佐伯産のムール貝

南イタリア美食便り

佐伯市観光ナビ( https://www.visit-saiki.jp/ )に掲載されている春のイベントは「春の佐伯本まぐろフェア 紅白対決」、「春のマアジとマガキFair」、「日豊街道岩ガキ祭り10周年」と海の街佐伯ならではの垂涎のラインナップです。リアス式海岸の浦々では潮干狩り大会も行われています。アサリをはじめ貝の美味しい季節ですね。南青山のプーリア料理の名店、「リストランテ・コルテジーア」恒例のボンゴレ祭りも始まったようです。

最近のわたくしのニンマリ大ヒットな一品は、佐伯市北部のとある浦でとれた自生のムール貝とプーリアの我が家のオリーヴオイルのスパゲッティです。牡蠣の養殖は盛んな佐伯ですが、ムール貝はまだまだ厄介者扱いです。佐伯でムール貝の美味しさを知っているヨット乗りの友人が桟橋にたくさん育っていたものを持ってきてくれました。佐伯産のムール貝をいただくのは初めてです。

プーリアではイオニア海に面したターラント湾産のムール貝が有名で、古代ギリシャ時代から食されています。ターラントのムール貝の美味しさの秘密は、湾内の養殖場の海底から噴き出している真水と海水が混ざった環境にあると言われています。旨みが凝縮された小ぶりの身が特徴です。生食でも供されます。

貝類大好きなわたくしの中でもランキングの高いところに位置するムール貝。佐伯産のお味はいかに!と期待は高まります。丸みを帯びた形の黒色のタイプと細長く縁がきれいな緑色のタイプのものと2種類あります。ワインもニンニクも入れず、貝を直接鍋にかけて蓋をし、待つこと数分、塩気と旨みがたっぷりの液体が湧き出てパカっと口が開いてからまた数分。磯の香りが立ち上がります。身は両方とも大きめで殻の黒い方がオレンジ色が濃いようです。お味の方も黒い方が濃いと感じました。緑色のタイプはプーリアでは見たことがなかったのですが、ジョヴァンニ曰くスペインではよく食べられているとのこと。雑味も少なくあっさりとした、紛れもなく美味しいムール貝でした。

ムール貝そのもののお味を見たところで、スパゲッティと一緒に食べるバージョンでは生のプチトマト、ニンニク、パセリ、ペペロンチーノ、そしてたっぷりの我が家のオリーヴオイルで仕上げました。これも唸る美味しさ、一瞬にしてプーリアの我が家で食べているかの錯覚、意識がワープしました。

佐伯でプーリア料理を!というのが今のテーマであるわたくしにとって、この美味しさを佐伯の皆さんとシェアしない訳にはいきません。早速知人友人に連絡を取ってムール貝を食するお食事会企画しました。

大橋 美奈子

大橋 美奈子

東京生まれ。演劇プロデューサーを志し、高校卒業後アメリカ留学。ニューヨーク大学芸術学部在学中は舞台、映画で俳優及びプロデューサーとして活躍。卒業後、メディア関係のリサーチ、コーディネイト会社を設立。現在はホスピタリティビジネスのコンサルタントである夫ジョヴァンニの故郷であるイタリア・プーリアから“外食とはエンターティメントである”という考えのもと“感動”を創る仕事を支えています。

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