旅行者のアシスト

南イタリア美食便り

3ヶ月ぶりに佐伯に戻ってきました。すでに夕方から涼しくなり、隣のお寺のイチョウの下を通るとほのかに独特なあの香りが。まだ緑の葉が茂っているのですが、いくつかすでに黄色くなった葉と共に銀杏が落ちて潰れていました。昼間はまだ30℃越えの暑さですが、すでに秋の気配を感じます。

佐伯ではこの3ヶ月間に大きめの地震があったり、観測史上最大級の降雨量となった台風が通過したり大きな自然災害の影響がありました。

プーリアにいてもマスメディア、ネットのニュースや個人があげた動画などでその様子を見てきましたので、心配しておりましたが、市中心部の市街地では、災害の傷跡のような様子は全く目にしておりません。しかし佐伯市は広いので、山間部や沿岸部、河川岸では被害も出ているようで、市役所には被災者支援窓口が設置されています。

海外からの観光客誘致に関しても災害時の対応はとても気になる点です。観光庁がおすすめのSafety Tipsというアプリとおおいた防災アプリを入れています。今回の地震や台風時また熱中症注意の警報の通知音が鳴りました。両方とも情報量は多いのですが、実際の災害時にどれだけ実用面で活用できるのかはちょっと不明です。

今回のプーリア滞在中に、近々日本に行く予定があるという人から数件連絡をもらいました。

高齢の両親を連れての道中、空港では移動に関してスペシャルアシスタンスをお願いして誘導してもらいましたが、イタリア人のアシスタントは行きも帰りも「日本に行ったことある」または「日本に行きたいんだ!」と言っていました。訪日旅行者が増えるのは良いことですが、都心部でも地方でも災害時のケアはどうなっているのかと気になります。民泊などを利用する個人旅行客が増えている傾向がありますが、万が一の際にはアシストが必要になることは間違いありません。

ちなみに、空港内での移動のアシスタンスに関して、イタリアではポロシャツにスニーカーのスポーツジムのインストラクターのような元気な男性が多かったのですが、日本では航空会社のスカートにヒール姿制服の若い女性でした。車椅子を押してもらい、スーツケースを回収するまでお手伝いしていただけるのですが、足元のおぼつかない高齢者にとって、安心感や頼りがいがあるのはどちらかと言えば服装も含めてイタリアに軍配が上がります。スペシャルアシスタンスに関して空港運営会社と航空会社の委託関係やセキュリティ問題など両国の組織や文化的な考えの違いもあるのだと思いますが、サービスを受ける側の目線で見ると適材適所の人材配属が大事だなと感じました。

大橋 美奈子

大橋 美奈子

東京生まれ。演劇プロデューサーを志し、高校卒業後アメリカ留学。ニューヨーク大学芸術学部在学中は舞台、映画で俳優及びプロデューサーとして活躍。卒業後、メディア関係のリサーチ、コーディネイト会社を設立。現在はホスピタリティビジネスのコンサルタントである夫ジョヴァンニの故郷であるイタリア・プーリアから“外食とはエンターティメントである”という考えのもと“感動”を創る仕事を支えています。

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