昨年の3月から始動し、オンラインでの講座や、リアルでの田植え、稲刈りなどを行ってきた「東京お米サロン」。3月5日に、今年度の締めくくりイベントが、赤坂にある東京農村にて開催されました。
今回のイベントでは、東京で育った「谷保天神米」を中心に、お米に合う「出汁」や、手作りの「味噌」について、
・5つ星お米マイスター 秋沢さん
・出汁ソムリエ 山根さん
・大学時代に醸造学を学んだ 池田さん
にそれぞれ教えていただきました。
まず、田植えから稲刈りまでの成長を見届けた「お米」の美味しい炊き方や、味わいの指標などについて、秋沢さん解説していただきました。
お米は精米する時に「小糠」が付き、それが酸化の原因になってしまうため、炊く前に「研ぐ」作業を行いますが、この「小糠」には旨味や栄養も多く含まれています。そのため、「研ぎすぎない」ことが重要なのだそうです。精米したての時や保存状態が良い時(密閉容器に入れ、野菜室での保存がベスト!)は、手でかき混ぜてから、水を入れて捨てる の作業を2~3回行えば良く、水が少し濁っている位で問題ないのだそうです。また、夏場は20~30分、冬場は1時間、炊く前に浸水しておくことで中からふっくら炊けること、炊きあがったらすぐに杓文字で攪拌すること、熱々のうちに1食分をラップに包み冷凍することで美味しく保存ができることなど、すぐに実践できるポイントを学ぶことができました。
さらに、秋沢さんからは、お米を評価するポイントについても教えていただきました。
①外観(粒の割れ、ツヤなど)
②香り(青っぽい、香ばしいなど)
③食感(硬い、軟らかいなど)
④粘り(あっさり、もっちりなど)
⑤甘み(噛み続けると感じる甘み)
このようなポイントを意識してみると、「谷保天神米は粒が小さめだ!」のような新たな発見もありました。
次に、「出汁」について、「東京産」にこだわった食材を用いて、出汁ソムリエ山根さんに教えていただきました。
東京湾で獲れた「昆布」、東京晴海のかつお節問屋 タイコウの「かつお節」。滅多に味わうことができない「東京産」の食材でとった出汁を食べ比べしていく中で、特に「かつお節」の加工の違いによる、味わいの変化が印象に残りました。
かつお節は、傷みやすいカツオの身にカビをつけ、水分を吸わせることで、長く保存できるようにして生まれた食品です。そんなかつお節には、「荒節」と「本枯節」という種類があります。荒節に比べ、熟成期間が長く、保存期間も長い「本枯節」は、カツオの産地から腐らせることなく運ぶことができるため、江戸で主流のかつお節となっていったそうです。今では、市場の1割程度となった「本枯節」の特徴は、繊細な味わいです。それに比べると、「荒節」は、ジャーキーのような、肉々しさが特徴的でした。
また、昆布出汁で作った小松菜のおひたしに、削りたてのかつお節をひとつまみ入れることで、うま味が一気に広がること、シイタケの出汁を加えることで、料亭のような、本格的な味わいになることなど、「出汁」の奥深さについて学ぶことができました。
最後に、「味噌」について、醸造学に造詣が深い池田さんに、実際に味噌を仕込みながら教えていただきました。
味噌は、原材料で分類すると、「米味噌」「豆味噌」「麦味噌」と3種類があり、名古屋や岐阜は赤みそを始めとする「豆味噌」が主流、東京は全国から人が集まるため「合わせ味噌」が好まれているなど、地域性があることを教えていただきました。
今回は、お米にカビを生やした「米麴」を用いる「米味噌」の仕込みを、参加者も一緒に体験しました。
詳しくは、森谷さんのレポートをご覧ください!
「お米」「出汁」「味噌」について3人の方から学ぶ中で、人々の営みがあったからこそ生まれた「食」を、その地域の「文化」と共に学び、伝えていくことが大切なのだと感じました。そして、「食文化」の背景を知ることで、その食材の価値を再認識することができ、生産者の方への感謝の気持ちもより強くなるのだと、この「東京お米サロン」の1年間の活動を通して学ぶことができました。
「東京お米サロン」は2023年度も引き続き、西野農園にて活動が続きます。田んぼや畑の土に触れながら、東京のお米や野菜について学んでいきましょう! 【K】
東京お米サロン https://www.tokyo-okome.com/