● テレビ番組のお知らせ(編集長より)
● わいがや食楽研究会のご案内
● 新店オープン情報
● 米国レストランNEWS
● 食ビジネスニュースリリース
● 王利彰のレストランチェック
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■ イデミ・スギノ NHKに出演
読者の皆さんにテレビの番組のお知らせです。
私の大好きなパティシェ、イデミ・スギノが(私は日本一だと思いますが、本
人は世界一と言ってます)が神戸北野から東京京橋に移転して2年以上経過し
ました。杉野さんはなるべくテレビ、雑誌に出ないようにしているのですが、
NHKのプロデューサーに通い詰められ、とうとうNHKに出ることになりました。
杉野さんが柴田書店の雑誌を作るときには撮影のカメラマンは大変でした。
カメラの熱でデリケートな杉野さんのケーキが変形、変色をするので、そのセ
ンスとスピードにものすごくこだわるのです。普段はニコニコしているのです
が、ケーキを作るときの顔は鬼です。さアー、あのテレビの照明の中で杉野さ
んはどんな表情で、どんなケーキを作るのでしょうか?楽しみですね。
でも、困るのはこれで今まで以上に行列が絶えなくなることです。これからは
杉野さんにお願いして、2階の厨房の片隅で食べることになりそうです。
NHK総合テレビの新番組プロフェッショナルの第3回目に出演です。
http://www.nhk.or.jp/professional/schedule/index.html
以下は番組の紹介から引用
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第3回 2006年1月24日 放送予定
あたり前が一番むずかしい
~パティシエ・杉野英実(本当はヒデミですが、フランス語の発音でイデミと
なりました。)~
東京・京橋の小さな店で1日12時間立ちっぱなしで菓子を作り続ける職人、杉
野英実(52歳)。パティシエの世界コンクールで日本人として初めてのグラン
プリを受賞。フランスの料理界にもその名がとどろく巨匠でありながら、マス
コミを避け、派手な宣伝もデパート出店もしない。「一生かけてやれることは
一つ」という根っからの職人。この冬、渾身のクリスマスケーキ作りに挑む杉
野の厨房にカメラを据え、職人としての生き様に迫る。
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■ 第8回目 王利彰の わいがや食楽研究会のご案内
今回のテーマは丼です。
前回は夏野菜をテーマに試食会を開きました。
評判の良かったのは
夏野菜ともずくの健康かき揚げ
枝豆のすり流し
うなぎ入りスタミナチャンプルー
ピーマンとセロリの中華風金平
茄子とプチトマトの含め煮
の順でした。
さて、今回は丼です。米国産の牛肉が解禁になったとはいえまだまだ、消費者
の米国産牛肉離れが続きます。今回は色々な丼にチャレンジしてみました。
現在までの開発状況は以下の通りですが、当日までにさらに工夫しますので、
どんな丼が出来上がるかお楽しみです。
1)たたき長芋丼
長芋(あらくたたいてつぶした物)、焼いた油揚げ、と乾煎りしたちりめんじ
ゃこ、青じその千切りをトッピングしました。味付けは、ゆず胡椒を加えた特
製だし醤油で、さっぱりといただく和の丼です。
2)高菜そぼろまぶし丼
甘辛く味付けをした豚そぼろと、刻んで胡麻油で和えた高菜漬け、そして、
みんなの大好きな温泉玉子を組み合わせました。味付けは、白御飯の上にづけ
丼としぐれ煮のタレを組み合わせてさらっとかけました。
3)魚飯
サバ、しらたき、椎茸、ささがき牛蒡を、伝統のつゆ、砂糖、たまり醤油、隠
し味に山椒を入れて炊き上げました。どこか懐かしい。サバを使ったヘルシー
な丼です。
4)こだわり豆腐丼
御飯の上に鶏そぼろを敷き、豆腐を乗せて、生姜を利かせた和風のあんをたっ
ぷりとかけました。よせ豆腐の口当たりも優しく、自分で崩して食べる楽しさ
のある和風麻婆丼です。
5)イカの胡麻漬け丼
イカのお刺身をすり胡麻と薬味(長ネギ、大葉、みょうが、ゆずの皮)、卵で
和えました。ネギと刻みのり、黄身のトッピングで、見た目は鮮やかで食欲を
そそる丼です。味付けは秘伝の特製タレです。
6)ヤムウンセン丼
シャキシャキのレタスの上に、ゆず胡椒を加えた塩たれで味付けした春雨をト
ッピングしました。サラダ感覚でいただける、野菜たっぷりの丼です。味付けは
塩タレとゆず胡椒です。
7)茄子入り肉味噌のせ丼
みじん切りの玉葱、角切りの茄子を鶏ミンチ入りの味噌とコチジャンで和えて
乗せました。目玉焼き、クレソン、トマトと見た目もカラフルな丼です。味付
けは秘伝の鶏味噌とコチジャンソースです。
8)鮪のほほ肉ステーキ丼
バターで焼いたまぐろのほほ肉を使用しました。トッピングは、大根おろしと
大葉でさっぱりと仕上げました。味付けは和風ステーキのタレ。
9)スタミナ丼
豚バラ肉を油通しした後、斜め切りにした白ネギと共に、強火でにんにく醤油
を絡めながら炒めました。味付けはにんにく醤油で、たっぷりの千切りキャベ
ツの上に盛り付け、玉子の黄身を落した、スタミナ満点の丼です。
10)とろとろオムレツ丼
熱々の白御飯の上に、とろとろに仕上げたオムレツをのせ、さらに、とろとろ
に煮込んだ牛筋肉、こくのある一番出汁香るカレーをかけました。さらに、チ
ーズソースをお好みの量かけることで、一層コクのある丼に変身しました。
○日時:1月25日水曜日 15時から3時間程度
参加費:無料
場所:アイン食品東日本営業部テストキッチン
〒162-0846 東京都新宿区市ヶ谷左内町21番地 市谷左内坂ビル2F
TEL : 03-5228-7002
○HP: http://www.ainfood.com/mp_higashi.html
○参加資格 飲食店チェーンで調理開発を担当する方
食品関連小売店で調理開発を担当する方
これから飲食店や食品小売チェーンを作り上げる方
単独店でも大繁盛店に仕上げようという気概のある方
食品関係のマーケティングに従事する方
研究、広報活動などに従事している方。
○参加人数 場所が狭いため20名と限定させていただきます。
今回、参加できない方はお許しください。
○参加申込み わいがや研究会会長 王利彰 oh@sayko.co.jp まで
お申し込みください。
*お申し込みの際には、以下のフォームにご記入ください。
***********************************
氏名
企業名
職種
連絡先 電話
FAX
Mail
開催を知った媒体 food104マガジン or fsproメーリングリスト
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■「スクーリング・パッド」第2期、生徒募集開始
編集の阿多笑子です。
フードビジネス界、最強の覇者たちが講師陣という注目のレストランビジネス
スクール「スクーリング・パッド」の2期生募集が始まりました。
学部長は、レストランプロデュースとしてもひっぱりだごの中村悌二氏。
講師の顔ぶれは、こちら。
http://www.schooling-pad.jp/grest/kousi/index.shtml
実は昨年、一期生としてこちらを卒業させていただいた私は、現在開業準備中
です。スクールといっても、机をとっぱらい、講師と膝つき合わせるセッショ
ンは、時には業界の裏話あり、本音トークあり、涙ありと、実にエキサイティ
ングでした。
また、単なるビジネススクールと違うのは、卒業後もこうした講師や同期生た
ちとの輪が広がっていくこと。ここからまた新しいレストランビジネスが誕生
するに違いありません。
一期募集では、応募が多かったため、参加できなかった方もいるかと思います。
2期の締め切りも間近ですので、興味のある方はお急ぎください。
詳細は、以下です。
●廃校になった学校をリノベーションした「世田谷ものづくり学校」で昨年9
月に開校したスクーリング・パッドの第2期生の募集が始まりました。
「教えない学校?」をキャッチフレーズに、デザイン、レストラン、映画とい
う3つのクリエイティブなジャンルについて、真剣に考えるユニークな学校です。
昨年9月に開講した第1期は大盛況に終わり、第2期がいよいよ2月4日からスタ
ートします。募集の詳細や、第1期の授業レポートなどはウェブサイトからご
確認ください。
http://www.schooling-pad.jp/
○レストランビジネスデザイン学部
学部長:中村 悌二
募集人数:70名(1クラス35名×2クラス)
日時:木曜日クラス 午前9:30~12:20
土曜日クラス 午前9:30~12:20
○期間:2006年2月4日からの3ヶ月間
授業料:189,000円(税込み)
○お問い合わせ先:03-3421-1011
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● 新店オープン情報 ———————————————-■□
■ 「フードコロシアム」 3月17日(金) グランベリーモールにオープン
株式会社グローバルダイニングは、このたび沖縄に続く第2号店となる、大型
フードコート「フードコロシアム」を、3月17日(金)東京都町田市にオープ
ンします。
当「フードコロシアム」は、東急田園都市線、南町田駅に隣接するショッピン
グセンター「グランベリーモール」の新棟内へのオープンとなり、約350坪、
370席を有する大型飲食施設となります。
完全オープンの料理ブースや店内キッチンにて調理された、イタリアン、テッ
クスメックス、エスニック、和食など、バリエーション豊富です。
また、バーコードリーダーの採用による一括でのお支払いとなり、ご注文ごと
にお会計をする煩わしさがありません。
○名称:フードコロシアム グランベリーモール
所在地:東京都町田市鶴間3-4-1
営業時間: 10:00am~翌0:00am 年中無休
TEL:042-788-3811
客単価:1,000円
○飲食ブース概要
1.Healthy & Salad サラダ (価格帯 約380~1,600円)
トッピングを種類豊富に揃えたフレッシュフルーツ&サラダバーや、生春巻。
2.Pasta & Pizza パスタ・ピッツア (価格帯 約750~1,600円)
薪釜で焼き上げるピッツアや、オーダーごとに茹で上げるパスタ。
3.Chinese &Ethnic 中華・エスニック (価格帯 約200~920円)
アジア各国特有の野菜や香辛料を使用した炒め物、蒸篭で蒸し上げる点心、
海老トーストなどの本格アジア料理。
4.Japanese 和食 (価格帯 約650~1,300円)
店内で手打ちする蕎麦や丼。
5.Hamburger & Grill ハンバーガー・グリル料理(価格帯 約600~2,600円)
肉厚のジューシーなハンバーガーや目の前で焼き上げる本格ステーキ。
6.Coffee カフェ (価格帯 約260円~560円)
店内にてローストされた本格焙煎コーヒーとスムージー各種。
7.Dessert アイスクリーム・デザート(価格帯 約240~740円)
様々な素材を使った手作りのアイスクリームやシャーベット。ガラス張りの
キッチンにて作られる出来立てのシュークリームほか、ケーキ各種。
8.Bar バー(価格帯 約300~8,000円)
グラスからフルボトルまで取り揃えるワインをはじめ、フレッシュフルーツや
焼酎などを使ったオリジナルカクテル。
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● 米国レストランNEWS———————————————■□
■ 南カリフォルニア地域の寿司シェフは殆ど日本人ではありません。
ロス・アンジェルスで「スシ・シェフ・インスティテュート」を設立したアン
ディー・マツダ氏は「南カリフォルニア地区の日本食レストランの70%の経営
者は日系人ではありません。主に、韓国人、中国人、タイ人、フィリピン人の
方がオーナーです。」と報告しています。健康志向の米国では寿司は大人気メ
ニューですが、日系の人口が少なくなってきている一方で、非日系経営者によ
る日本食レストランが主流になってきているのです。
レストラン・コンサルタントでもあるマツダ氏の専門学校では、包丁の研ぎ方
からレストランマネージメントまですべてを教えていますが、非日系人の日本
食レストランオーナーやシェフがあまりにも修行が足りないと懸念を示して
「非日本人経営者達が寿司ビジネスをコントロールしていますが、修行が不足
しているので、業界は悪い方向にいっているのではないかと不安に感じていま
す。寿司は魚と御飯の組み合わせで簡単ですが、生魚を使うので衛生管理は大
変重要です。扱いを間違えると食中毒を引き起こし、寿司と言う料理に悪い評
判がたってしまいます」と言っています。
日本人の寿司レストラン経営者や日本人顧客は日本人の寿司職人を希望します
が、現実には日系人の人口は減っているのです。2000年の国勢調査によれば、
米国には797,000人の日系人しかおりません。10年間で6%も減少しているので
す。カリフォルニアはその間に8%も減少しています。そのように日系人が減少
する中、アジア人以外の日本食レストラン経営者も見られるようになりました。
南カリフォルニア日本食レストラン協会で受賞したレストランは、2年連続し
て、メキシコ人とポルトガル人の経営者でした。日系人の減少に関わらず、寿
司レストランの需要は大きく伸びているようです。
■ ウエンディーズがトマト不足に直面
ウエンディーズのハンバーガーには新鮮なトマトを使っており、年間38000ト
ンものトマトを消費します。ところが、フロリダ州でのハリケーンによる被害
で、Wendy’s(ウエンディーズ)ではオーダーの際にリクエストをしなければ
トマトをハンバーガーに入れない短期方針を打ち出し、昨年12月末から実施す
るようになりました。11月から2月の間には国内の生鮮野菜需要の半分を供給
するフロリダ州では、昨年のハリケーンで過去最高の被害をうけてしまった結
果のようです。しかし、業界1位のMcDonald’s(マクドナルド)は十分な食材
調達計画をしているので同じようなトマト不足について問題はないということ
です。チェーンの対応で随分異なるのですね。
http://www.wendys.com
■ メキシコ料理レストランがワシントンエリアで人気上昇中
ヒスパニック人口の増加と、米国人がタコス、ファヒータなどのスパイシーな
料理を好む傾向から、ここ5年の間にワシントン州でのメキシコ料理を中心と
するテックス・メックス・レストランの数が急激に上昇しています。レストラ
ンのアナリストは「米国におけるメキシコ系の人口は2000年には全人口の12.5
%であったのが2004年には14.2%に急成長しているからだ」と分析しています。
メキシコ料理レストランの中ではメキシコ料理のファストフードチェーンが上
位を占めています。Taco Bell(タコベル)は業界トップチェーンで、年間売
上は57億ドルです。その他、Chipotle Mexican Grill(チポトレ・メキシカン
グリル)、Del Taco(デル・タコ)、Baja Fresh Mexican Grill(バハ・フレ
ッシュ・メキシカン・グリル)等のチェーン続きます。
マクドナルド傘下であるチポトレはワシントン州で計47店舗展開しています。
競合のウエンディーズ傘下であるバハ・フレッシュは現在33店舗展開しており
Qdoba Mexican Grill(クドバ・メキシカン・グリル)も来月にオープン予定
です。その他、On the Border(オン・ザ・ボーダー)、Taco John’s(タコ・
ジョンズ)、Chevys Fresh Mex (チェビー・フレッシュ・メックス)、そし
てDon Pablo’s(ドン・パブロ)等のチェーンがひしめき合っています。バー
ガーやピザ、中華料理チェーンの人気が高いのですが、今後はレックスメック
スのレストランやファスト・フードがワシントンエリアで急成長しそうですね。
http://www.tacobell.com
http://www.chipotle.com
http://www.deltaco.com
http://www.bajafresh.com
http://www.qdoba.com
http://www.donpablos.com
(イリノイ州シカゴ在住 畑田ひろ子)
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● 食ビジネスニュースリリース —————————-■□
■ 「ふじのくに“食感フェア”」開催のお知らせ
静岡県東部地域は、首都圏から近く、また富士・箱根・伊豆という世界的に有
名な観光資源にも恵まれ、居住地・観光地として好条件を備えている一方、海
山の豊かな自然にも恵まれ、農業・水産業・畜産なども盛んな地域です。
こうした静岡県東部地域の特産物・食材を「見る」、「買う」だけではなく、
「語り」、「味わい」、「現場を訪ね」、「収穫体験」する機会を提供すると
ともに、日本一の景観・温泉など地域の魅力を併せて紹介し、商談も行える
「ふじのくに”食感フェア”」を以下のとおり開催します。
このフェアは、行政と農業・商工・観光などの民間関係団体・生産者が共同し
て行う初めてのアピールの試みです。
○「ふじのくに”食感フェア”」の内容
「食感プラザ 東部まるごと市」
静岡県東部地域で生産・加工された農林水産物・加工品など多彩な食材の即売
会と商談会を行います。
○日時:平成18年1月27日(金) 12:00~15:00(商談会は10:00~15:00)
28日(土) 10:00~15:00
場所:キラメッセぬまづ(JR沼津駅北口前)
内容:・一般消費者向けの特産物展示即売会
・食品、飲食、観光、流通業者向けの商談会
・地元食材を使った健康指向の弁当コンテスト入賞作品の展示、販売
入場料:無料
○出品物例:
野菜・果物:いちご「紅ほっぺ」、西浦みかん、箱根野菜、わさび
魚介類:地魚のあじ干物、金目鯛干物、冷凍イセエビ
菓子類:桜葉塩漬け日本一の松崎「桜餅」、沼津「栗せんべい」
調味液:中華街で利用される隠し味「エキス調味液」、「戸田塩」
茶:「溶ける茶」(粉末茶)、本格緑茶「さえみどり」
畜産:金華豚ソーセージ、丹那ヨーグルト、あしたか牛
鉢花:日本一の「クレマチス」 ほか
■ 2月15日丸ビルにて「外食クオリティサービス大賞」設立発表会
顧客感動満足を追求し続ける外食企業を目指されている方々へ。
参加企業募集中。
基調講演及び外食成長企業幹部による高得点参考事例の公表も同時開催。
市場が減少傾向に入り、外食企業の生き残りのためには顧客感動満足を追求し
続けることの重要性はますます高まっています。クオリティサービスを「細部
に拘り、継続的・恒常的に顧客感動満足を追求し続けること」と定義し、それ
らに取り組んでいる有料外食企業とその取り組みを広く業界に発信していき、
業界の活性化に貢献できればと考えております。
○2月15日丸ビルにて
外食クオリティサービス大賞の概要と評価基準の詳細の発表を記念し、外食成
長企業幹部の方による顧客感動満足向上の事例や基調講演を行います。大賞は
100万円。大賞への参加にご興味の方はぜひこちらにまずはご参加ください。
○下記のURLよりお申し込みの場合無料ご招待いたします。
お申し込み・詳細はこちら: http://www.bino-asp.com/lcaconf/
○同時開催のLCAコンファレンス2006の詳細はこちら
http://www.lca-conf.com/
*こちらからの申し込み・他セミナーや分科会へのお申し込みは有料です。
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● 王利彰のレストランチェック———————————–■□
■ マクドナルド50周年を記念の調理機器技術50年史 その5
12)マクドナルドの調理技術開発の例、筆者の経験談
今回はマクドナルドの商品開発とそれに伴う、調理技術開発の経験談をお話し
ましょう。実は、マクドナルド時代に筆者はフライドチキンの開発を担当しま
した。その際に必要だったのは調理技術の開発だったのです。それも商品ター
ゲットの業界トップのK社の商品を自社のオペレーションラインに適合するよ
うに作りかえることだったのです。
<1>何故フライドチキンを開発したか=マーケティング調査によって
気まぐれでフライドチキンを開発したわけではありません。ファストフードは
コンビニや食品メーカーと同じく、全てマーケティングデーターに基づいて開
発するのです。そのため、毎年顧客調査を行います。首都圏の任意の客を抽出
し(店舗を使わない人も含む)、その人達の消費性向、嗜好、時点の認知度、
利用度、競合の利用度、自社と競合の商品比較、消費者の欲しい商品、等を詳
細に分析します。そうすると競合とのQSC上の問題点が明らかになるのです。
当時の競合の強さは手作り感を持っているK社のチキンとM社のテリヤキバーガ
ーでした。そして米国マクドナルドは対抗上でチキンナゲットを開発して爆発
的なヒットとなりました。でも、日本を含む東南アジアではより濃厚な味のす
る骨付きのフライドチキンのニーズが高かったのです。そこで、評価の高いK
社の圧力釜で調理した骨付きチキンの開発を開始したのです。
<2>フライドチキンのノウハウの解析
競合と同等の商品を開発するにはまず、調理ノウハウを詳細に分析するところ
から開始します。そして、競合と全く同じ手法で調理をして、同等の商品を作
るというリバースエンジニアリングを行っていくのです。
<3>材料の鳥の規格
K社の最大のノウハウの一つが養育期間を45日と普通よりも短い期間で飼育し
た柔らかい生の若鳥を使用すると言うことです。それも普通は1羽の鳥を8カッ
トにするのですが、9カットという独特のカットで処理します。そこで生鳥を
購入し、完成品と同じ大きさになるようにカット技術を確認しました。ここで
わかったのは鳥の餌が味に重要な違いを与えるということでした。当初は新鮮
な国産鳥でテストしていたのでが、後にフローズンの輸入チキンに変更しまし
た。カットしたフローズンチキンを輸入し、解凍し、圧力釜で揚げ、再冷凍し
たのです。当初の味は問題なかったのですが、工場加工後2ヵ月ほどすると味
が変化することがわかったのです。鳥の骨には血の色の髄液が入っていますが
その髄液の味が変化するのでした。
肉の味を左右するのは餌です。例えばオーストラリアの牛よりも米国産の牛の
方が美味しいと言われるのは、草ではなく穀物を餌として食べさせるからです。
東南アジアでは穀物の代わりにフィッシュミールを蛋白源として鳥に与えます。
そのため古くなると魚の嫌な臭いが出てくるのでした。
<4>調理ノウハウの解析
K社の最大のノウハウは特許を取った圧力釜調理です。そこで特許公報を元に
揚げ油の温度、圧力、調理時間のデーターを推測しました。さらに、過去のマ
ニュアル、米国のデーターを元に最適の調理温度と時間を算出したのです。
K社の圧力調理のポイントは油2に対して1の比率の鳥(バッターとブレディン
グをつけた)を調理することでした。油を180℃に熱した中に鳥を入れると、
高温で鳥の表面についたバッターとブレディングがキャラメライズし、天ぷら
の衣のように鳥の内部の肉汁を封じ込めます。調理で発生する蒸気を利用し一
定の圧力をかけ、火を弱火にして10~12分ほど揚げるのです。
調理原理がわかったのですが、当時のK社は既に自動調理機器を使用しており
K社の自動圧力フライヤーは圧力と温度時間を自動コントロールする専用のコ
ンピューター制御でした。同じフライヤーの市販品は入手できるのですが、K
仕様のコンピューターを購入することはできませんでした。そこで特許公報に
出ている温度カーブを分析し、加熱に必要な熱量を計算し、現場でフライドチ
キンを購入しながら比較をして、同じ調理レベルになるように温度と時間の設
定を開始しました。
<5>ブラックボックスの味の解明
K社の次のノウハウは独特のスパイスの配合です。この点はスパイスの神様を
探し出し、スパイスの調合を進めたのです。スパイスは温度をかけた際に成分
が揮発しますが、種類により異なるので、色々なスパイスを調合し実際に調理
しないといけないのです。さらに課題は工場で調理し、店舗で再加熱をすると
いう2回の加熱後でも同じ味にしなくてはいけないという事でした。
衣の成分である、バッターについては昔のマニュアルの玉子と牛乳の比率が合
ったので簡単に割り出し、ブレディングについては製粉メーカーの中央研究所
で研究を行いました。これらの味のスペックを決めるに当たっては、鳥の製造
メーカー、スパイス、粉、油の、各専門家を動員し共同作業で短時間に解析を
進めるために極秘のテストキッチンを作り作業を進めたのです。他社の研究所
に身分を隠して先入し研究を続けたのです。
この解析と調理レシピーの確定のために、多くのデーターを解析しました。
使用した機器は、正確な温度計、重量計、ガス圧計、風速計、ストップウオッ
チ、ノート型パソコンでした。当時、小型のノートブックパソコンが発売され
たばかりで、表計算のソフトを載せ、調理データーを10秒単位で記録し、全て
の製造ロットの温度カーブを記録していったのです。後で商品上の問題点が発
生した際にはそのロットの揚げた条件を温度カーブを見ながら解析できるので
した。
<6>K社の調理技術の問題点
以上の作業により半年ほどで、K社の店舗で販売している商品と同等の(95%
程)のフライドチキンを作ることが可能になりました。しかし、ここで問題点
も同時に発見しました。商品のスペックを決定するために2カ所の秘密のテス
トキッチンでテストを繰り返し、その際のターゲット商品を近隣のK社の店舗
から購入していたのですが、その2カ所の店舗の調理レベルが異なると言うこ
とでした。
その原因は2つの地域の供給ガスのカロリーが異なると言うことでした。ある
店舗地域のガスはカロリーが低いだけでなく、供給圧力も低く、フライヤーの
調理能力が低いと言うことがわかったのです。店舗ではそれを補うために投入
時の設定温度を高く変更していたのですが、ガスの圧力が異なることから調理
中の火力が不足し、外観の揚げ色は濃いが、内部の調理レベルは十分でないと
いう問題が判明しました。筆者は昔、グリドルで同じ苦労をしており、即座に
応急処置をとることが可能でしたが、その圧力釜の基本的な問題を完全に解決
する事はできませんでした。これは、世界中で同じ味を保証しなければいけな
いと言う会社のポリシーにはそぐわないと言う大問題でした。
もう一つの問題は店舗での調理作業です。フライドチキンのオペレーションは
FFとはいえない原始的な作業でした。手作りを重視する作業の点から粉を店舗
で付けるのだが、それが店中に舞い上がり、厨房だけでなく客席まで粉だらけ
となります。また、幾ら自動化とはいえ、生の鳥にバッターとブレディングを
つける作業には熟練が必要でした。さらに生の鳥にはサルモネラがいるという
衛生上の問題点もあるのです。つまり、洗練されたファストフードのオペレー
ションには全くそぐわないということでした。
3つ目の問題は店舗スペースです。フライドチキンはクリスマスに大変人気の
ある商品ですが、その最大売上げ時の能力を出すためにはK社と同等の設備が
必要になるのですがそんな機械を設置するスペースはないのです。困ってしま
いました。(続く)