10月ともなれば、プーリアはオリーヴの収穫に入ります。
我が家の土地だけでも5、6種類あるオイル用の種類はまだ緑色のものが多い状態です。
オリーヴは南から北までイタリア20州全土で500種以上が栽培されていますが、オイルの生産量が圧倒的に多いのはプーリア州で、イタリアの生産量全体の60%にも及びます。プーリア内でも地域によって種類の違うオリーヴが生産されています。我が家周辺では小さい実をたくさんつけるオリアローラ種が多く、樹齢数百年の巨木が樹海のように広がる風景が圧巻です。長年一年おきに剪定されてきたことにより枝と幹が右回りに捩れ巨大な盆栽のようにも見えるオリーヴの木が整然と並ぶこの風景は人間と自然の共存の証。プーリアで確認された最も古い木は樹齢2800年。今でも実をつけていると言うから驚きです。ユネスコの世界自然遺産への申請をする動きがありますが、是非認定して欲しいものです。
プーリアにとって現在の生活、歴史文化全てにおいて切り離すことのできないオリーヴ、正にプーリアのシンボルです。オイルは古代から食用はもとよりオイルランプ用の油としても広く利用されてきましたが、現在は搾りかすまでペレット燃料に加工され、油分と分離して出る水分は農地に撒水されています。
イタリア国内のオリーヴオイルの消費量は生産量より多いという統計があります。ということは、イタリア人でも輸入されたオイルを食べているということになります。地元民が自ら収穫した実を持ち込むオイル搾油所で売られている地元産のエクストラヴァージンオイルの価格がスーパーマーケット等で安売りされる大手企業ものの価格の3倍近くである事を見ても明らかです。ちなみにエクストラヴァージンオイル生産量世界一はスペイン、二位がイタリア、三位がギリシャです。それがエクストラヴァージンではないオイルを含むとなると二位がギリシャで三位がイタリアと逆転します。オリーヴオイル全般の生産量では一位のスペインはイタリアの三倍近くの量があります。ところが、栽培されている品種やDOP(保護原産地呼称)の数ではイタリアが圧倒的に多く、イタリアがオリーヴオイル輸出に関してブランディング、マーケティングなどの面で先んじている事のあらわれと言えるでしょう。
いずれにしても、我が家では今年も自ら収穫した自前のエクストラヴァージンオリーヴオイルを惜しげなく食べられそうです。