weekly Food104 Magazine 2006年5月31日号

メルマガバックナンバー

● 新店オープン情報
● 米国レストランNEWS
● 食ビジネスニュースリリース
● 王利彰のレストランチェック

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● 新店オープン情報 ———————————————-■□

■ タワー・レストラン・ナゴヤ 6/14 オープン

昭和29年6月、日本初の集約電波鉄塔として建築され、昨年には登録有形文化
財に指定され、52年ぶりに全面リニューアルし生まれ変わる名古屋テレビ塔
に、”THE TOWER RESTAURANT NAGOYA”が6月14日(木)にオープンします。
栄の街を一望するレストラン&ラウンジ。四季折々の厳選された素材を活か
したコンチネンタル・キュイジーヌ。そしてラウンジでは、専属のマイスタ
ーがお客様のご要望に応じてブレンドする様々なハーブ・ティーや、バータ
イムにはシガーも豊富にご用意しています。また展望階も利用した”タワーウ
エディング”をはじめ、各種バンケットとしてご利用頂けます。

○店舗データ
営業時間:Restaurant 11:30-14:30 17:30-24:00
Lounge 11:30-02:00
住所:〒460-0003 名古屋市中区錦3-6-15先 名古屋テレビ塔4F
Call:052-951-3505

○関連ページ: http://www.heritage.jp/ttrn/

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● 米国レストランNEWS———————————————■□

■ シカゴ郊外食の風景 フォアグラがこの夏シカゴから消える

日本では高くて手が出ない食材の一つにフォアグラがありますが、シカゴでは
比較的手頃に食べられるので、よくフレンチのお店でフォアグラのパテを前菜
に頼んでいました。(冷製一人前10ドル、温かいもので14ドルほど)ところが
なんと動物愛護団体からガチョウの飼育方法が残虐過ぎるとの訴えからシカゴ
の市議会でフォアグラの販売を禁じる法案が可決してしまいました。

そしてこの夏からレストランや食料品店でもし販売していることが発覚します
と、罰金500ドルが科せられてしまうそうです。他の州でもこの法案が検討さ
れているそうですから、全米のレストランのメニューからフォアグラが徐々に
消えて行くようです。まさか鯨の次のターゲットがフォアグラだとは思いませ
んでしたね。夏が来る前にあと数回フォアグラを味わっておこうと思いますが
一緒に飲むワインのため私の肝臓も肥大しそうです。まぁこれもガチョウ君へ
の弔いです。20代の頃初めて食べたファグラはほおずきの実ときゅうりの花と
一緒にお皿に載っていてなんだか苦い思い出です。あれからかれこれ20年フォ
アグラともお別れです。給食に出た鯨の竜田揚げとキャベツの塩漬けとも随分
前にお別れしましたが、なんとも恨めしい話です。

アメリカではフランス製のものも輸入されていますが、カリフォルニアでフォ
アグラが盛んに生産されて来たため、低価格でレストランに出回っていました
が、カリフォルニアでの生産もあと数年で中止されるそうです。鳥インフルエ
ンザの影響でフランス製のフォアグラは日本でも輸入禁止になっているそうで
すが、日本国内では生産されているのでしょうか?上海蟹やチョウザメのキャ
ビヤ(乱獲のため)、その他輸入禁止になりつつある食材がいろいろ出て来て
いますが、食品輸入会社やレストラン関係者の方々にとっては牛肉問題に引き
続き多難な時代ですね。北海道では牛乳が生産過多で捨てられていると言う話
を聞きましたが、昔キャベツが豊作でブルドーザーで潰されていた頃の事を思
い出してしまいました。折角自分の手で作った物を廃棄しないといけないとい
うのは生産者の方にとってはなんとも辛い作業でしょう。

この週末はメモリアルデー(戦没者記念日)で3連休でした。このメモリアル
デーの休みは天気が良いので、どこの家族もBBQ(バーベキュー、ハンバーガ
ーやホットドック、ステーキ等を炭火で焼き上げます)をして夕涼みがてら
アイスクリームをなめながら映画でも見るのが慣わしです。今シカゴ郊外は
新緑が一番綺麗ないい季節ですからね。

日本では随分話題になった映画「ダ・ビンチ・コード」ですが、ここ中西部は
宗教的にも保守的な地域ですので、思ったほどこの映画は混んでいませんでし
た。クリスチャンの多いこの地域ではイエス・キリストがマグダラのマリア
(元娼婦でキリストに救われたと言われている婦人)と結婚して子供がいたな
んていう話は悪い冗談、フィクションとしか受け止めないようです。ヨーロッ
パのカソリックの人達は随分怒っているようですしね。ここでは「あんな話、
リベラルで反抗的なハリウッドの奴らが作った絵空事さぁ。」という反応です。
シカゴから見たらロサンゼルスは外国みたいなものなんです。平均的なアメリ
カ人を見たいと思う方は是非シカゴにいらして観察して見ると面白いですよ。

子供のころ「世界の結婚式」や「世界のこどもたち」という番組を良く見てい
て、教会で牧師さんがワインとパンを信者に配る儀式(聖体拝受)が映し出さ
れていましたが、いつかあれ食べてみたいなぁと思っていました。アメリカで
は子供にワインは飲ませませんから、現在教会ではワインの代わりにぶどうの
ジュースと、パンはイーストで膨らましていないパン(クラッカーみたいなも
の)が使われています。ここでは教会はマクドナルド以上に方々にありますか
ら、ちょっと入って見ると見聞が広がります。ただしくれぐれも「ダ・ビンチ
・コード面白かったね。」とは言わないように。(笑)ダ・ビンチは晩年カト
リックの教会とは仲が悪かったそうですから、神は信じていても教会に対して
は不信だったのかもしれません。創造的な人はいつの時代にも権威には反逆す
るもののようです。「うーん。私も私から美味しいフォアグラを奪うお上に逆
らいたい。」
http://www.chicagotribune.com

(イリノイ州シカゴ在住 カズコ・デイビス)

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● 食ビジネスニュースリリース —————————-■□

■ シラ国際外食産業見本市(フランス)にて ジャパン・パビリオン 設置

二年に一度の「外食の祭典」との呼ばれるシラ国際外食産業見本市(フランス
・リヨンで開催)に、次回初めて「ジャパン・パビリオン」を設置します。
シラ国際外食産業見本市は、その出展者数、来場者数ともに非常に大きく、
「外食産業」分野のビジネス見本市としては、欧州最大級のものです。

○シラ国際外食産業見本市
開催日程:2007年1月20日~24日
開催会場:フランス・リヨン
2005年実績
出展社:約1.860社
来場者:165.456人(122カ国から)
出展品目:業務用フード・ドリンク、業務用厨房設備、コーヒー機器、冷蔵
設備、製パン機器、調理機器、レストラン・ホテル・ケータリング設備等

出展条件、パビリオンの特性については、お気軽に事務局までお問い合わせく
ださい。
○シラ日本事務所:『ジャパン・パビリオン』準備事務局
(エス・ビー・エイ株式会社内) 担当:福井、桧垣、井上
問い合わせ可能時間帯:平日09:30~17:30(12:00~13:00を除く)

○HP: http://www.tradefairguide.com/jp/tradeshow/reports/12880/summary/index.php

■ 食品/飲料市場の英文市場調査レポート販売サイト FoodDrink-report.jp

株式会社グローバルインフォメーションは、食品/飲料市場ニーズを国別、カ
テゴリー別に探したい、というお客様の多くのご要望に基づき、食品/飲料市
場の英文市場調査レポート 販売サイト『FoodDrink- report.jp 』を平成18年
5月29日(月)より、運営開始しました。

新サイト『FoodDrink-report.jp』は、世界各国の食品/飲料市場において、国
別及びカテゴリーから市場調査レポートを探せるサイトです。

○URL: http://www.fooddrink-report.jp/

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● 王利彰のレストランチェック———————————–■□

■ 和食 六本木の菱沼

前々回紹介した荒木町の「よねやま」や麻布の「かんだ」と最近は新進気鋭の
和食の調理人が独立して素晴らしい料理を提供しています。また、京都の老舗
(京都ではまだ新参者だそうですが)菊乃井の赤坂店など老舗の素晴らしい店
舗や、芝の「うかい亭」のような素晴らしい内外装の店舗など、変化の少なか
った和食もどんどん変化をしていますね。

ということで、六本木の菱沼を訪問しました。昨年の7月に三田から移転した
のです。菱沼は豊富なワインの品ぞろえと、フランス料理の技法も取り入れた
日本料理で知られています。店舗は私の好きな輸入小物の店舗のアクシスのあ
るアクシスビルの地下にあります。時々訪問していたのですが、地下に菱沼が
入ったのは気がつきませんでした。

カウンター席、テーブル席、個室2室からと51席のこじんまりしたお店です。
ただ、ビルインの地下一階なので、店舗の個性が出し難いかもしれません。
店舗の外側にシャンパンなどの空瓶を展示しているのはやや安っぽい印象を与
えるのが残念です。店舗に入ると正面奥のオープンキッチンカウンターが目立
ちます。

さて、持ってきたメニューを見ると、料理は12,600円のコースのみ。それを注
文。後でネットで確認したら幾つかのコースがありました。店舗は私のほかに
2組ほどと閑散としておりました。

突き出しは白和え
5種盛りの前菜
蛤と海老の吸い物椀
鯛、とりがい、かつお、の刺身
魚の焼き物
海老の洋風和え物
焚き物
ご飯と味噌汁、お新香
デザートのフルーツ

何の料理を食べたのかと聞かれると「うーん」印象がなく言えません。落ち着
いた雰囲気のお店ですが、活気がないのが残念。場所に対しての料金設定は良
心的なのですが、その分料理にインパクトがないのです。でも、予約が取りや
すいし、場所が便利なので、六本木で気楽に和食を食べたいという方向けです
ね。

○菱沼
住所:東京都港区六本木5-17-1 アクシスビルB1
電話:03-3568-6588

○菱沼 紹介 HP
http://www.restaurants-news.com/restaurants/2005/07/post_a51e.html
http://www.yomiuri.co.jp/gourmet/food/trend/20040819sk11.htm

■ マクドナルド50周年を記念の調理機器技術50年史 その23

日本マクドナルドの調理機器技術史 その8

馬力があれば良いのではない
グリルの話をしてきました。当初は火力が不足するという問題でした。そこで
パワーアップを目指してきたのです。パワーアップの問題を解決するためには
米国のグリルと同じ圧力調整弁(プレッシャーレギュレーター)を取り付けれ
ばよいということがわかり、全店にそれを取り付けることで解決することが出
来ました。

火力という馬力をアップすることに成功したのですが、今度は温度の安定性と
いう問題にぶつかりました。最初は火力さえあれば大丈夫だと思ったのですが
横5フィート(約1.5M)奥行き3フィート(約90cm)の米国サイズのグリドルの
表面温度のバラツキという問題にぶち当たりました。当初はハンバーガーを焼
き上げるためには、肉の焼き加減を目視で判断していました。

しかし、大量に焼き上げるためにタイマーコントロールと、ターン・レイ(ハ
ンバーガーパティを焼き上げるシークエンスを明確にした調理方法。ミートパ
ティの片側が焼けてひっくり返した後、次のミートパティを並べ、次に焼きあ
がったミートパティを引き上げるという、連続調理システム)という連続調理
システムの導入が温度の安定性を要求するようになりました。

改良して温度回復力は早くなったのですが、鉄板表面温度のムラがあるのです。
グリルの表面温度の設定は華氏375度(摂氏191℃)ですが、高い場所で210℃、
低い場所で160℃と50℃以上の差があるのです。マニュアルで規定されている
温度差は15℃ですが、それに比べて高すぎ、焦げすぎたり生焼けだったりする
のです。当時はまだ出血性大腸菌のO-157なんて危険なウイルスは存在してい
なかったので、危険はなかったのですが生焼けの肉は気持ちが悪いとクレーム
になるのです。

原因を色々調べてみました。そうすると色々な問題点が判明しました。
<1>口火の大きさ
当時のグリルは3cm近い厚さの鉄板の下にバーナーを並べて加熱したのです。
バーナーは鉄パイプに穴を開けた簡単なものです。構造は理科の時間に使った
ブンゼン式バーナーを横にした形状です。ブンゼン式のバーナーはガスがオリ
フィス(狭い穴でガスの流量を制御する)からガスを噴出す場所にくびれを作
り、そこに負圧を発生させ、外部の空気を吸引し、ガスと空気を攪拌させなが
らバーナーに供給するのです。手前に口火を設置し、空気と混ざったガスがバ
ーナーの穴から出るところに着荷するのです。その口火が小さいと着荷がし難
くなるために口火を大きくしがちです。そうするとグリルの上に冷凍ミートを
置いていない場合でも火がついているので、その場所の温度が高くなるのです。
悪いことに温度計のセンサーは手前についていますのでそのセンサーを温める
ためにグリルの奥部分の温度が下がっても火がつかず、温度差が広がるのです。

米国のマニュアルを見てみると口火の大きさが明記されておりますが、日本は
機械の設置業者がガス爆発を怖がって、口火を大きめに設定するのです。口火
は開店時には良いのですが、だんだん燃焼ガスの煤がたまり、口火が小さくな
るのが原因です。そこで、口火の大きさを明記し、定期的な清掃を義務づける
ことになりました。

<2>1次空気の取り入れ口の開口面積
ブンゼン式バーナーはガスと空気の混合率が着荷速度に影響します。ブンゼン
式バーナーが取り入れる空気は、オリフィスの場所から取り入れる空気を1次
空気といい、バーナー出口で燃える際に取り入れます。この1次空気の量が多
すぎても少なすぎても燃焼速度が変わるのです。特に当時の日本のガスは種類
が多く、それぞれのガスの特性により最適な1次空気の量が異なるのです。そ
こで、サーモスタットが感知してから着火するまでの時間を設定し、最短の着
火時間になるように調整するようにしました。

また、米国のバーナーの1次空気の調整は簡単に出来るのですが、形状の異な
る日本のバーナーはそうも行きません。そこで、マニュアルに明記し、調整を
わかりやすくすることにしました。当時の米国は既にプロパンガスか天然ガス
の2種類のガスしかないので、その調整は簡単でしたが、日本の場合はガスの
種類が多く、着火時間で設定せざるを得なかったのです。

<3>バーナーの形状
バーナーには上部の鉄板側に穴を開け、ガスが噴射し、周囲の空気を取り入れ
燃焼するようになっています。米国のバーナーは鋳物でオリフィスの当たりの
形状がくびれ、1次空気を吸いやすくなっていたり、バーナーの穴の大きさが
一定でした。また、手前のガス通路が太く、奥が細くなる形状にして、それぞ
れの穴から噴射するガスの量が一定になる工夫が凝らされています。

日本のバーナーはコストダウンのためか、鋳物ではなく同じ大きさの単純な鉄
パイプを使用し、バーナーにあけた噴射穴の大きさが一定なので、手前の炎は
大きいのに奥の炎が小さいのです。これが前後の温度差を生むのです。米国と
同じ鋳物のバーナーを採用したかったのですが、当時の日本のグリルの生産台
数を考えると鋳物を使うことが出来ません。そこで、場所により炎孔の大きさ
を変えることにしました。

<4>炎孔負荷
グリドルの火力は燃焼するガスのカロリーで表現されます。ガス・プレッシャ
ー・レギュレーターの設置で米国と同様のガスカロリーを燃焼させることにな
ったのですが、文献を分析するとバーナーにあけた穴とカロリーのバランスが
安定した燃焼に大きな影響を与えることがわかりました。ところが当時の日本
は10種類以上のガス種があるにもかかわらず、同じ炎孔に設定していました。
そこで、ガス種により異なる炎孔の設定をすることになったのです。

<5>仕様を明確に設定
以上の問題点を当時の100店舗あった店の実測から明確にしました。そして、
炎孔の計測機器を明確にして、グリル製造業者に製造をきちんと行うようにし
たのです。

以上つまらない話ですが、問題点を明確にする作業を毎晩実施したのです。
(続く)

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