その名も「世界一」の醤油を見つけました。大分で醤油と言えば、フンドーキンというほど親しまれている醸造会社、佐伯のお隣の臼杵市にあるフンドーキン醤油株式会社が3年間という長い時間をかけてギネス認定の世界一大きな木樽(高さ9m、直径9m, 容量540キロリットル)で醸造され、原料は国産丸大豆、国産小麦、天日塩を使ったこだわりの天然醤油です。お値段も普通の醤油の2,3倍、500mlで1,620円。
醸造家の技と知恵と微生物の力を借りて「ゆっくりと時間をかけて作っていた300年前の醤油を再現してみよう」という趣旨で始まったプロジェクトで一樽分づつ3年に一度出来上がる期間限定商品です。甘い醤油が好まれる九州産にも関わらず、甘くなく旨味と香りが引き立つ東京出身の私にとっては馴染み深い、「これぞお醤油!」というお味です。
世界中を席捲する和食ブームで、プーリアのスーパーにも減塩、出汁入り、ポン酢、テリヤキソースなど何種類もの醤油ベースの商品が並んでいます。「世界一」という醤油に興味をそそられるイタリア人も多いに違いありません。大量生産の工業製品的な食品に溢れている今だからこそ、価格に見合う付加価値としてその商品の文化的背景や存在価値を知ってもらうことが大切です。
食品において味覚は騙されやすいものだし、主観的なものでもあるので、コストパフォーマンスの良い商品が売れるのは当然として、価格の背景に納得のゆく生産者の意図が感じられれば、高いものでも買ってみようと思うものです。この辺は醤油もワインやオリーヴオイルも同様だと思います。
ワインやオリーヴオイルはイタリアを訪れる観光客にとって魅力的な観光資源でもあります。
農業と観光が主な産業であるプーリアでもワイナリーやオリーヴオイルメーカーのテイスティング付き工場見学が人気です。ルーラルツーリズムの核になっていると言っても過言ではありません。
ワイナリー経営のワインリゾートやブドウやオリーブ生産農家のアグリツーリズムが増えています。
醤油はと言えば、世界的に知れ渡っているキッコーマンも工場見学や醤油文化を広める活動を積極的に行っていますし、日本各地の醤油蔵ツアーの英語の紹介ページも数多くみられます。イタリアのように、今後さらに自社製品をアピールするレストランを有する宿泊施設ができるという展開になっても良いのではと思います。
ちなみに、観光庁の海外向け日本紹介の公式サイト にフンドーキン醤油の工場見学を紹介する記事がありました。
ただし、説明は日本語のみなので通訳が必要とのことも書いてありました。他の施設ではどのような状況なのかわかりませんが、海外からの観光客を日本のルーラルツーリズムに誘導する場合、言葉の問題はこれから解決していく大きな課題だと改めて感じました。