マックのマニュアル 23

レストランチェック

 マックのマニュアルをご紹介してきましたが、まだまだご紹介したいことは多々あるのですが、完全にデジタル化しておりませんので残念ながら次回で終わりといたします。

ここで米国経済のすごさを私の米国マクドナルドでの経験からご紹介しましょう。

 最近老後の年金支給額不足に備え、若い時から投資をするN.I.S.A.を政府が推奨して税制改正をしていますね。実はN.I.S.A.は株を知らない若者には役に立ちません。投資経験のない人はどうしても、日本企業の株や債券に投資をしがちですが、日本企業の株や債券では老後の資金の支えになりません。

 政府はN.I.S.A.の制度の前に日本企業の株価を上げないといけません。日本企業の株価はバブルがはじけてから、その株価を回復していません。

米国ダウ平均推移

https://ecodb.net/stock/dow.html

日本株日経平均

http://honkawa2.sakura.ne.jp/5075.html

を見てください。米国ダウ平均は1990年から約13倍に上がっていますが、日本株は1989年の39,000円を頂点に下回っています。

私はマクドナルドを退職したのが30年前です。まだ日本マクドナルドは上場していなかったので、日本マクドナルドの株は持っていませんでしたが、米国マクドナルド社は、子会社の日本マクドナルドの社員にストックオプションを授けていて、私も幾つか頂いていました。

当時米国マクドナルド社も、日本で上場しており、ストックオプションのほかに社員会で米国マクドナルド株を買い積み立てていました。退職時にストックオプションを行使して米国マクドナルド株に変えました。その株と積み立てた株金額は退職金と同額くらいになりました。

当時の米国マクドナルドは配当性向が低く、株価上昇だけがメリットでしたが、当時はそんなに上昇せず、放置しておりました。病に倒れた10年前に、同じく放置していた年金の請求をしました。私が年金に加盟した当時は20年加盟していたら、60歳からもらえたのです。

ところが45歳で退職していたに過ぎないので月額10万円程度でした。これでは生活が大変だなと思っていたら、米国マクドナルドの株価が20倍くらいになり、配当もよくなったので、年金をはるかに上回る収入となりました。

またわずか2年間ですが米国で年金を払っていたので米国大使館に請求したら、ほんのわずかな額を頂けるようになりました。わずかですが、年々下がる日本の年金と異なり、インフレに応じて増額するのです。これは価値が増加する米国株や債券で運用するからなのです。

では米国マクドナルドの株価推移を見てみましょう。

https://us.kabutan.jp/stocks/MCD/historical_prices/yearly

 私が退職した92年に比べて27倍に増えています。ダウ平均を倍上回っています。米国は社外取締役会が強く、CEOの選定の際に最強の人を社内外から選択するから能力のある人が選任されます。

マクドナルド社の歴代CEOの就任期間を見てみましょう。

初代CEOレイ・クロック   Ray Kroc  1955-1962

消えた2代目ハリー・ソネボーン  Harry J.Sonneborn 1962-1965

3代目フレッド・ターナー    Fred Turner   1965-1989

4代目マイク・クインラン  Michael Quinlan   1989-1998

5代目ジャック・グリーンバーグ  Jack Greenberg  1998-2002

6代目ジム・カンタルーポ   Jim Cantalupo   2003-2004

7代目チャーリー・ベル    Charles Bell   2004年7ヶ月

8代目ジム・スキナー    Jim Skinner   2004年11-2012年7月

9代目ドン・トンプソン    Don Thompson  2012年7月-2013年

10代目スティーブ・イースターブルック  Steve Easterbrook 2013年-2019年11月

11代目クリス・ケンプチンスキー  Chris Kempczinski  2019年11月-

 (Kempczinski氏は初の社外からのCEOです。大手食品メーカーのKraft Foods Groupから2015年に転職したばかりです。)

上記の中、5代目と6代目のCEOの在籍期間が短いのは、両名とも在籍中に病死したためです 。

 8代目ジム・スキナー氏 Jim Skinnerは 2004年11-2012年7月にCEOを務めました。あまり期待されていなかったのですが、徹底した低価格戦略と直営店を7000店舗から 3000店舗までフランチャイズ化するなどのリストラにより、株価を100ドル台に急増させます。

 10代目スティーブ・イースターブルック氏Steve Easterbrook(2013年-2019年11月)は会計士出身で英国マクドナルドでCEOに就任し、米国マクドナルドに出向しましたが、当時の米国CEOのジム・スキナー氏 Jim Skinner と合わず、いったん退職し、外食他社2社でCEOを務めマクドナルドに復職し、経営能力のないドン・トンプソン氏Don Thompsonに代わりCEOに就任します。

そして過去のマクドナルドにしがらみのないスティーブ・イースターブルック氏は徹底したリストラを開始しました。201年2月には実力者の2代目CEOフレッド・ターナーが精魂込めて作った本社を売却しました。

 マクドナルドは50年ほどシカゴ郊外のオークブルック市に本社を構えていましたが、メインテナンスに多額の費用が掛かる問題と、人材確保のためシカゴ市内に移転したのです。

当時の本社は1980年代初頭に当時のCEOのフレッド・ターナー氏が精魂傾けて建てた立派な施設です。原生林に隠れるように建てるため、地下2階地上2階の凝った建物です。

周囲には大きな人工湖を2つも作り、本当の大学よりも立派なハンバーガー大学と、従業員向けの立派なホテルを併設しています。その凝った構造によりメンテナンスコストが高いのが問題なようです。

http://nrn.com/quick-service/report-mcdonald-s-might-move-headquarters

http://www.morningstar.co.jp/msnews/news?rncNo=1731620

 場所は市内のChicago’s West Loopで、Oprah Winfrey’sの Harpo Studios campus跡だそうです。新CEOのイースター・ブルック氏は聖域のないリストラを進めており、すでに一般管理費の500ミリオンドルの削減と従業員225 人のリストラを実施しています。

http://www.chicagobusiness.com/article/20160601/NEWS07/160609971/mcdonalds-moving-hq-to-oprahs-old-harpo-studios-digs

http://nrn.com/quick-service/report-mcdonald-s-might-move-headquarters

http://www.chicagobusiness.com/article/20160601/NEWS07/160609971/mcdonalds-moving-hq-to-oprahs-old-harpo-studios-digs

http://www.chicagotribune.com/business/ct-mcdonalds-may-move-headquarters-0602-biz-20160601-story.html

 マックは2016年06月に早期退職割増金を支払って強引なリストラをしています。

一般管理費500ミリオンドル削減のため2名の役員を含む100名単位のリストラを進めています。Columbus, Ohio地区の70人の従業員、本社の63人などです。さらに 8月までに225人のリストラを予定しています。400人の従業員が早期退職奨励金の対象です

http://nrn.com/hr-training/mcdonald-s-offers-buyouts-cost-cutting-continues

http://nrn.com/mcdonalds/mcdonald-s-cuts-63-jobs-headquarters

http://nrn.com/hr-training/mcdonald-s-offers-buyouts-cost-cutting-continues

http://nrn.com/mcdonalds/mcdonald-s-cuts-63-jobs-headquarters

 しかし投資ファンドや大株主はさらなるリストラを要求しました。それは全米の店舗のうち、所有している半分の店舗の不動産の売却を迫りました。その対応として、不動産の売却でなく3000店舗まで減少していた直営店をさらに2000店ほど売却しました。

これらの結果により株価は156ドルドルまで上昇します。

 その結果2016年度のマックCEOイースター・ブルック氏の給与は莫大です。

 CEOの Steve Easterbrookの初年度の給与が7.9 million ドルだったものが、2016年には15.4 millionドルと倍増です。基本給は24%増で1.3 millionドルですが、ストックオプションが80%アップの 9 millionドルです。さらにインセンティブが4.6 millionドルです。

その他に会社の飛行機の個人使用や、退職金引き当て、保険、自家用車などの費用523,665ドルです。前任者のトンプソン氏の失敗で株価が大きく低下し90ドル台につけましたが、156ドルを記録しています。

 このように米国マクドナルド社の株価向上には、日本の会社には考えられない努力をします。

次回は日本企業の株価低迷の原因を紹介しましょう。

続く

王利彰(おう・としあき)

王利彰(おう・としあき)

昭和22年東京都生まれ。立教大学法学部卒業後、(株)レストラン西武(現・西洋フードシステム)を経て、日本マクドナルド入社。SV、米国駐在、機器開発、海外運営、事業開発の各統括責任者を経て独立。外食チェーン企業の指導のかたわら立教大学、女子栄養大学の非常勤講師も務めた。 有限会社 清晃(せいこう) 代表取締役

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