南イタリアと似ていると感じるのはなんと言っても九州です。このところご縁があって何度か訪れている「すし世界一のまち」大分県佐伯市から今回は「日本の神話の里」宮崎県高千穂を経由して「世界遺産隠れキリシタンの集落」熊本県天草市まで九州ど真ん中を横断する旅をしてきました。
まさにプーリア州のアドリア海側からバジリカータ州のアペニン山脈を超えてティレニア海側のカンパニア州アマルフィ海岸地方へ行く感じでした。距離的にもさほど違いがありません。
ただ九州横断の高速道路がない分、時間がかかります。カーブの多い山岳地帯や海岸線の風景を楽しみながらゆっくり走るのも悪くはありません。途中道の駅で地産品を見たり食事をしたりできるのも便利です。
ちょっと味気ない気がしたのは道の駅のレストランがどこもチケット自販機でカフェテリア形式だったこと。
地元のお店の人との交流も旅人には大事な情報源で、思い出となるものです。人件費削減、人材不足など致し方ない理由はあるにしろ、食文化を観光資源と考えるなら道の駅のレストランでももう少し心の通う交流のできる機会を作るべきではと思いました。
それにつけてもスタッフの高齢化は顕著で若者が飲食観光業に携わりたいと思わせる理由を作りだす作業は急務だと痛感しました。
佐伯では個人宅に宿泊しましたが、高千穂、天草では紅葉じきの週末でもあり旅割キャンペーン中ということもあってか宿泊場所を確保するのに苦労しました。高千穂渓谷は欧米人観光客はいませんが、中国人団体客も含め大賑わいでした。
古代日本の神話に思いを馳せ土地のパワーを感じたい場所で拡声器から団体旅行の添乗員が叫んでいる声があちらこちらから聞こえるのは興醒めです。もっとイヤホンガイドが普及すれば良いのにと思いました。
海、山、歴史、と素材となる観光資源はたくさんあってもそれをどう伝えるか。
自動翻訳機能やSNS発信、ガジェットの活用だけでなく、文化背景の違う人々にそれぞれハマるコンテンツを作るといった細部にこだわることが大事とも感じました。観光案内のサイトや印刷物、飲食店、宿泊施設なども全てにおいて然り。また企画ツアーの内容もマニアックなものほど注目が集まりやすいのではと思います。
私たちが日本では当時ほとんど誰も知らなかったプーリア州のみ10日間というツアーを企画したのは23年前。参加者の中には初のイタリア旅行がプーリアだったという方もおられ、その後何度も再訪してくださった方々もいます。
円安も相まって日本人気が高い今、格安団体ツアーではなく、私たちが企画し同行するから行きたいと言ってくださる方々はプーリアの知人友人の中にもたくさんいるので、そろそろ九州のみ10日間というようなツアーを企画する時期が来たかなと思っています。