ご意見番 業界ニュースを斬る「すかいらーくの増収増益について」(日本食糧新聞社 外食レストラン新聞1999年4月19日)

すかいらーくの増収増益について
大々的な宣伝に好感触
価格設定が問題だ 人材育成にも遅れ
積極的な広告宣伝の成果が出てきているようだ。最近は折り込みチラシが多く、先般のバーミヤンの全面広告は特にインパクトが強かった。FR業界の中で頭一歩抜け出したのではないか。

メニュー開発をよい方向へ索引しているのはバーミヤン。バーミヤンはプライスゾーンを800~1200円に絞っている。だからお客は安心して足を運べる。加えて200~300円の居酒屋クラスのメニューもあり割安感もある。逆にガーデン、ガスト、グリルはプライスゾーンにメリハリがない。これが問題だ。特にガーデン。当初は単品志向だったのにセットメニューを打ち出して割高感が出てしまった。不振要因はこうした中途半端な価格設定にある。

メニュー開発は上手なのに、プライスゾーンまでいじるからおかしくなる。お客の利用動機に沿ったプライスゾーンに落とし込めれば必ず売れると思う。

すかいらーくは今回、好調なバーミヤンを吸収し、総合力を強めたイメージがある。だが、ウィークポイントの人材面については未解決。FFや弁当屋など数多く実験し、ことごとく失敗しているが、大したことはない。戦略的大失敗は社員対策、人事面である。

その根底にあるのは旧態依然としたチェーンストア理論の執着だ。本部は現場(店)に対し、「一切創造工夫をするな」「考えるな」「言ったとおりにやれ」という。そして人使いも荒い。FR創生期、飲食店の地位が低かった頃は、それでも成功した。むしろそれだけで十分だった。しかし、現在は従業員の知的レベルが上昇し、ユーザーニーズも変化し続けている。従来のやり方は通じない。

厨房機器、食材加工、店舗開発、物流など、ハードは進歩しているのに、人材というソフト面が立ち後れている。店長が代わるとアルバイトも全部代わるなんてことが未だある。サービスレベルのアップ・ダウンが激しいというのはそこに起因する。

すかいらーくの課題は、チェーンストア理論で過ごしてきた社員を今後どのように生かすかだ。のれん分けなど社員独立のシステムを打ち出せるか否かがカギとなろう。

王利彰(おう・としあき)

昭和22年東京都生まれ。立教大学法学部卒業後、(株)レストラン西武(現・西洋フードシステム)を経て、日本マクドナルド入社。SV、米国駐在、機器開発、海外運営、事業開発の各統括責任者を経て独立。外食チェーン企業の指導のかたわら立教大学、女子栄養大学の非常勤講師も務めた。 有限会社 清晃(せいこう) 代表取締役

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