フィノッキオとグレープフルーツのサラダ

南イタリア美食便り

イタリアでは1月6日のキリスト教のお祭りエピファニア(公現祭)の祝日をもってクリスマスから新年にかけてのお祝いモードが完結します。

12月8日の聖母マリアの無原罪の御宿りの祝日から、例年は1ヶ月間ほど続くお祭り気分に家族や友人でご馳走が並ぶテーブルを囲む機会も多いのです。まだまだ信心深い人々が多い南イタリアではキリスト教的要素が強いですが、胃腸の疲れや体重の増加に関しては、忘年会新年会が続く日本と同じような状況かも知れません。

コロナ禍2回目の冬、イタリアではまた核家族のみのフェスタとなりましたが、むしろだからこそ我が家では美味しいものを食べたいと言う気持ちが強かったようにも思います。

とはいえ日本のようにお取り寄せグルメが発達していないイタリアでは、気軽にネットでオーダーという訳には行きません。地産地消が原則のプーリアですから我が家のテーブルにこの期間並んだご馳走は、今年も近所の牧場の仔牛のローストビーフ、お隣さんからクリスマスプレゼントにいただいた自分の家で育てた地鶏のローストチキン、イオニア海の生牡蠣、イワシの昆布締めなどなど。さらに形ばかりのお節料理として日本から持ち帰った乾物を使ってお雑煮やお煮〆も作りました。さほど珍しいものは並びませんでしたが、時間をたっぷりかけて、失われた日常への思いを込めて作った分、美味しく食べられたと思います。親しい人々と賑やかに食を共にするのも楽しいですが、イタリアではおしゃべりが忙し過ぎて料理を味わう暇もないこともしばしば。ゆっくりと気兼ねなく美味しい時間を過ごせたことを吉としましょう。また食事のお供に欠かせないワインですが、泡好きの我が家では数種類のスパークリングワインの飲み比べもしました。イタリアの泡といえば北部のロンバルディアやベネト州のものが有名ですが、プーリアのスプマンテも年々負けず劣らないものが増えて来ています。ワイン作りにおいて醸造技術や設備の進化は素材であるブドウの良い生産地であるプーリアにとって大きなメリットであると感じています。 和食にも合うプーリアのロゼの辛口スプマンテ、日本でも入手可能なものも増えてきておりますので是非お試しいただきたいです!

と、言っておきながら我が家では今週からはしばらくダイエットとデトックスです。毎食飲んでいるワインも控えめにしましょう。どうしてもご馳走には肉類が多くなってしまうので、野菜と豆類中心の食事を心がけます。ということでおすすめは、オリーヴオイルをたっぷり使ったフィノッキオとグレープフルーツのサラダです。フィノッキオとはフェンネルのこと。イタリアでは冬野菜の代表です。セロリのような食感で香りはアニス。食物繊維も豊富で整腸作用もあるこの時期ぴったりの野菜。煮たり揚げたりすると生で食べるのとはまた違った美味しさがあります。日本国内でも生産量が増えているようですが、代用できるものがない野菜なのでもっとポピュラーになってくると思います。

今年もプーリアと日本を繋ぐ食文化の事を考えて行きますのでどうぞよろしくお付き合い下さい。

大橋 美奈子

大橋 美奈子

東京生まれ。演劇プロデューサーを志し、高校卒業後アメリカ留学。ニューヨーク大学芸術学部在学中は舞台、映画で俳優及びプロデューサーとして活躍。卒業後、メディア関係のリサーチ、コーディネイト会社を設立。現在はホスピタリティビジネスのコンサルタントである夫ジョヴァンニの故郷であるイタリア・プーリアから“外食とはエンターティメントである”という考えのもと“感動”を創る仕事を支えています。

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