新たな「つながり」で歴史を守っていく   「日比谷松本楼」

立教大学生インタビュー


 日比谷公園の真ん中、自然に囲まれた西洋風の建物が特徴の「日比谷松本楼」。誰でも入れる「公園」という文化がまだない日本に、ロンドンやパリの中心地にあるような「西洋式の公園」をつくり、東京を文化の地として発展させていきたいとの思いからできた「日比谷公園」の建設当初から、共に歩んできたという歴史があります。「西洋式の公園」に必要だった「花壇がある」「音楽を楽しむ場所がある」「食事を楽しむ場所がある」の中の、「食事」の要素を担い続けてきた日比谷松本楼の代表取締役社長小坂様にインタビューさせていただきました。


 今年で118年という長い歴史のある「日比谷松本楼」ですが、建物は当時からのものではありません。それは東京の中心地で、日本、そして時代の変化を共にしてきたからです。関東大震災からの再建、アメリカ軍の占領、沖縄返還協定に反対するための学生運動による2度目の焼失、そして再建と、2度の焼失を経験しながらも、日比谷松本楼を守り続け、日比谷公園になくてはならない存在となっています。

日比谷公園の緑の中に佇んでいます


 このような歴史、文化のある日比谷松本楼ですが、パーティー、宴会などでの利用が多かったため、他の飲食店と同様、コロナ禍の営業自粛による大打撃を受けたそうです。2020年には東京オリンピックが開催予定であったことから、インバウンド需要に向けたおもてなしのため、社員に外国語、日本酒の知識の習得などの教育にも力を入れられていたそうです。しかし、事態は一変し、まず「どう企業を存続させていくか」に方向転換せざるを得なくなってしまったそうです。そんな中、お店の味をお家やオフィスで楽しめるオードブルやコース仕立てのお弁当のテイクアウト販売や、できたてを楽しめるキッチンカーの導入など、時代に合った変化をしておられます。コロナ禍以前のような状況に戻ることは難しいからこそ、「日比谷松本楼を残していくためのベストな判断」を柔軟にしていくとおっしゃっていました。


 時代の変化に合わせて、新たなつながりも大切にしながら、歴史を伝えていく役割が「日比谷松本楼」にはあるともおっしゃっていました。どんな人と、どう組むことで「良いもの」を時代に合った形で残していくことができるのか。この視点での行動が重要であると学ぶことができました。


 今後は、緑の多い日比谷公園という地から、「SDGs」についての取り組みも取り入れていこうとしておられます。時代の変化に合わせて進化しながらも、長い歴史を感じることのできる「日比谷松本楼」に、ぜひ足を運んでみてください。 【K】


「日比谷松本楼」本店

住所:東京都千代田区日比谷公園1-2

電話番号:03-3503-1451

http://www.matsumotoro.co.jp/

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