NEWSな外食2006「新業態開発」(商業界 飲食店経営2006年6月号)

外食チェーンは既存の業態が伸び悩み、新たな業態が必要になってきている。M&Aや海外との提携で手っ取り早く業態を作り上げるのでは間に合わないので、自ら新業態を開発しようと自社内に新業態開発部を新設し取り組む例が増えてきた。
外食チェーンは長い年月をかけて一つのブランドのブラッシュアップを行ってきた。店名、ロゴマーク、店舗内外装、ユニフォーム、トレーニングシステム、経営管理システムなどだ。現在の大手外食チェーンの主力業態を拝見すると、それぞれ完成度が大変高いのに感心させられる。しかし、新たに作った新業態を見ると、従来と殆ど同じメニューで、店舗名だけを変更しただけとか、内外装の変更などの小手先だけの新業態が多いのに気がつく。そんな陳腐な新業態では客にすぐ飽きられ、業態としての寿命が短くなり、さらに新業態を開発せざるを得なくなり、企業としての効率が低下する。
一つの業態を数百店舗の規模に育てるのは、根気の要る農作業のような地味な仕事だが、新業態を作るのにはクリエイティブな芸術家的な感性が必要だ。しかし、残念なことに殆どのチェーン企業は感性のある人材を確保していないか、そのような人材を育成していなかったのだ。
業態開発をできる企業と出来ない企業の差を見極めるのは簡単だ。企業の法人名と店名が同じかだ。通常の外食チェーンは顧客と投資家への知名度を上げるために店舗名と会社名を同じにする。それによって会社に対する安心感やブランドが高まり売上げが上がるわけだ。例外的に創業時から、企業名とブランド名を変えて成功している中堅外食企業がある。その経営者を拝見すると、一つのチェーンをこつこつと育てる農業的な経営者ではなく、業態開発が好きだという芸術肌の方たちだ。その芸術的なセンスがあれば新業態を次々と開発することは可能だが、今度は単一のブランドをじっくり育て多店舗展開することが不得意だ。
餅は餅屋という。単独のブランドを展開していた企業が新業態を開発する際には、業態開発の専門家の助けを借りる必要があるのではないだろうか?

王利彰(おう・としあき)

昭和22年東京都生まれ。立教大学法学部卒業後、(株)レストラン西武(現・西洋フードシステム)を経て、日本マクドナルド入社。SV、米国駐在、機器開発、海外運営、事業開発の各統括責任者を経て独立。外食チェーン企業の指導のかたわら立教大学、女子栄養大学の非常勤講師も務めた。 有限会社 清晃(せいこう) 代表取締役

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