サイクルツーリズムの新業態

南イタリア美食便り

観光シーズン真っ盛りのプーリアです。気温も連日35℃越え、ただ湿度が低いことと夜は気温が下がるので冷房を入れなくても済むことが救いです。

プーリアの中央部の我が家周辺では、貸別荘やB&B右肩上がりに増え続けいていますが、夏の間、時々インターネットの速度や電圧が下がることもあり、インフラが観光ブームの勢いについて行っていない感があります。

プーリアの主な空港は州都バーリと第2の都市ブリンディジにあります。両方とも国際空港です。

昨晩は、ロンドン出張から戻ってきた夫ジョヴァンニを迎えにブリンディジ空港へ行きました。

22:00着の予定が1時間20分遅れ、満席のLCC EZジェットはイギリス人とイタリア人ほぼ半分づつぐらいの乗客を乗せて到着しました。この時間帯はローマからの便もたて続きに数本到着するのでそれほど広くない空港の駐車場付近は大混雑です。駐車料金は、入場後15分以内は無料ですが、その後は割高になる設定です。到着客を迎えに来ている多くの地元民は、駐車料金を払わずに済むよう場外で連絡を待って、出てくるタイミングを計って入場してきます。駐車場周辺は一時停車中のランプを点けた車が沿道に数百メートル並び、ロータリーの角の狭いスペースにまではみ出している様子。カオスと言っても良い状態でした。駐車場内にもほぼ満車ぐらい車があったので、駐車したくともスペースが足りない程通行量が多いということも言えると思います。そうであれば、やはりこちらも10年ほど前に空港の改築をしたときには想定していなかった速さで航空便数と旅客量が増えたことによるインフラ不足と言えるでしょう。

空港と最寄りの都市ブリンディジを結ぶバスはありますが、夜の遅い時間には運行していません。また、空港に着いた観光客の宿泊先となる第一の目的地は町中とは限らないのでレンタカーなどで自力で向かうか送迎を依頼するかどちらかになります。いずれにしても空港周辺の車の混雑が増えるのは避けられない状態です。持続可能なツーリズムをテーマの一つに掲げるプーリアとしては大きな課題だと感じました。

そんな折、空港構内で見つけたのは今年の春には見かけなかった無人のレンタルEバイク置き場。

サイトを見ると空港と周辺の街を結ぶ多拠点のサイクルツーリズムの新業態のようです。

ブリンディジ空港からのサービスはまだ開始していないようですが、バーリ空港からはすでにレンタルが始まっています。レンタルできるEバイクの種類も用途によっていくつかあり、荷物を宿泊先に送り届けたり保管しておくサービスも行うようで、遠方からのサイクリストには有難いサービスだと思います。我がまちチステルニーノでもEバイク用の充電ステーションが設置されておりました。こちらもまだ稼働しておりませんが、近日中に詳細がわかるようです。「どうせだったら観光シーズンが始まる前に準備しておけばいいのに」と思うのは日本人的な発想でしょうか。

とは言え、プーリア観光のキーワードである、”スロー”や”サステイナブル”に向かってシステムの変化と言える動きは確かにあると言えます。

大橋 美奈子

大橋 美奈子

東京生まれ。演劇プロデューサーを志し、高校卒業後アメリカ留学。ニューヨーク大学芸術学部在学中は舞台、映画で俳優及びプロデューサーとして活躍。卒業後、メディア関係のリサーチ、コーディネイト会社を設立。現在はホスピタリティビジネスのコンサルタントである夫ジョヴァンニの故郷であるイタリア・プーリアから“外食とはエンターティメントである”という考えのもと“感動”を創る仕事を支えています。

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