カッルーバ(Carruba)

南イタリア美食便り

以前から身近にあったものの、特に気にしてもいなかったのですが、久しぶりに食べてみて「おっ、これはいいかも!」とちょっとハマっているのがカッルーバ(Carruba) です。

地中海沿岸地域原産で、古代エジプトの遺跡からも発見されたり、聖書にも記載があったり古くからこの地方では親しまれている食品です。現在主な生産地はモロッコなどの北アフリカやギリシャ、キプロスなど。イタリアでは南部にしかなくシチリアやサルデーニャでは栽培もされていて伝統的な食材として色々な使われ方があるようです。

夏の今ちょうど木についたまま乾燥した実を収穫する時期で、我が家にある大木にはたわわとなっています。豆科の植物でサヤの部分が甘く、カカオに似た風味があります。種子は固くそのままでは食べられないので、我が家では乾燥したサヤをそのままボリボリかじります。

主な成分はデンプンと糖ですが、タンパク質や食物繊維も豊富です。仕事中にちょっと口さみしい時など、市販のお菓子やスナックを食べるより断然ヘルシー。自然の甘さと噛みごたえで満足感もあり食物繊維のおかげで整腸効果もあると言います。

日本ではイナゴマメ、またはキャロブと呼ばれています。硬い種子の部分はキャロブガムと呼ばれ増粘剤として食品や化粧品などの添加物として使われているとのこと。

種を除いたサヤの部分はキャロブパウダーとしてチョコレートの代わりにケーキやクッキー作りに使われます。シロップやチップなどの商品もあります。グルテンフリー、栄養満点、スーパーフードと呼ばれています。

また、ペットのウサギやハムスターのスナックとしてホールのまま売っているのも見かけました。ネット通販では、ペット用の「まるごとイナゴマメ」が80gで358円。人間用の「有機キャロブパウダー」が200g で421円。あれっ、どういうこと?とちょっと考えさせられます。

私が初めてキャロブを知ったのは80年代のニューヨーク。芸術家志望の友人たちに混じって自分でもマクロビやヴィーガンといった食生活を試したりしていたころでした。自然食品店でエネジーバーのようなスナックに入っているものがありカフェインを取りたくない自然派嗜好の人=ヘルスナッツ(健康オタク)向けの商品というイメージでした。値段もそこそこした記憶があります。それが、今はプーリアの我が家にある自生の木からそのまま採ってきて、この記事を書きながらかじっているというのも、月日の流れと一周まわって今がある奇遇を感じます。

大橋 美奈子

大橋 美奈子

東京生まれ。演劇プロデューサーを志し、高校卒業後アメリカ留学。ニューヨーク大学芸術学部在学中は舞台、映画で俳優及びプロデューサーとして活躍。卒業後、メディア関係のリサーチ、コーディネイト会社を設立。現在はホスピタリティビジネスのコンサルタントである夫ジョヴァンニの故郷であるイタリア・プーリアから“外食とはエンターティメントである”という考えのもと“感動”を創る仕事を支えています。

関連記事

メールマガジン会員募集

食のオンラインサロン

ランキング

  1. 1

    「ダンキンドーナツ撤退が意味するもの–何が原因だったのか、そこから何を学ぶべきか」(オフィス2020 AIM)

  2. 2

    マックのマニュアル 07

  3. 3

    マクドナルド 調理機器技術50年史<前編>

アーカイブ

食のオンラインサロン

TOP