モスバーガー 1回目

レストランチェック

 日本のハンバーガー業界は、ロッテリアはゼンショーに売却したし、サントリーのファーストキッチンもウェンディーズに売却と、黒船のマクドナルドと、純国産のモスバーガーの2強状態と言える。

 ほとんどのハンバーガーチェーンはガリバーのマクドナルドを真似しているが、モスバーガーは独自の和風の味と店舗運営を武器に頑張っている。立地もマクドナルドの一等地戦略に対して、2等地戦略。店舗展開も以前のマクドナルドの直営展開に対し、ほとんどの店舗をフランチャイズ展開している。

しかし、モスバーガーも40年ほど前に一等地に大型の直営店を展開したことがある。モスバーガーの看板は、黄色モス、白モス、緑モスと3種類ある。当初の店舗の看板は、黄色モスでMが小さかったがMを大きくした時期だ。

当時のマクドナルドに看板の類似性を抗議され(私が担当者に強く言ったため)、M字を白に変えたのだ。当時マクドナルドと店舗数を競っていたモスバーガーは、マクドナルドを意識し、立地戦略だけでなく、マニュアルも真似をした。店長、ハンバーガー大学プロッフェッサー、広告宣伝部のキャリアのI氏がモスバーガーに転職し、教育部門に就任したのだ。

そのせいか、モスバーガーのマニュアルはマクドナルドの初代マニュアルによく似ている。 当時のマクドナルドは、タルタルソースやビックマックソースを店で仕込み、レタスやチーズも店舗でスライスしていた。モスバーガーは今でもレタス、トマト、玉ねぎなどを丸ごと仕入れ店舗で丁寧にカットしている。

 マクドナルドのマニュアルを真似したが、モスバーガーの実際の店舗の作業にはあまり影響がなかった。マクドナルドは厳格なマニュアルをもとにスーパーバイザーが細かく指導する。

しかしモスバーガーはフランチャイジー同士の活動で、新規フランチャイジーの選択と教育、その後の指導を行うようにし、共栄会という組織を作り活動している。フランチャイズチェーンというより、ボランタリーチェーンというべきだろう。

モスバーガー共栄会

https://note.com/spacemarket/n/ndf6da8509f11

によれば

 「1972年にモスバーガー1号店「成増店」オープン。創業者櫻田慧の想いと、創業の精神「感謝される仕事をしよう」を全ての行動指針としながら「食を通じて人を幸せにすること」を経営ビジョンとして掲げている。

 共栄会についてお話をすると、今から40年ほど前に加盟店同士で物の貸し借りをしたり、情報交換をする活動がありました。それを全国統一してみんなで「共存共栄」していこうという想いのもと発足しました。

その当時、先代の櫻田以外は情報が漏れてしまうのではないか、などこの取り組みに反対していましたが、チェーン店の皆様を信じていこうという事で発足しました。今現在は20の支部で活動しています。それをサポートしているのが共栄会事務局です。

 モスの特徴として、フランチャイズ店は「フランチャイズボランタリーチェーン」という信頼関係のもとに活動しています。お互い助け合って、みんなで頑張っていこうという横の繋がりを大切にしています。

お店同士で備品の貸し借りや、新規オープン店舗のヘルプにも入ります。商品やサービスをチェックしあったり、勉強会などを通じて情報や意見を交換し、すぐれたお店からアドバイスを受けたりしながら、お店同士の「絆」をより強いものにしています。

 加盟店の皆様との信頼関係でなりたっています。共栄会の定時総会というのは年に一度毎年開催するもので、一年の締めくくりを皆様にお披露目する場です。皆様から毎月いただいているお金の使い道を公表して次の年にどういう事を実施するのかを説明するイベントです。

 以前は、3年に一度、全国大会という形で舞浜のアンフィシアターなどを使い、優秀店舗の表彰などもやっていました。2020年は生憎コロナの影響で中止になったため、このご時世でもできる事を考えていました。

 直営かどうかは関係なくFC契約の条件で全員共栄会に入ります。今店舗数でいうと

1,270舗です。

モスバーガー共栄会 モスバーガー社の説明

https://www.mos.co.jp/company/social_activity/pdf/mos_csr13_p23_24.pdf
https://www.mos.co.jp/company/csr/society/kyoeikai/

によると

「モスバーガー店舗が主体となって運営する「モスバーガー共栄会」の活動支援や店舗で働くキャストの採用の支援など、本部と加盟店、加盟店同士が互いに協力し、信頼し合える関係づくりに取り組んでいます。

 「モスバーガー共栄会」は、モスバーガーチェーンの本部と店舗、そして店舗同士が相互にコミュニケーションをとりながら、信頼関係を育んで協力し合うために1980年に発足した独自の組織です。地域別に全国20の支部に分かれ、情報の交換や相互啓発、モラールアップ(士気を高めること)を目的に活動し、本部がサポートしています。

 「モスバーガー共栄会」は、「HDC教育委員会」・「キャンペーン推進委員会」の二つの委員会を設置しています。

 HDC教育委員会は全国の成功事例およびアイディアなどの共有ミステリーショッピングを活用した、改善活動の推進年2回の全国HDC強化期間の設定および啓蒙活動の実施 などキャンペーン推進委員会

 全国共通キャンペーンの成功に向けた取り組みは「地元愛」をテーマにしたローカルマーケティングに向けた取り組み などHDC活動

 モスの店舗では経営理念をはじめとする「モスの心」を具現化するために「HDC」を合言葉に毎日の営業を行っています。また、日々のHDC活動を改めて見直すために、HDC強化期間を年2回設け、店舗のレベルアップを目指した活動を行っています。

 モスでは加盟店を含む全店舗に向けて、採用支援や教育に関する情報発信などを行っています。「リクモス」は、2015年に開設した加盟店及びモスグループ店舗のキャスト(アルバイト・パート)採用を支援するWEBサイトです。求職者は店舗の立地や働く時間帯をスマートフォンなどで検索でき、WEBフォームから24時間365日応募することができます。

また、専用コールセンターでの電話応募や、LINE ID※1を活用した応募なども可能です。

 「a-mossles(エー・モッスルズ)!」は、チェーンメンバーのエンゲージメント向上を目的に2019年12月にスタートした、インナー向けのスマートフォン専用アプリです。教育動画などのコンテンツ配信、理念体系の啓発や情報発信を通じて、リクモスで採用したスタッフの教育や、チェーン内コミュニケーションの強化をサポートしています。

最近では、利用状況をもとに、ニーズの高いコンテンツの最短導線への設置や、利用目的に沿ったコンテンツの整理、新コンテンツの追加などリニューアルを行っており、ユーザビリティの向上を図っています。

 オーナー育成制度

 2022年に創業50周年を迎えたモスバーガーチェーンでは、かねてよりスムーズな事業承継による加盟店オーナーの若返りを進めています。2003年から事業承継や社員独立などでモスバーガーの経営を目指す方を対象に実施している「次世代オーナー育成研修」は、2021年度に15名が受講し、累計で233名修了しています。

また、引退後のアスリートを採用し、入社後1年を目途に加盟店オーナーとして育成・独立していただく「アスリート経営者育成プロジェクト」も開始しました。今後もモスバーガーの仲間を増やし、チェーンの成長力を高めていきます。

その他の共栄会情報

https://tenshoku.mynavi.jp/plst/stories/13048/
https://mos-recruit.jp/job/tashiro.html
https://daiwair.webcdn.stream.ne.jp/www11/daiwair/qlviewer/pdf/2202268153mic1t3hk.pdf
https://business.nikkei.com/atcl/opinion/15/221102/011800390/

続く

王利彰(おう・としあき)

王利彰(おう・としあき)

昭和22年東京都生まれ。立教大学法学部卒業後、(株)レストラン西武(現・西洋フードシステム)を経て、日本マクドナルド入社。SV、米国駐在、機器開発、海外運営、事業開発の各統括責任者を経て独立。外食チェーン企業の指導のかたわら立教大学、女子栄養大学の非常勤講師も務めた。 有限会社 清晃(せいこう) 代表取締役

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