「ズッキーニ攻め」の開幕

南イタリア美食便り

今年はさくらんぼの大凶作ですが、例年並みにシーズンを迎えているのはズッキーニです。

今年もまた「ズッキーニ攻め」の開幕という感じです。

まさにズッキーニ攻撃とでも言えるほど連日たくさんの立派に成長したズッキーニがご近所から届きます。収穫時期をずらして苗を飢えているので我が家の畑のズッキーニはまだほんの走りの時期です。

ちなみにズッキーニという言葉は、日本では一般的に広まった野菜の名前ですが、イタリア語ではこの植物の苗の複数形を指す言葉です。実の方は、単数形がズッキーナ、複数形がズッキーネが正しい使い呼び方です。

イタリアやフランスの地中海沿岸地域の野菜のイメージが強いかも知れませんが、ウィキペディアによると原産は今のテキサスからメキシコ周辺と言われ、トマト同様大航海時代にヨーロッパに持ち込まれ、それが逆輸入の形でアメリカへ渡り世界中に広まったのは20世紀に入ってからとのこと。

アメリカではズッキーニと言いますが、イギリスではフランス語同様クルジェットと呼んでいます。

「ズッキーネ攻め」、まずは実のつかない雄花から。

ズッキーニの花は中にリコッタチーズなどの詰め物をして油で揚げた料理が有名ですが、それはレストランで出てくる料理。一度に何十個も摘み取られた雄花を我が家ではプチトマトとケッパーで炒めるのが定番です。花自体に特別な風味や味がある訳ではありませんが、白ワインと好相性の前菜になります。

一番最初につく実は小さいうちに収穫し、生でサラダにします。我が家ではスライサーで薄く切ったものを塩昆布、レモン、オリーヴオイルで味付けます。これも漬物感覚で白ワインにも日本酒にも合う美味しいアテになります。

その他夏の終わりまで一つの苗に何度も実をつけるため、ズッキーネは途切れることなく食卓に並びます。

大量消費のためには5mm幅ぐらいにスライスしたものを半日天日干しし、オリーヴオイルで素揚げにした後ワインヴィネガーと塩で味付けしたズッキーネのスカペーチェは、プーリアでは「貧乏人の(または、かわいそうな)ズッキーネ」という呼ばれ方をしています。名前は散々ですが、実はこれがとても美味しいのです。本当に干したズッキーネと塩+ヴィネガーだけ?と思うほど旨味が凝縮されていくらでも食べられます。

昨年度のzoomお料理教室、「美奈子のおしゃべりキッチン」でご紹介した時にも大好評でした。日本ではズッキーニはお値段的にそれほどお手軽な野菜ではないかも知れませんが、是非農家さんから箱買いをして作ってみていただきたい一品です。

大橋 美奈子

大橋 美奈子

東京生まれ。演劇プロデューサーを志し、高校卒業後アメリカ留学。ニューヨーク大学芸術学部在学中は舞台、映画で俳優及びプロデューサーとして活躍。卒業後、メディア関係のリサーチ、コーディネイト会社を設立。現在はホスピタリティビジネスのコンサルタントである夫ジョヴァンニの故郷であるイタリア・プーリアから“外食とはエンターティメントである”という考えのもと“感動”を創る仕事を支えています。

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