加盟店オーナーの若返りを進めています。2003年から事業承継や社員独立などでモスバーガーの経営を目指す方を対象に実施している「次世代オーナー育成研修」は、2021年度に15名が受講し、累計で233名修了しています。
また、引退後のアスリートを採用し、入社後1年を目途に加盟店オーナーとして育成・独立していただく「アスリート経営者育成プロジェクト」も開始しました。今後もモスバーガーの仲間を増やし、チェーンの成長力を高めていきます。』
と懸命に取り組んでいる。
共栄会の問題で苦戦しているが、明るい話題がモスの強い海外特に台湾の店舗展開だ。台湾では競合マクドナルドと互角に勝負をしている。
マクドナルドは台湾マクドナルド創業者のDavid Sun氏を不正会計を理由に追い出し米国マクドナルドが直接運営している。そして米国のメニュー、郊外型立地戦略で店舗を出している。
台湾は日本と同じ島国で土地が狭く、人口は都心集中だ。交通手段も車より、電車やバスだ。そこで台湾モスバーガーは、電車やバスを使う通勤客を対象に都心立地を進め。マクドナルドとの競争を避けた。
また、米と魚好きな台湾人向けにライスバーガーと魚のメニューを強化した。Sun氏時代にはライスバーガーを発売していたが現在のマクドナルドは。米国の肉とバンズのメニューでライスバーガーを前面に出すモスバーガーは競合と直接対決を避けられている。
魚のメニューで言えば、海老バーガーで使う海老パティがある。日本では海老のこま切れとすり身を包んで、バンズの大きさの円形のパティ状にして揚げるのだ。魚好きの台湾では、エビのしっぽを突き出した形で成形し、海老を強調する。この独自のメニュー戦略により、台湾モスは大成功している。
米国マクドナルドが中国で競合のKFCの1/3しか店舗がないのは、SAN氏退任後の時代に停滞した台湾マクドナルドの人材をKFC中国が大量に中途採用し、店舗展開やメニューの現地化を図ったからだ。
台湾モスバーガー メニュー 評判
台湾マクドナルド メニュー 評判
台湾モスバーガー公式HP
台湾マクドナルド公式HP
この台湾モスバーガーの成功を中国や東南アジアに持ち込めば成功間違いないと思われる。
続く